loading
  • Twitter
  • Facebook
  • Line
  • はてなブックマーク

新国立劇場が贈る鄭義信 三部作vol.2『たとえば野に咲く花のように』 ともさかりえ×村川絵梨インタビュー

『たとえば野に咲く花のように』インタビュー
画像を全て表示(10件)
                  

『たとえば野に咲く花のように』インタビュー_2

山口馬木也は不思議な人?!

――鈴木裕美さんの演出はどのような感じですか?

村川:学校の授業みたい。久々に学生みたいな気持ちで「個別に指されたらどうしよう・・・」って思っています(笑)

ともさか:裕美さんの中には「この役はこうあってほしい」という、その役の核になる部分のイメージが明確にある。こういう演技をしてほしい、とかは絶対におっしゃらないですけど、台本に書いてある何気ないセリフの裏側に隠されているものを、宝探しみたいに見つけていく作業を繰り返しています。でも自分の中でイメージできる事なんてたかが知れている。そんな時に裕美さんが、私が想像もしていなかったポイントからアドバイスをくださるので、日々「なるほど」と思いながら気持ちを整理しています。裕美さんの演出を受けていると「演劇やってるな」ってしみじみと感じます。

『たとえば野に咲く花のように』インタビュー_5

村川:裕美さんはよく、「感情を引き裂いて」っておっしゃいますよね。多くの登場人物がそれぞれ複雑な事情を抱えているから、演じている自分の感情が引き裂かれるほどの葛藤がないと、あかねはただの勝気なわがままなおてんば娘になっちゃう。

ともさか:「引き裂かれる」とか「真逆の事であって欲しい」ってよく言われます。どのキャラクターも、陽気に振る舞っていてもしんどかったりして、切ないんです。

――お二人が演じる女性の間にいる康雄を演じられるのが、山口馬木也さんですね。

村川:馬木也さん・・・不思議な人ですよね(しみじみと)。

ともさか:謎過ぎて、いまだにちょっと分からない(笑)。稽古場でも一番の注目株だよね。みんながいつも馬木也さんの動向を気にしながら稽古してる感じ。お会いする前は、馬木也さんってすごくスマートで、今回演じる康雄のようなダークなイメージがあったんだけど・・・実際はとにかくチャーミングで面白いんですよ。ヘビーなシーンでもニヤニヤしちゃうようなことを馬木也さんがするので、みんな和ませてもらってます。

『たとえば野に咲く花のように』インタビュー_9

村川:そこに演出の(鈴木)裕美さんがすぐツッコむんですよね!

ともさか:瞬殺だよね。

村川:傷が痛くて呻くシーンで、馬木也さんが「うぅ・・・」と唸ると、すかさず裕美さんに「いや、そんな痛くないでしょ!」ってツッコまれて、みんな大爆笑(笑)。

ともさか:あれは面白かったね(笑)。

村川:あと、満喜に話しかけるシーンでちょっと甘えた感じを出したら、「それ違うでしょ!」って言われてて。その後に馬木也さんと話したら、「でもオレ末っ子だから、つい甘えちゃうんだよね~」なんて言ってました(笑)。

鄭義信三部作、それぞれが描く「愛」

――鄭義信さんの三部作のひとつとして上演されることについては意識されていますか?

ともさか:三部作の1作目である『焼肉ドラゴン』を観に行った時に、『たとえば野に咲く花のように』にもあるフレーズが出てきたんです。だから、作品のテイストは違っても、鄭さんの言いたい事や投げかけたい事は作品に根づいているなと感じました。特に私の演じる満喜は、『焼肉ドラゴン』で描かれる家族と同じく祖国を捨ててきたというバックボーンがあり、すごく意識してしまいました。それでなくても、『たとえば野に咲く花のように』はもともとギリシャ悲劇『アンドロマケ』をベースにしていて戦後の日本の雰囲気とは違うので、難しいなと感じていたんです。

でも、裕美さんが「自分も含めて、みんな鄭さんの三部作ってことを意識してしまってたけど、一人一人の役者が一つ一つのキャラクターと向き合って、舞台上でそのように生きる、ということに誠実になれれば、別に意識しなくてもいい!」というようなことをおっしゃって、私も「ああ、そうだな」と腑に落ちました。

――鄭さんはこの作品については何か言っていましたか?

ともさか:本読みの日に稽古場に来て下さったので、その時に少しお話しさせていただきました。

村川:作品については「お任せします」と言ってくださいました。裕美さんがおっしゃったように、あんまり意識しなくていいよ、という感じでしたね。

――三部作とはいえ、『焼肉ドラゴン』とも『パーマ屋スミレ』ともまたテーマが違いますよね。

『たとえば野に咲く花のように』インタビュー_6

村川:『焼肉ドラゴン』と同じくテーマは「愛」ですが、また違うかたちの「愛」ですね。『焼肉ドラゴン』は家族の愛や葛藤で。

ともさか:この作品は「恋愛」ですよね。若い世代の人にとっては、朝鮮戦争や在日コリアンの方の気持ちはピンとこない人もいらっしゃると思うんですけど、描いているのは恋の物語です。私だってもちろん戦争も知らないし、自分の生活からは完全にかけ離れたものだと思うけど、鄭さんの作品を観るとなんかすごく知ってるような気持ちになる。描かれているのは当たり前の人の営みだから、観ていて感情移入したり、なぜか泣けてしまったり、苦しくなったりしちゃうのかな。

村川:『焼肉ドラゴン』もそうですよね。「共感したか?」と言われたら、共感して泣いたわけではない気がします。そこに生きる役者さんの熱量に感動して、なんか泣いちゃったなぁ。

ともさか:鄭さんの作品に出てくる人たちって、みんな可愛くて愛おしいんだよね。

村川:みんながいろいろな事情を抱えながら全力でぶつかっているエネルギーがありますよね。しかも今回は新国立の小劇場なので、お客さんとの距離も近くてリアリティを感じられると思います。舞台の醍醐味、緊張感、笑い、切なさ・・・全部が盛りだくさんです。しかも、“恋愛”って誰もが共感しやすいテーマなので、舞台を観に来て良かったって気持ちになってもらえる作品になるなんじゃないかな。

ともさか:『たとえば野に咲く花のように』は時代設定が1950年代なので、なかなか感情移入しにくいのではないかと思われる方もいるかもしれないですけど、基本は恋の話なので、気付けば誰かに共感できたり、思いを馳せたりできる作品です。戦争って遠い昔の事のようだけど、その時代にもこうやって普通に人を愛したり、当然だけど人の生活があったんだなと実感します。その人々の営みの中に鄭さんのいろんなメッセージが隠されているので、一緒に体感していただけたらいいなと思います。

『たとえば野に咲く花のように』_3

◆プロフィール
ともさかりえ(満喜役)
1992年、12歳でCMデビュー。95年、ドラマ『金田一少年の事件簿』深雪役で注目を浴び、以降、ドラマ、舞台、映画、CMなど幅広く活躍。主な舞台は『トランス』『SLAP STICKS』『ヴァージニアウルフなんてこわくない?』『まどろみ』『ネジと紙幣-based on 女殺油地獄-』『黴菌』『鎌塚氏、放り投げる』『鎌塚氏、振り下ろす』『虹とマーブル』『祝女』など。

村川絵梨(あかね役)
2002年にダンス&ボーカルユニット「BOYSTYLE」で歌手デビュー。2004年、映画『ロード88〜出会い路、四国へ』で初主演。2005年にはNHK連続テレビ小説『風のハルカ』ヒロインに選ばれ注目を集める。以降、映画、テレビ、CMなどで活躍。主な舞台は『歌姫』『ラスト・ファイヴ・イヤーズ』『朗読劇 私の頭の中の消しゴム』『醒めながら見る夢』『今ひとたびの修羅』など。

◆鄭義信 三部作 Vol.2『たとえば野に咲く花のように』公演情報
2016年4月6日(木)~4月24日(日) 東京・新国立劇場 小劇場 THE PIT
作:鄭義信
演出:鈴木裕美
出演:ともさかりえ、山口馬木也、村川絵梨、石田卓也、ほか

            

この記事の画像一覧

  • 『たとえば野に咲く花のように』インタビュー
  • 『たとえば野に咲く花のように』インタビュー_2
  • 『たとえば野に咲く花のように』?
  • 『たとえば野に咲く花のように』インタビュー_7
  • 『たとえば野に咲く花のように』インタビュー_4
  • 『たとえば野に咲く花のように』インタビュー_10
  • 『たとえば野に咲く花のように』インタビュー_9
  • []
  • 『たとえば野に咲く花のように』インタビュー_6
  • 『たとえば野に咲く花のように』インタビュー_5
  • Twitter
  • Facebook
  • Line
  • はてなブックマーク

オススメの記事

人気の記事