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芸術監督のジル・ロマン「きっと何かを受け取ってもらえる」『ベジャール・セレブレーション』公開リハーサル

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2017年11月14日(火)に東京バレエ団のスタジオにて、モーリス・ベジャール没後10年記念公演『ベジャール・セレブレーション』のリハーサルが公開された。『ベジャール・セレブレーション』とは、ベジャールが振り付けた数々の名作の抜粋をコラージュして作られた作品であり、モーリス・ベジャール・バレエ団の芸術監督ジル・ロマンが手掛けたものだ。この日はあいにくの雨だったが、広いリハーサルスタジオ内は心地よい緊張感に満ちていた。

構成は「まだ本番までに変わる可能性がないわけではない」という話だが、まず『1789・・・そして私たち』より、第一交響曲から始まる。ベートーヴェンの交響曲第1番を使ったこのプログラムは、ベジャール・バレエ団員、東京バレエ団員が入り乱れて複雑なステップ、ジャンプ、回転やリフトを見せ迫力満点。最初から観客の心をガッチリ掴む内容だった。

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その後、ベジャールが振り付けた様々な演目から、ソロやパ・ド・ドゥ、数人で踊るもの、曲調もパーカッション主体のエスニック調、クラシックやジャズから現代音楽まで、とベジャール作品の多彩さを次々と見せていった。これらの作品選びの観点についてロマンは「作品を選ぶ時にはダンサーがどういうダンサーかということを考えて選んでいます。それから、リズムや作品全体の幅広い多様性も考えているんです。だから、例えば東京バレエ団のプリンシパルである上野水香と柄本弾が踊る『我々のファウスト』のパ・ド・ドゥや、やはり東京バレエ団のメンバーが踊る『バロッコ・ベルカント』のパ・ド・シスなどはローザンヌでの公演ではやっていない、ここだけの特別なプログラムとなっています。こういったプログラムはお客様に喜んでいただくのが第一の目的です」と述べている。

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軽快なソロ、心に沁みるパ・ド・ドゥ、見る者の心を翻弄する作品の数々。踊るダンサーたちから溢れてくる情感。このプログラムを締めくくるのは『1789・・・そして私たち』より「第九交響曲」。これはベートーヴェンの交響曲第9番から「歓喜の歌」で有名な第4楽章ではなく、愛の喜びを表していると言われている第3楽章を使っている。この構成についてロマンは「プログラム全体を大きなアンサンブルとして枠組みを作るような形が良いと思ったので、ベートーヴェンの大きな作品で最初と最後を締めました。このラストの部分は、ベジャール・バレエ団と東京バレエ団が一緒になったカンパニーとしての力を見せる部分。たくさんの個性が一緒になって一つの作品に、お客様と愛の交歓をする作品になっていると思います」と語った。

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ロマンから観客へのメッセージとしては「とにかく皆さんにたくさんのことを差し上げるような、皆さんの栄養になるような、深い感情、感動を差し上げられるような舞台にしたいです。ベジャールの作品の目的は、お客様とたくさんのものをやりとりしたい、交歓したいということなので、観に来てくれれば、きっと何かを受け取ってもらえるはずです」と胸の内を表した。

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ベジャールの独特な振付を継承する難しさとやりがいについては「自分は『伝える』ためにいると考えているので、難しさ以上に非常に大きな喜びを感じています。作品を伝えていく時に、例え自分が30年前に踊った同じ作品でも、教える相手と同じぐらい、あるいはより多く自分が学んでいるんです。何かを愛している時は時間を感じないものかと思うくらいです」と喜びを言葉にした。

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『ベジャール・セレブレーション』のラストシーンでは椅子が出てくるが、ベジャールの命日である11月22日(水)の公演で、ベジャールの魂がその椅子に降りて来るのでは、という質問にロマンは「私は、常に彼が自分と共にいて、守ってくれていると考えています。だからもちろん、22日にも彼はそこにいるでしょう」と笑顔で答えていた。

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通しリハーサルが終わり、団員たちが三々五々、自分のパートを振り返ったりロマンと話し合ったりしている時に、上野は何度もその長い左脚をすっと宙に上げ、後ろから柄本が寄り添っていた。二人はベジャールの世界に没頭しているようにも見えた。本番が楽しみだ。

モーリス・ベジャール・バレエ団&東京バレエ団 特別合同公演『ベジャール・セレブレーション』は、11月22日(水)・23日(木)東京・東京文化会館にて上演される。この他の関連公演・放送・上映についての詳細は、以下のとおり。

【公演情報】
◆モーリス・ベジャール・バレエ団 2017年日本公演
『蘇るモーリス・ベジャール』
11月17日(金)~11月29日(水)東京・東京文化会館
演目/Aプロ:『魔笛』、Bプロ:『ボレロ』、『ピアフ』、『アニマ・ブルース』、『兄弟』

◆モーリス・ベジャール・バレエ団&東京バレエ団 特別合同公演
『ベジャール・セレブレーション』
11月22日(水)・23日(木)東京・東京文化会館
第1部『テム・エ・ヴァリアシオン』
第2部『ベジャール・セレブレーション』

◆ベジャールの『くるみ割り人形』
12月16日(土)・17日(日)東京・東京文化会館
東京バレエ団公演 

【TV・映画情報】
「バレエ界を変えた男、モーリス・ベジャール特集」
◆モーリス・ベジャール・バレエ団『80分間世界一周』
11月29日(水)深夜3:00 WOWOWライブ
◆映画『愛と哀しみのボレロ』
11月30日(木)午前4:45 WOWOWライブ
◆バレエ情報番組『バレエ・プルミエール』
11月30日(木)午前7:45 WOWOWライブ
MC:大貫勇輔、本田望結
ゲスト:柄本弾(東京バレエ団)
◆『君はベジャールをみたか』
12月21日(木)よる9:45 WOWOWライブ
◆『ベジャールの「ザ・カブキ」 東京バレエ団 ミラノ・スカラ座公演』
12月24日(日)午後5:50 WOWOWライブ

◆映画『ダンシング・ベートーヴェン』
12月23日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか、全国ロードショー
監督:アランチャ・アギーレ 出演:ジル・ロマン、東京バレエ団、モーリス・ベジャール・バレエ団 ほか
かつてモーリス・ベジャール率いる20世紀バレエ団が踊ったベートーヴェンの最高峰『第九交響曲』に挑んだダンサーたちの葛藤と挑戦を感動的に描いたドキュメンタリー映画

(取材・文/月島ゆみ)
(写真:Kiyonori Hasegawa)

(文/エンタステージ編集部)

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