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【劇場へ行きたい!】8月のおすすめ舞台ピックアップ

[河野桃子]

急激に暑くなった夏の日は、涼しい劇場で季節を忘れるのもよし、野外劇で夏を肌で感じるのもよし。この8月に初日を迎える舞台の中で、<ストレートプレイ><ミュージカル><2.5次元><劇団/小劇場><ダンス><古典>それぞれから作品をご紹介し、その他注目公演もピックアップしました。

(ライター/河野桃子)

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ストレートプレイ

『ブラッケン・ムーア〜荒地の亡霊~』
【プレビュー公演】8月2日(金)~8月4日(日) シアター1010
【長野公演】8月6日(火) 長野県県民文化会館 ホクト文化ホール 大ホール
【愛知公演】8月8日(木)~8月9日(金) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
【静岡公演】8月11日(日) 静岡市清水文化会館 マリナート
【東京公演】8月14日(水)~27日(火) シアタークリエ
【大阪公演】8月30日(金)~9月1日(日) 大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

【公式サイト】https://www.tohostage.com/brackenmoor/

舞台出演の続く岡田将生さんを主演に迎えるサスペンスドラマの日本初演です。
息子・エドガーを亡くしたハロルド夫婦(益岡徹、木村多江)のもとに、かつて仲良のよかったエイブリー夫妻(相島一之、峯村リエ)が訪ねてくる。同行したエイブリーの1人息子テレンス(岡田)は、その日から毎晩激しくうなされるようになる。エドガーの霊が何かを伝えようとしているらしい。霊に取り憑かれたテレンスは、エドガーが亡くなった荒野の廃坑“ブラッケン・ムーア”に向かう。そして、当時の真実が少しずつ明らかになっていく・・・。

脚本は、ローレンス・オリヴィエ賞の受賞経歴があるイギリス演劇界で活躍する劇作家・アレクシ・ケイ・キャンベル。演出は、過去にもキャンベル作品を手がけたことのある上村聡史さん。年々、大胆さを増す演出がどうサスペンスを見せていくのでしょう。

岡田さんは、その繊細かつ真っ直ぐな演技が合いそうな役どころだと期待が高まります。共演者はみなさん堅実な実力を持つ俳優が揃っていて、さまざまな舞台できゅっと空気を引き締める前田亜季さんの出演も楽しみです。

生と死、子どもと家族。イギリス映画のようにくすんだ色合いのビジュアルは、不穏で冷えるような暗い雰囲気を漂わせています。けれどもそこか温かな眼差しを感じ、ともに亡き息子の声に耳を傾けられることが待ち遠しくなります。

ほか、気になる作品を一挙紹介!

原嘉孝さん&桜井玲香さんの英国ヒット作品『THE BANK ROBBERY!-ダイヤモンド強奪大作戦-』 (8月2日開幕)
名作のその後・・・まさか彼女が帰ってくるとは『人形の家Part2』(8月9日開幕)
人気のファンタジー小説×アニメーション×音楽『二分間の冒険』 (8月17日開幕)
安西慎太郎さんや鈴木勝大さんら出演、鈴木裕美さん演出『絢爛とか爛漫とか』(8月20日開幕)

ミュージカル

『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』
【東京公演】8月31日(土)~9月8日(日) EXシアター六本木
【福岡公演】9月11日(水)・9月12日(木) Zepp Fukuoka
【名古屋公演】9月14日(土)~9月16日(月・祝) Zepp Nagoya
【大阪公演】9月20日(金)~9月23日(月・祝) Zepp Namba
【東京公演】9月26日(木)~9月29日(日) 東京・Zepp Tokyo(FINAL)

【公式サイト】https://www.hedwig2019.jp/

世界でも人気のブロードウェイミュージカルが、日本で再び上演されます!

今回はまずその配役に注目したいところ。これまで2004~05年に三上博史さん、2007~09年に山本耕史さん、2012年に森山未來さんが主演してきましたが、今年は浦井健治さんがヘドウィグ役です。その長身は迫力があるでしょうし、ここ数年さまざまな人物を演じ、観るたびに存在感の強さを増している浦井さんが、今回「アングリーインチ(怒りの1インチ)」を抱えるロックシンガーをどう体現するのか。

そして、ヘドウィグの隣に立つイツァーク役は女王蜂のアヴちゃん(Vo)!ミュージカル出演は二度目ですが、音楽ライブで放つエネルギーを思うと、ステージでどう輝きを発散するのか、想像するだけで圧倒されそう・・・。スラリとした二人が並ぶだけでもインパクトがありますし、この二人の歌声ががぶつかり重なる共演を生で感じたいです。

なにより魅力的なのは、世に出てから20年近く立っても、ヘドウィグ達の気持ちに揺さぶられてしまうところ。いえ、苦しい気持ちを抱え、熱烈に愛を求めつづける生き方には時代は関係あいのでしょう。舞台は観たことがなくても、映画で知っているファンもいる本作。新たな2人のタッグが、どんな魂の片割れとしてステージに立つのか楽しみです。

ほか、気になる作品!※公演日順
米倉涼子、3度目のブロードウェイ主役!『CHICAGO<シカゴ>』(8月1日開幕)
来日公演が360℃回転劇場にて『ウエスト・サイド・ストーリー』(8月19日開幕)
パルコ×根本宗子×GANG PARADE『プレイハウス』(8月25日開幕)
藤ヶ谷太輔さん初ミュージカル『ドン・ジュアン』(8月30日開幕)
「恋と音楽」シリーズと稲垣吾郎が再タッグ『君の輝く夜に~FREE TIME,SHOW TIME~』(8月30日開幕)

2.5次元舞台

舞台『幽☆遊☆白書』
【東京公演】8月28日(水)~9月2日(月) シアター1010
【大阪公演】9月4日(水)~9月8日(日) 森ノ宮ピロティホール
【福岡公演】9月10日(火)~9月13日(金) ももちパレス
【愛知公演】9月20日(金)~9月22日(日) 一宮市民会館

【公式サイト】http://officeendless.com/sp/yuhaku/

正直、最初に舞台化の話を聞いて「え、どうするの?」と思った人はたくさんいるのではないでしょうか。あまりにもファンの多すぎる冨樫義博さんの漫画は、公開当時から今まで年齢も性別も問わずたくさんの人を熱狂させてきました(全キャラソンをそらで歌えるのは私だけではないはず・・・っ)。

それがキャスティングが発表されると、もう他に適役はいないのでは!というほど見事な出演者の方々が、嬉しい驚きをもたらしてくれました!主人公・浦飯幽助役は、物語の芯となり観客を惹き付ける強さを持つ崎山つばささん。桑原和真役は、長身と安定感と独自の力強さを体現する郷本直也さん。蔵馬役は、その柔らかく色気ある佇まいが適任すぎる鈴木拡樹さん。飛影役は、実は前から「やるならこの方しかいないのでは」と密かに思っていた橋本祥平さん。そして、コエンマ役の荒木宏文さんもそのハマりっぷりでかなり話題になりました。

ふだん舞台を観ない人達までも盛り上がり、何度もSNSのトレンドに取り合あげられその注目度の高さを感じます。これだけ期待が集まっている作品は、おそらく出演者はじめ関係者のみなさまに良い意味でもプレッシャーだとは思いますが、不思議なことに安心感があるのです。こちらも自信と期待を抱えて前のめりな気持ちで劇場に向かいたいと思います!

ほか、気になる作品!※公演日順
夏組単独公演!MANKAI STAGE『A3!』~SUMMER 2019~(8月8日開幕)
ついにオリジナルストーリーへ!ミュージカル「スタミュ」-3rdシーズン-(8月12日開幕)
大人気ラノベ舞台化!『魔術士オーフェン はぐれ旅』(8月15日開幕)
和楽器「箏(こと)」を題材にした人気コミックス『この音とまれ!』(8月17日開幕)

劇団/小劇場

夏の日の本谷有希子『本当の旅』
8月 8日(木)~8月18日(日) 東京・VACANT

【公式サイト】http://www.motoyayukiko.com/next_performance/

本谷有希子さんによる、約3年ぶりの演劇公演。上演が発表されてから、もう3年経つんだ・・・という思いと共に、待ち望んでいた自分にも気づきました。2000年に第一回公演をおこない、2012年を最後に劇団としての公演は行っていません。もともと専属の俳優を持たないプロデュース・ユニットとして活動していましたが、近年は小説での活躍が続いていました。

上演されるのは、自身の小説をベースにした舞台。単行本「静かに、ねぇ、静かに」(講談社)に収録された短編「本当の旅」。ハネケン、づっちん、ヤマコの3人は、クアラルンプールに旅行へ行くことに。SNSでの自己表現を価値あるものと信じる彼らは、旅の楽しみ方を通して“本当の旅”を知って・・・という内容。

自意識など、人間の感情をなまなましく強く揺さぶる本谷さんの作品群が、今回時間を経てどうなっているのか。また、小説がベースであること、「その場で行う」という演劇と反して「旅」を扱うことで、どのような劇評劇になるのでしょう。00年代を風靡していた本谷さんの舞台ということで、今の演劇界になにかしらの一石を投じる舞台になるのではと、その作品や反響にも注目したいです。

ほか、気になる作品!※公演日順
鵜山仁演出の不自由なユートピア――イマシバシノアヤウサ『アイランド』(8月1日開幕)
毛利亘宏が泉鏡花の作品を大胆に脚色、北村諒さんら出演!少年社中 第三十七回公演『天守物語』(8月2日開幕)
のんらが30人を3人で演じる!?オフィス3◯◯『私の恋人』(8月7日開幕)
谷賢一が3年間かけて取材・構想・執筆を行った、DULL-COLORED POP『福島3部作・一挙上演』 (8月8日開幕)
岸田國士戯曲賞受賞作 岡崎藝術座『バルパライソの長い坂をくだる話』(8月21日開幕)
劇団20周年特別企画 劇団桟敷童子『堕落ビト』(8月23日開幕)
大空ゆうひさんや鈴木浩介さんら出演!劇団た組。『今日もわからないうちに』(8月28日開幕)

ダンス/舞踏

コンドルズ日本縦断新元号ツアー2019『Don't Stop Me Now』

【東京公演】8月22日(木)~8月25日(日) 世田谷パブリックシアター
【福岡公演】8月31日(土)~9月1日(日) イムズホール
【広島公演】9月14日(土) アステールプラザ
【富山公演】11月10日(日) 黒部市国際文化センターコラーレ
【兵庫公演】11月16日(土) 兵庫県立芸術文化センター
【徳島公演】2020年1月19日(日) あわぎんホール
【大分公演】2020年2月2日(日) 大分・グランツたけた

【詳細】http://www.condors.jp/stages.html#a03

いつだって、本気の遊びで笑わせてくれる。いくつになっても学ランで全力疾走する男性のみのダンス集団・コンドルズ。結成23年となり、海外ツアーやテレビ出演などメンバーそれぞれが忙しく活動するなか、今年もまた全国ツアーを行います。

ダンスだけでなく、さまざまなパフォーマンスが目白押し。大規模なコントをしたかと思えば、ゆるい人形劇で笑わせたり、軽快な映像で楽しませたりと、あの手この手で楽しませてくれます。そして全員が学ランで踊る瞬間は鳥肌が立つほどカッコ良く見えます。大人の学園祭のようなステージに魅せられたファンの盛り上がりもまた楽しい空間です。客席には子ども、ダンス好きの大人、友達同士でやってきた女性ファンや、仕事帰りに一人で寄ったサラリーマンなど、顔ぶれが多彩。

東京公演では、夏休みということもあり23日(金)のオープニングアクトに参加する子どもたちを募集。事前に3日のワークショップを行い、リハーサルを経てステージに立つ機会もあります。うらやましい!

古典

第二回 古典芸能を未来へ ~至高の芸と継承者~ 能楽 歌舞伎 囃子
8月28日(水) 国立劇場 大劇場

【詳細】https://www.igagumi.co.jp/ec/html/products/detail.php?product_id=225

日本の古典芸能を未来に繋げていこうというこの企画。さまざまな伝統芸能が同じ舞台に集結します。

1演目、狂言と歌舞伎による三響會版「三番叟」には野村萬斎さん、市川海老蔵さんら。2・4演目は、田中流三代による長唄素演奏「西王母」「勧進帳」 。3演目は、観世流による半能「野宮」。5演目は、舞踊「老松」を坂東玉三郎さんらが踊ります。6演目は、能と歌舞伎による、三響會版「獅子」、と盛りだくさん。

上演が一回のみなのが残念。でも同劇場の小劇場で8Kライブビューイングも行われますよ!


その他

第9回『シアター・オリンピックス』
8月23日(金)~9月23日(月) 富山県利賀芸術公園、宇奈月国際会館「セレネ」、前沢ガーデン野外ステージ(YKK)

【公式サイト】https://www.theatre-oly.org/

これまで8回、世界各国で行われてきた国際的な舞台芸術の祭典「シアター・オリンピックス」。今年第9回目は初の2ヶ国共同開催として、日本とロシアで開催されます!

日本の会場となるのは富山県の利賀と黒部。とくに利賀は、富山駅からさらに移動が大変な山間の村ですが、演劇の聖地として各地から人が集まる場所です。芸術公園内の池や、伝統的な造りの建物のなかで、湿気や生き物の気配を感じながら観る舞台経験はなかなか忘れられません。

今回は、ギリシア、ポーランド、アメリカ、イタリア、インドネシア、スペイン、インド、韓国、台湾、中国、トルコ、フランス、メキシコ、リトアニア、ロシアの演出家が参加。日本からは、シアター・オリンピックスの芸術監督である鈴木忠志さんの『リア王』『サド侯爵夫人』ほか、毎年夏に開催され花火が圧巻の野外舞台『世界の果てからこんにちは』などが上演されます。ほか、宮城聰さん、平田オリザさん、金森穣さんらなどの作品、シンポジウム、レクチャー、トークイベントなど開催。

生活や喧噪から距離を置き、世界の舞台芸術を浴びる夏は、刺激的な季節になりそうです。


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世間はお盆休みといえど、舞台もショウも止まりませんね。出演者の方、スタッフの方、お客さんも素敵な夏を過ごせますよう。笑って、泣いて、静かに震えて、暑気払いともなればと、今日も劇場へ向かいます。

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