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『プルートゥ PLUTO』ロンドンで欧州ツアー始動!来場したアダム・クーパー「心を揺さぶられる感覚」

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舞台『プルートゥ PLUTO』の欧州ツアー初日公演が、2018年2月8日(木)にイギリス随一のエンターテイメント発信施設として世界的に有名なロンドンのバービカン・シアターにて開幕した。

原作は「ビッグコミックオリジナル」(小学館)にて2003年から2009年まで連載された漫画「PLUTO」(浦沢直樹×手塚治虫 長崎尚志プロデュース、監修/手塚眞、協力/手塚プロダクション 小学館)。演出・振付をシディ・ラルビ・シェルカウイが手掛け、2015年に初演。今回「アトム」役に森山、不思議な力を持つ「ウラン」とゲジヒトの妻「ヘレナ」の二役に土屋、「ゲジヒト」役に大東駿介、「お茶の水博士」役に吉見一豊、キーパーソンとなる天才科学者「アブラ―」役に吹越満、アトムの生みの親「天馬博士」役に柄本明と、一部新キャストを迎え再演された。

『プルートゥ PLUTO』ロンドン公演舞台写真_2

以下、バービカン・シアター初日公演のオフィシャルレポートをお届けする。

【初日公演レポート】
2月8日夜、『プルートゥ PLUTO』欧州ツアー最初の公演地であるロンドンのバービカン・シアターで、初日の幕が開いた。世界的に活躍している演出・振付のシディ・ラルビ・シェルカウイ(ベルギー出身)は、ダンサー・振付家としてロンドンでもよく知られた存在だが、バービカン・シアターには初めての登場。

そして『プルートゥ PLUTO』の原作である漫画というカルチャーは、いまや世界中で認知され普及しているものの、イギリスにおいては関心が低いという現状がある。“演劇の国”を自負する地で、日本語上演・英語字幕による漫画の舞台化は、どう受け止められるのか。不安が期待を上回る中で開演を迎えた。

1,152席の客席は満員。年齢や男女の比率もバランスが取れている。日本の上演では無かった英語字幕が、原作漫画の画像を多用した装置の中に、舞台美術のデザインのように溶け込んで表示され、まさしく“漫画”になっているのが印象的だ。

観客は非常に集中度が高く、反応も明快で、ウラン(土屋)のお茶目で豊かな表情に笑い、子ども型ロボットが「パパ、ママ」とあどけなく話すと、驚きと慈しみの混じった歓声がもれ、某国大統領のブレーンである、テディベア型の高性能ロボットのあっけない最期には、大爆笑が起きた。

日本とは異なるリアクションにシェルカウイは「いずれも僕がおもしろいと思っていた箇所が大受けして、嬉しい限りです。バービカン・シアターは海外の多様なカンパニーの作品を上演する劇場のせいか、観客がとてもオープンな姿勢ですね。深く作品に共感してくれている様子が、手に取るように伝わってきました」と確かな手応えを感じていた。

刑事ゲジヒト役の大東は「イギリスは世界で最も漫画を読まない国と聞いていましたけど、原作を知らなくても、十分分かってもらえましたね。原作の浦沢直樹さんとも話したんですが、漫画にはなじみが無くても、漫画を舞台化した演劇『プルートゥ PLUTO』から、イギリスの人たちが漫画への興味を持ってくれるようになったら、おもしろい展開になるぞと思いました」。

好反応の初日を終えた直後で、興奮と安堵が漂う中、アトム役の森山は「日本ではストーリーを知ってる人も多く、シリアスに観る傾向がありましたけど、こちらの人たちは、フランクに観てくれている感じですね。僕たちとしては、環境が変わって、キャスト・スタッフのクルー全体がいい緊張感を持ってできたので、今日は良かったと思います。ただ字幕と台詞の関係性について、もう少し考えていった方がいいと思うんですよね」と、いたって冷静に、次の課題に意識が向かっている様子。

ロンドンで5公演を終えると、次はオランダ・レーワルデン、ベルギーのアントワープと欧州ツアーは続く。3月の大阪公演までに『プルートゥ PLUTO』はまた、目覚ましい進化を遂げそうだ。

(文/伊達なつめ【演劇ジャーナリスト】)

『プルートゥ PLUTO』ロンドン公演舞台写真_3

このバービカン・シアター初日公演には、ダンサーのアダム・クーパーやアクラム・カーン、Bunkamuraシアターコクーンが新たな視点で挑む演劇シリーズ「DISCOVER WORLD THEATREシリーズ」での演出も務めたフィリップ・ブリーン、リチャード・トワイマン、そしてナショナル・シアターのアソシエイト・ディレクターであるサイモン・ゴドウィンらが駆けつけた。

アダム・クーパーは「心を揺さぶられる感覚でした。これは単なる物語ではなく、私たちが住む現実世界にもリンクし、人類への強いメッセージ性を感じました。映像や大道具の使い方も賢くて斬新。日本人の俳優、ダンサーたちの表現は素晴らしく美しかったです。私たちに必要なのはバックグラウンドが違うお互いを受け入れること、そして“愛”。それを世界に広げていかなければいけないでしょう」とコメントを寄せている。

また、作者の浦沢直樹も来場し、演出・振付のシェルカウイと共にカーテンコールに登壇。森山、初舞台にて海外舞台デビューとなった土屋らと共に、満席の観客に応えていた。

『プルートゥ PLUTO』ロンドン公演舞台写真_4

『プルートゥ PLUTO』欧州ツアーの日程は、以下のとおり。その後、3月9日(金)から3月14日(水)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて公演を行う。

【欧州ツアー】※海外公演助成:平成29年度文化庁国際芸術交流支援事業
イギリス・ロンドン公演:2月8日(木)~2月11日(日) Barbican Theatre
オランダ・レーワルデン公演:2月15日(木)~2月17日(土) Stadsschouwburg De Harmonie(欧州文化首都レーワルデン2018招聘作品)
ベルギー・アントワープ公演:2月22日(木)~2月24日(土) deSingel Red Hall

また、『プルートゥ PLUTO』の演出・振付を手掛けたシェルカウイが、フラメンコ界の大スター、マリア・パヘスと共演するダンス公演『DUNAS-ドゥナス-』が日本初上陸を果たす。こちらは、3月末より東京、愛知、大阪にて。

◆マリア・パヘス&シディ・ラルビ・シェルカウイ『DUNAS-ドゥナス-』
【演出・振付】マリア・パヘス、シディ・ラルビ・シェルカウイ
【出演者】マリア・パヘス、シディ・ラルビ・シェルカウイ、ミュージシャン7名
【東京公演】3月29日(木)~3月31日(土) Bunkamuraオーチャードホール
【愛知公演】4月5日(木) アートピアホール
【大阪公演】4月6日(金) 豊中市立文化芸術センター 大ホール

※手塚治虫の「塚」は、つくりに1本線の入る旧字体が正式表記

(C)浦沢直樹×手塚治虫 長崎尚志プロデュース 監修・手塚眞 協力・手塚プロダクション/小学館
鉄腕アトム「地上最大のロボット」より 『プルートゥ PLUTO』(2018)

(文/エンタステージ編集部)

『プルートゥ PLUTO』(2018)

作品情報『プルートゥ PLUTO』(2018)

奇跡の舞台が進化。いよいよ世界へ!

  • 公演:
  • キャスト:森山未來、土屋太鳳、大東駿介、吉見一豊、吹越満、柄本明、上月一臣、大植真太郎、池島優、大宮大奨、渋谷亘宏、AYUMI、湯浅永麻、森井淳、笹本龍史

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