いまさら聞けない演劇・舞台用語:2 ~中級編/難易度★★☆


知らなくても日常生活に支障はないけど芝居好きなら押さえておきたい、演劇&舞台の専門用語。今回は、観劇後に入った居酒屋で・友人との芝居談義で・SNSやブログでのレビューにも使える〈中級編〉をお届け!
…これらを知らずして演劇マニアは名乗れない!?

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劇場の外で

マチネ【まちね】 午後(昼間)・夕方近くの時間帯の公演のこと。もとはフランス語のMatinéeで、「朝」「午前中」「正午前」の意。

ソワレ【そわれ】 夜の部のこと。フランス語のSoiréeは、日没から就寝までの「夜の時間帯」を指す。

札止め【ふだどめ】 満席が予想されるため、その回のチケットの前売を取りやめること。札止めになっても関係者や当日券の分はある程度キープされている場合が多い。用例:「楽日はマチネ・ソワレとも札止めです」

ブロードウェイ

劇場の中で

上手【かみて】/下手【しもて】 舞台の左右を指す。客席から見て右側が「上手」で左側が「下手」。舞台から見ると、左が「上手」で右が「下手」になる。慣れていないと紛らわしいが、演出家が客席側から「右」「左」で指示すると、俳優と演出家どちらにとっての左右なのかわかりづらいので、「上(かみ)」「下(しも)」で指示するほうがスムーズ。英語では舞台から見た左右で示し、「上手」=stage left/「下手」=stage rightという。

面【つら】/奥【おく】 「面」は舞台前方(前面)、「奥」は舞台奥のこと。英語だと「面」はDownstage、「奥」はUpstageにあたり、やや逆のイメージ?

暗転【あんてん】 舞台の照明を消した状態で場面転換したり、一時的に暗くして、物語上の時間経過や場の変更を表すこと。または、舞台照明を暗くすること自体を指す。暗転を多用すると観客の集中力が何度も切られるため、嫌う人も少なくない。逆に、舞台が明るいままでの転換・照明を点けて明るくすること自体を「明転【めいてん】」という。

板付き【いたつき】 幕が上がったとき・客電(劇場の客席を照らす明かり)が消えて芝居が始まるとき・シーン合間の暗転明けなどに、すでに役者が舞台の上にいることを指す。「板」は舞台のこと。

ばみる【ばみる】 俳優の立ち位置や道具・装置などの置き場所を定めるため、稽古場の床や舞台などにテープ他で目印をつけること。付けられた目印は「バミリ」と呼ぶ。暗闇で光る蓄光テープでばみれば暗い時も見えて安全。ただし、使いすぎると暗転中に舞台のあちこちがぼんやり光って観客の気がそがれるため、暗転と同様に適度な使用が得策。
用例:「ここより前だと見切れるからばみっといて」「暗転板付きのバミリは蓄光でよろしく」

小屋入り【こやいり】 「小屋」は劇場(芝居小屋)のこと。公演のために劇場へ入る最初の日(搬入する日)、もしくは上演するために劇場へ行くことを指す。

搬入【はんにゅう】 劇場に、機材・大小道具・衣裳など公演に必要な荷物を運び込むこと。反対に、運び出すことは「搬出【はんしゅつ】」という。

仕込み【しこみ】 搬入した照明・音響の機材や大道具・舞台装置などを、本番用にセッティングすること。反対に、設置した機材や装置を外して片付けることを「バラシ【ばらし】」という。

ブロードウェイ

そして本番へ

ランスルー【らんするー】:[英]run-through 本番と同じ順番で頭から通して行う「通し稽古」ではあるが、シーンごとに区切ったり、途中で確認作業を入れたりしながら通していく。稽古場で行われることも多く、音響・照明などは本番と同じ形でないことがほとんど。

場当たり【ばあたり】 俳優の立ち位置や出ハケ、音響・照明のタイミング、暗転中の段取りなどを確認する作業。あくまで「俳優と裏方のきっかけ確認」なので、俳優は必要な部分だけ演じるケースが多い。小屋入りして仕込みがひととおり済んでから、実際の舞台上で行う。

ゲネプロ【げねぷろ】 ドイツ語のGeneralprove(ゲネラールプローベ:直訳すると「総合的稽古」)を略したもの。さらに略して「ゲネ」「GP」などと呼ぶことも。上演する劇場で(音響・照明・装置・小道具・衣裳などを含め)本番と同じ条件で行う、いわば稽古の総仕上げ。基本的にノンストップで、初日の前に行われる。日本語の「総稽古」にあたり、英語では、衣裳を着けて行うことからdress rehearsal(ドレスリハーサル)という。演出にもよるが、客入れから想定して行うこともあれば、「開演○分前から」の設定で行う場合も。

ほとんどが舞台がらみでしか使われないものですが、演劇に関わる者なら知っていて当然のワードばかり。あなたはいくつご存知でしたか?
次回は、さらにディープな〈上級編〉をお送りします!

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