劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月“霧丸”対談!平間壮一×松岡広大インタビュー


2017年11月23日(木・祝)に、劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月が開幕する。今年3月から上演されている『髑髏城の七人』も、“花・鳥・風”を経て、“Season月”を迎える。“Season月”は、福士蒼汰主演の“上弦の月”、宮野真守主演の“下弦の月”のWチーム制。若いキャストが多いこと、そして、過去作では女性が演じていた「沙霧」が「霧丸」として男性に変化していることが大きな特徴だ。

この霧丸を、“上弦の月”では平間壮一、“下弦の月”では松岡広大が演じる。同じ事務所の先輩・後輩でもある二人に、公演へ臨む意気込み、同じ役を演じる上で思っていることなどを聞いた。

劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月“霧丸”対談

製作発表で感無量!

――製作発表から、すでにお客様が大賑わいでしたね。

松岡:とてもいい雰囲気でしたし、皆さんの期待の高さを感じました。劇団☆新感線さんでもWチームで公演するのは初めてらしいので、そういうところへの期待値も大きいのかなと思いました。

平間:でも、まさか製作発表からあんなに大々的にやってもらえるとは思ってなかったよね。広大なんて、製作発表のリハーサルの時点で泣きそうになってたし(笑)。

松岡:だって僕、本当に劇団☆新感線さんが大好きで、憧れだったんです!だから、自分の名前と役名の「霧丸」の文字がスクリーンにバッっと出て「感無量だ・・・」と思って。かっこよかったなあ。でも緊張しすぎて、入場してからどこに歩けばいいのか分からなくなってしまいました(笑)。

――「霧丸」は、これまではずっと「沙霧」として女性が演じてきた役でした。役名と性別が変わって、どうなるのかとても気になります。

平間:最初に聞いた時は、僕たちもずっとどうなるんだろうと思っていたんですよ。今回は捨之介と霧丸の関係が“男の友情”になっています。熱く語り合って仲良くなるのではなく、相手の姿を見ているうちに「この人について行きたい」とか「一緒にいてよかった」と思うような関係性だと思うので、男性になってもおもしろい関係だと思います。でも、両チームでまったく違った舞台になりそうですね。広大は僕の想像より大人っぽい霧丸を作ってきそうだなあ。

松岡:僕は、霧丸は19歳ぐらいかなと思っていて、自分と同年代のイメージです(上演時の松岡さんは20歳)。この年齢だと高校を卒業して、就職して働きだしている人もいますよね。10代後半という、一番多感な世代で自分と葛藤してるんじゃないかなと思います。

平間:僕は27歳だから、霧丸が20歳くらいだったとしても、無理に若く演じないようにしようと思っています。“上弦の月”も“下弦の月”も、物語は一緒だけど、捨之介と霧丸の関係はちょっとずつ違うと思うんですよね。“下弦の月”は大人な宮野(真守)さんと20歳の広大で歳が離れているし、“上弦の月”の福士(蒼汰)さんと僕は歳も近いから、それがどう影響しているのか。想像のつかない本番になりそう。

先輩と後輩、互いに“怖い”存在

――お二人は同じ事務所の先輩後輩であり、松岡さんは平間さんのことを「ダンスの師匠」ともおっしゃっていますよね。同じ役を演じることが決まった時は、どんなお気持ちでしたか?

平間:いやぁ、“怖い”しかないですよ~(笑)。さっきの話にもあったように、霧丸や沙霧には若いイメージがあって、僕より広大の方がそのイメージに近いですからね。しかも、同じ“上弦の月”兵庫役の須賀健太くんも若い。これまでの『髑髏城の七人』では、兵庫は霧丸より歳上でオジサンとして演じられてきたのに、今回はそこもぜんぜん違うんです。稽古は両チーム一緒にやるので、広大にも見られるし。だから、恥ずかしさは捨てて、先輩後輩関係なく、一緒に創っていくしかないと覚悟を決めました。

松岡:反対に僕は、壮一さんは自分の武器やこれまでの芝居の経験を存分に発揮されるだろうから“怖い”なと思いました。僕はキャリアも実力も足りないですが、切磋琢磨していかなければと考えていて、少し気が滅入ってしまっていたことも・・・。

劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月“霧丸”対談_2

平間:広大はすごく真面目でしっかり者だから、稽古の準備にも気合いを入れて構えてるんだろうな。僕が「あれ?今日どこやるんだっけ~?」とか言ってると、すぐに「○○っす!」って教えてくれるもんね。

松岡:はい!後輩ですから(笑)。でも、舞台の上では皆平等なので、先輩への礼儀はきちんとした上で、壮一さんとシェアできるものはシェアして、盗めるものは盗んでいきたい。

壮一さんに「おっ」と思ってもらえるような霧丸にしないとって、毎日毎晩考えています。

平間:毎日毎晩(笑)。

松岡:闘争心とかではないですよ!チラシにも「どっちの月を見上げる?」と書いてあるから、お客さんには“上弦の月”と“下弦の月”はライバル、みたいな印象があるかもしれないけど、競争するつもりはないんです。“Season月”という一つの大きな座組みなので、一緒に創っていきたいです。

平間:稽古でも両チームのメンバーが入り交じっていくだろうね。皆、良い人なんですよ。ほとんどの方が初共演なんですけど、僕がラフに接しても受け入れてくれるし、製作発表の控え室でも皆がわざわざイスを持ってきて、一つのテーブルを囲んでいたんです。で、珍しく広大がいじられ役なんだよね。

松岡:僕、いじられるんですよね・・・(不満そうな松岡さん)。

平間:あはは(笑)!

松岡:座組みの中では僕、年下だし、いいんです!でも何故か「飲みに誘ってもらえない」といういじられ方なんです。せっかく20歳になって飲みに行けるようになったのに、皆に「無理しないでいいよ」って言われるんです。

平間:そしたら、広大は「どこでも行きます!」って答えてるよね(笑)。

松岡:(早乙女)太一さんとか「いやいや、無理しないで」って、本気かと思うほど普通のトーンで言うんですよ。三浦(翔平)さんも「大丈夫だよ。明日も仕事あるでしょ」ってさらっと言うのですが、皆同じ稽古ですから!・・・これだけいじられると、新しい自分に出会えそうです。

平間:(爆笑)!!

――稽古の最初の頃に、すでに両チームの霧丸と天魔王(早乙女太一/鈴木拡樹)で飲みに行ったという話も聞きましたよ。

松岡:そうそう、そうなんです。太一さんが「ごはん行こうよ」って声をかけてくださって、行きました。

平間:太一くん、めちゃくちゃ良い人だよね。ほかの出演者の皆さんとも、公演を通じてもっと深く知り合えたら嬉しいですね。

――稽古が始まった頃の心境は?

平間:最初はアクションの稽古から始まったんですけど、その時から、見ているだけでもワクワクしました!いのうえ(ひでのり)さんと芝居部分の稽古をする時は、どうなるんだろうってちょっとビビったけど(笑)。

松岡:最初はかなりビビっていました。台本に「歌・ダンス」って書いてあるところとか、「この流れでどうやって!?」と全然イメージできなくて。いのうえさん次第なので、臨機応変に対応していくしかない。臨機応変でありながらも、僕なりに「こう考えています」というものを提示したいので、できるかぎりの準備をして、体当たりでぶつかるのみだと。でも、稽古はすごく楽しいです!

劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月“霧丸”対談_3

――それぞれどのように役と向き合っていますか?

松岡:僕は小栗旬さん主演の“ワカドクロ”バージョン(2011年)で、仲里依紗さんが沙霧を演じている「ゲキ×シネ」からこの作品を観ているのですが、役作りは・・・(平間さんに)どうしていますか?

平間:僕はもう、稽古場から役に入ってるよ。いつもなら共演者の皆さんに挨拶する時も「おはようございます、平間壮一です」って敬語なんですけど、今回はちょっとやんちゃでラフな霧丸のキャラクターを出していきたいなと思って「おはよう~!」って挨拶しています。弱いけど相手に突っ込んでいく怖い者知らずな感じで、太一くんにも「お~、太一くん!」って。

松岡:確かにくだけていますよね。最初、稽古場で「壮一さんってこんな感じの人だったっけ?スタンス変えたのかな?」と思っていました。それは座組みの中でも壮一さんのポジションだからなのかなと思っていましたが、役作りだったんですね。僕の場合は・・・もちろん、これまでの『髑髏城の七人』の良いところを大切にしつつ、“Season月”のテーマである“若気の至り”を意識していこうかなと。このキーワードは僕たちも製作発表の時に初めて聞いたので、その瞬間、皆でものすごく納得しましたよね。

平間:なるほど!って思ったよね。

松岡:“若気の至り”を大事にすれば、理想の作品に近づけるのではないかなと思います。この配役の特徴でもある“若さ”を活かして、やんちゃさや葛藤などのリアルな心情を表現できたらいいな。でも役作りの基本はやっぱり台本なので、言葉の言い回しやそこから感じるインスピレーションからキャラクターを構築していきたいです。

劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月“霧丸”対談_4

歴史ある『髑髏城の七人』に、若者たちがどう立ち向かうか

――“Season月”にあたって、オープニングも大幅に変わるそうですね。

松岡:オープニング、すごいです!これまでの『髑髏城の七人』とは大きく変わっています!最初に登場するアノ人が、ものすごいエネルギーで・・・ぞわ〜っとすると思います。誰かはお楽しみです(笑)。

平間:同じ作品でも、ここまで変えられるんだなと驚くよね。いつもすごいなと思うけど、“Season月”もかなりすごい。

――ずばり、お二人が思う『髑髏城の七人』の魅力、楽しみはどんなところでしょう?

平間:僕、この劇場でお客さんとして初めて舞台を観た時、「映画と舞台の間みたいな新しいジャンルができたな」と思ったんですよ。そして、このメンバー、この年齢、この2チームがやる『髑髏城の七人』は、今しか観られないものだから、お客さんには先輩たちがやってきた『髑髏城の七人』に若者たちがどう立ち向かっていくかを観ていただきたい。良い作品をつくるために皆で汗水たらしてがむしゃらに、時には泣くかもしれない。そんな姿を楽しみに待っていてほしいですね。

松岡:(低い声で)いや・・・僕はもう今にも泣きそうです・・・。

平間:あははははは、もう(笑)!?でも、観に来てくれるお客さんたちに、若者たちがんばっているんだなって感じてもらえるようにがんばろ?

松岡:あっ、うっ・・・(思い出し緊張をしたのか、声が出なくなる松岡さん)。

――いのうえさんは「“Season月”は若者も多いからすごく動く」と言っていましたね。

松岡:う、動っ・・・(より一層固まる松岡さん)。

平間:特に僕と広大はめちゃくちゃ動くでしょうね。霧丸はアクションも多いし。

松岡:ですよね・・・。

平間:その体力面が、女性から男性に変わった理由の一つでもあるんだろうな。霧丸は突っ込んでいくけど、力がないという役。身体能力もすばしっこさもあるんだけど、非力で強い人に攻撃されたら思いっきり飛んでいっちゃう。だから、アクションシーンでは僕ら、避けて跳んで走って転んで・・・と忙しくなりそうです。で、最初の質問に戻ってみるけど、広大が思う『髑髏城の七人』の楽しみは?

松岡:はぁ、えっと・・・そうですね・・・(暗)。

平間:顔が固い・・・(笑いをこらえきれない平間さん)。

松岡:ええと・・・『髑髏城の七人』はすごく観やすくて、誰かが登場したらピンスポットが当たって、拍子木が鳴るんです。誰に目を向けたらいいのか分かりやすいので、観劇が初めての方でもすごく観やすいと思います。さらにストーリーも素晴らしくて、エンターテイメントが全部詰まっている。僕も、お客さんとして映像や照明の美しさに引き込まれ、ストーリーの深さにのめりこみました。きっとどんな方でも虜になると思います。<上弦の月>と<下弦の月>では、作風も質感も違うものになるはず。時代物ですが、親しみを持ってフラットな気持ちで劇場に来ていただきたいです(話しながら松岡さんは元気を取り戻しました)。

――スポットライトが当たって傾(かぶ)くのは気持ちが良さそうですね。

松岡:そうなんです!新感線の良いところは見得を切れるところ。たぶん一番気持ちがいい瞬間だと思うのですが、本番まで繰り返し稽古して、自分と戦いながら心折れないように頑張っていきます。きっと本番も毎日ビビっていますから。

平間:じゃあ初日は僕が先に迎えるから、すごくおもしろい舞台にして広大の心をけちょんけちょんにしてやろうかな(笑)。

松岡:僕、マネージャーさんに「今日、壮一さんすごかったよ」なんて言われたらどうなっちゃうんだろう・・・。初日が開けて、ツイッターに「壮一くんの霧丸よかった!」とかいっぱい書いてあったら・・・絶対書いてあるんですけど、そんなツイート目にしちゃったら、僕、携帯壊してしまうかも・・・。

平間:あははははは(笑)!大丈夫だよ。楽しみながら、成長できるようにお互いがんばっていこう。

松岡:はい・・・ちゃんと誇りを持って、作品に愛を持ってがんばります。たくさんの人に感動を与えられるような演舞を目指すので、ぜひ、劇場に足を運んでいただきたいです。

平間:お待ちしてます!

劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月“霧丸”対談_5

◆公演情報
ONWARD presents 劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月 Produced by TBS
2017年11月23日(木・祝)~2018年2月21日(水) IHIステージアラウンド東京(豊洲)

<上弦の月>福士蒼汰 早乙女太一 三浦翔平 須賀健太 平間壮一/高田聖子/渡辺いっけい ほか
<下弦の月>宮野真守 鈴木拡樹 廣瀬智紀 木村了 松岡広大/羽野晶紀/千葉哲也 ほか

(撮影/河野桃子)

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