『Ye-夜-』北村諒&松村龍之介インタビュー!「観る人の心に何か響くものが、そこにあると思います」


『Being at home with Claude~クロードと一緒に~』を手掛けたZu々プロデュースの第2弾は、『Ye-夜-』。中国の若手監督、周豪による『夜』(2014年)の初舞台化だ。中国のどこかの地方都市の夜の街の裏通りを舞台に、男娼を生業とする水仙(スイシェン)、娼婦の薔薇(チアンウェイ)、そして客の夜来香(イエライシャン)、刺(ツァ)が出会い、つながっていくなかでいつしか自分を見つめ直していく。脚本・演出を担当する空想組曲のほさかようが、登場人物たちの内面をよりリアルに、生々しく見せる濃密な舞台に仕上げる。水仙役の北村諒と夜来香役の松村龍之介が本作に向けての意気込みを語りあった。

『Ye-夜-』北村諒&松村龍之介インタビュー

――最初に『Ye-夜-』出演の話があった時の心境は?

北村:最初話を聞いたときは、原作の映画を知らずに、ざっくりとした内容だけだったんですけど、ストレートプレイに出たいなって気持ちがあったのでお話をいただいたときは嬉しくて、すぐにやりたいと思いました。

松村:僕もめちゃめちゃ嬉しかったですね。今まで自分が経験したことのないジャンルの作品だったので、挑戦だし、観に来てくださるお客様にも新しい姿を見せられる機会ができたと思いました。ほんと、楽しみでしょうがないです。

『Ye-夜-』北村諒&松村龍之介インタビュー_5

――二人とも、ストレートプレイがやりたかった?

北村:2.5次元作品から離れて、少し色が違う作品に出たいなというのがあって。

松村:そうそう。殺陣とかダンスとか歌がなくて、自分のエネルギーを演技だけにぶつけられるからね。今回もほぼ4人だし、ぶつかり合いになるよね。

北村:それもいいよね。なかなか、そういったお芝居には出会えないので。

松村:うん。だから絶対楽しいと思う!

――出演が決まってから映画を観たそうですね。二人が演じるのは夜の裏通りで仕事をする男娼と客ということで、舞台自体も15歳未満の入場が不可と、かなりチャレンジングな作品になると思いますが、その怖さはなかったですか?

北村:映画を観て、舞台はどういう展開にするのか、何を見せるのかとかいう怖さはありましたけど、それ以上に好奇心のほうが大きかったですね。自分がこの作品でどれだけのことができるのか、試してみたい気持ちのほうが大きかったです。

――二人はこれまで3度舞台で共演されていますから、お互いに心強いのでは?

北村:「はじめまして」から始めないでいいですからね。限られた稽古期間の中で、初めから舞台について、気をつかうことなく役作りについての深い話ができるから。
でも、僕たちプライベートではそこまで仲良くないので(笑)。

松村:おーい!おいおい、先輩だけど、おい(笑)!決まってすぐ「次一緒ですね」って話したのに・・・。

北村:(笑)。

松村:僕は(相手が)諒くんで良かったと思ってるんですよ。本当に。

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――薔薇役の平田裕香さん、刺役の谷口賢志さんについてはどうですか?

北村:賢志さんとは別作品で共演しているんですけど、平田さんは初めましてですね。

松村:僕も平田さんは初めましてです。楽しみですね。

北村:良い意味で、ドキドキというか、

松村:こういう作品だからこそ、他の舞台と比べて、稽古場での関わり方が違ってきそう。

北村:人数少ないからね。濃い稽古場になると思うんですよね。

――現時点で、役作りについて考えていることはありますか?

北村:えっと・・・。

松村:じゃあ、僕から。諒くんもそう思ってると思うんですけど、水仙も夜来香もすごく繊細で。自分の中で思っていることをなかなか相手に伝えられない、伝わるものでもないというのを、どう観ている人に伝えるか。自分の中のいろんな葛藤、ぶつかり合い、人との交わりを、上手くお客様に伝えることができたらと思っています。

北村:二人とも純粋なんだよね。

松村:うん。すごく共感出来るし、勉強になる。今回の作品で、役者としての視野が広がって成長できたら。

北村:僕が映画を観て思ったのは、手法は違うけれど、身体を「売る」仕事というのは役者と通じているなと思った。俳優も、身体や声、動き、表情を売っている仕事だと思うので。別次元だけど、職業という観点で観た時には、僕は俳優に近しいものを感じました。水仙がこの世界で生きている、ぼくも役者という仕事で生きていくっていうのを体現したいなというか。重ね合わせる。僕は僕で、芝居で彼を表現していけたらいいなというのはあります。

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――出演が決まってから、脚本・演出のほさかさんと話をする機会があったそうですね。

北村:はい。(お話を聞いて)ほさかさんが舞台でこれを見せたいんだなというのが少し分かった気がしました。映画を観ていると、街灯、電気、路地裏の薄暗さだったり、映像や雰囲気で見せることがすごく大きな役割になっていましたけど、舞台ではそこにいる人間たちの生々しさの方をより表現したい、見せたいと言っていたのに納得したというか。

松村:僕も、それにより舞台で、僕たちがやる意味があると感じましたね。

――二人とも、ほさかさんの作品に参加したかったとか。

北村:ほさかさんが脚本を担当した作品に出演したことはあるんですけど、打ち上げで少し話したくらいしかなくて。演出を受けたことがなかったので、念願叶いました!

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松村:僕は一度、事務所に入って数ヶ月くらいの頃にほさかさん演出の作品に出たことがあって。ほさかさんは、何もわからない僕に、細かいところまでひも解いていろんなことを教えてくれました。一方的に「この感情はこうやって」ではなくて、感情ごとに「龍之介はどうしたい?」って僕に考えさせてくれたんです。

北村:なるほど~。

松村:僕が「こうします」って言ったら、「それいいね!じゃこういうことか」「そうです!」って。だから、稽古が本当に楽しかったことを今でも覚えています。役者に向き合ってくれるというか。だから、今回もほさかさんにはいい意味で甘えちゃうと思います。

――この取材の前に、ほさかさんとお話する機会があったようですが。

北村:作品のことを話す時の観点が、やっぱり「作家さんだな~」って。話す言葉一つでも、僕らが使わない表現でお話をされる。もの作りに対して、書くことに対して、すごくストイックな印象も受けたので、今回は研ぎすまされた作品になるんじゃないかなって思いました。

――ところで、共演歴が舞台以外にもいろいろとあるだけに、2人の仲の良さを感じるんですが、お互い俳優としてどう思っているか、教えてもらえますか?

北村:のすけは、真面目。熱い、いいヤツ。かわいいんですよ(笑)。出来ないことをすごく努力して、出来るようになろうとする姿勢が伝わってくるし、なんかこう、見てて一本芯が通っているような印象があります。それがうらやましいし、素敵だなって思いますね。稽古でもそうだし、舞台を観に行っても思う。真っすぐだなと。

松村:(照)。僕のこと熱いって言う諒くんも、僕は熱い人だと思ってるんです。表面上はまったく見えないんですけど。

北村:見せてないんじゃ~(笑)。

松村:知れば知るほど、この人は「熱いぞ」って思う。それに、すごく周りのことを考えているし、見てるし、なによりかっけーし。ほんとこれ以上、がんばらないでください。人気はもうありますから(笑)。

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北村:これでがんばれなかったら、俺ダメな人だよ(笑)。

松村:(笑)。諒くんと今回の作品で一緒にやれると決まって、正直な話、すごく安心したんですよ。上手く言えないけど、「諒くんなら俺、大丈夫だ」と安心する自分がいました。(諒くん自身が)水仙という役にも合ってますし、僕が演じる夜来香が好きになる水仙を演じるのが諒くんでよかったと思っていて。

北村:嬉しいですね。

松村:今回、僕の中で目標があるんです。その一つが「諒くんの好きなところを増やす」なんですけど。今はこれくらい・・・(片手で数センチの幅を作る)なんですけど。

北村:だいぶ少ねーな(笑)!

松村:僕が今、思ってる諒くんの好きなところは、顔が白い、ホリが深い、熱い、かっこいいところ(笑)。

北村:これ読む人、100人中98人が「お前が言うな!」と思うよ、きっと(笑)。

松村:いやいやいや!あとすごく気をつかってくれるところ。つかわなそうに見えるじゃないですか。「気なんてつかうか、他のヤツなんて目じゃねえよ」くらいの人に見えるけど(笑)。違うんですよ、普段からすごく、人に気をつかってくれるんです。

――北村さんは、そういうところに気づかれたくないタイプなんですかね?

北村:・・・イヤじゃないですか。「俺、がんばってます!」って見えたら、覚めちゃうでしょ。

松村:諒くんは淡々と、磨いてる感じだよね。そういう人、僕大好きなんですよ。人に見せないところで、がんばってて、ちゃんとできる人。素敵ですよね。

北村:見せるのは“結果”だけでいいんだよ。

松村:これ!・・・これですよ!!

北村:ここ太文字でお願いします(笑)。

『Ye-夜-』北村諒&松村龍之介インタビュー_2

――では、最後にメッセージをお願いします!

松村:今まで僕たちを観て来たお客様が、多分観たことのない姿を見せると思います。新しい一面を見せるのはもちろんですけど、その演技に説得力も出しつつ、観に来た方たちが「おもしろかった」「かっこよかった」「かわいかった」だけじゃなく、観たことが明日の糧になるとか、何かが心に残って、その人の生きる上での原動力になったらいいなと思います。

北村:北村諒と松村龍之介をはじめ、このキャストで挑むこの作品は、皆さんがあらすじで想像しているものと、きっとちょっと違うものになっていると思います。表面上だけで出来る物語、舞台ではないので、稽古で作品も役も深く掘り下げていって、皆さんの想像とちょっと違う、その上をいく作品にしたいです。皆さんを驚かせるような、何か心に響くものがそこにあると思いますので、ぜひぜひ、劇場に足を運んでもらえたら幸いでございます!

『Ye-夜-』ビジュアル

◆公演情報
『Ye-夜-』
4月5日(水)~4月9日(日) 東京・東京芸術劇場 シアターウエスト
【脚本・演出】ほさかよう
【出演】北村諒、松村龍之介、平田裕香、谷口賢志、鈴木ハルニ、騎田悠暉(TOKYO流星群)、岩尾祥太朗、五十嵐朋江、高木健
※15歳未満入場不可

※『Ye-夜-』の「e」は、アクサン付きが正式表記

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