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蜷川幸雄氏一周忌に市村正親が思い出語る「心の中に蜷川さんの魂を込めて」

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2017年5月15日(月)、埼玉・彩の国さいたま芸術劇場にて、2016年5月12日に亡くなった演出家・蜷川幸雄氏の一周忌法要が営まれた。またこの日、蜷川氏が芸術監督を務めた同劇場にメモリアルプレートが設置され、その除幕式に蜷川氏の妻・蜷川宏子氏や、6月開幕の一周忌追悼公演『NINAGAWA・マクベス』で主演を務める市村正親らが出席した。

市村正親と蜷川宏子氏

一周忌を迎え「あっという間のような長かったような一年でした」と振り返る宏子氏。「ある方が“蜷川さんのDNAは娘や孫に引き継がれて船出をしている”と書いてくださったことがあり、すごく安らかな気持ちになりました。皆さんのご厚意によって、大好きな稽古場の前に素敵なプレートを設立していただき、本当に幸せな人だったと思います。そして身内だけでなく、市村さんをはじめ俳優さん方にバトンタッチされていくんだなと思うと幸せです」と感慨深げに語った。

蜷川幸雄氏メモリアルプレート

今回設置されたのは縦80センチメートル、横75センチメートルのプレートで、蜷川氏の長女で写真家の蜷川実花が撮影した写真も添えられている。また、蜷川氏の著書より引用された「最後まで、枯れずに、過剰で、創造する仕事に冒険的に挑む、疾走するジジイであり続けたい」とのメッセージも刻まれた。その言葉を「今の僕に対する蜷川さんからのダメ出しだと思っています」と受け止める市村。「僕が癌になったとき蜷川さんに連絡したら“体に傷を持つと芝居も変わるよ。僕も演出が変わってきた。だから市ちゃん(市村)が退院した後の芝居が楽しみだ”とおっしゃってくださいました」と蜷川氏との思い出を語った。6月からは『NINAGAWA・マクベス』の再演が控えており、日本を含む世界4カ国で上演される。主演を務める市村は「ニーナ(蜷川氏)と一緒に行きたかったイギリス、香港、シンガポールでの公演。僕の心の中に蜷川さんの魂を込めて、一緒に行く気持ちで取り組みたいと思っています」と決意を述べた。

蜷川幸雄氏ゆかりの品

蜷川幸雄氏ゆかりの品_2

メモリアルプレートの前には、蜷川氏ゆかりの品を展示したショーケースも設置された。台本や小説、メガネ、時計、文房具などの愛用品が並んでいる。それらを間近で見てきた宏子氏は、特に鉛筆がお気に入りだという。「どれを見ても尖っているんですよね。あんな歳になってまで闘争的に尖らせて・・・(笑)」と微笑んだ。さらにこの日は、蜷川氏の作品にまつわる大道具や小道具などを大稽古場に展示。独創的な舞台美術を前に、客席中央の“演出席”には蜷川氏愛用のイスやバッグ、デスクの上にもカバー付きマグカップと文房具などが並べられ、一周忌法要の参列者らが見学に訪れた。

市村正親_2

また同日、法要を終えた市村がインタビューに応じ、舞台『NINAGAWA・マクベス』についての思いを語った。いよいよ稽古が始まる中「一緒に行けないのは残念だけど、蜷川さんの魂をしっかり心の中に焼き付けて“いってきます”という報告をしました」とあらためて身が引き締まった様子。『NINAGAWA・マクベス』は1980年に初演を迎え、市村は2015年の上演時にマクベス役を務めている。「今やっても全然古くないし、日本のスタイルで作ったものが今の時代では逆に新鮮です。そしてセリフの一言一言にニーナの思いがこもっている気がしています」と作品の魅力に触れた。

蜷川幸雄氏ゆかりの品_3

市村は1999年上演の『リチャード三世』で初めて蜷川氏から演出を受け、その後2001年上演の『ハムレット』でも主役を務めた。「皆がやりたがるリチャード三世の役を、市村でやろうと思ってくれたことが嬉しかったです。そしてすぐ“『ハムレット』をやりたくなった!”と蜷川さんに言わせた市村正親という俳優は、大したものだなと思います(笑)」と笑いを誘いつつ、「数多くの名作を残している蜷川作品の中でも『マクベス』を背負えることは、俳優冥利に尽きます」と語った。

蜷川幸雄氏ゆかりの品_4

そして、まだ観たことのない方たちに向け、あらためて見どころを聞かれた市村は「マクベス夫人(田中裕子)との夫婦愛です。どうあるべきかということを含め、激しい夫婦愛をお見せしたい。日本の桜の話になっているし衣装もキレイだし、蜷川魂がふんだんに盛り込まれています。まだ観たことのない若い世代の方たちも、蜷川さんの世界をしっかり堪能してください」とメッセージを送った。

市村正親_3

インタビューの途中、2015年の公演時に書いてもらったという蜷川氏のサイン入り台本を見せてくれた市村。「市ちゃん、頑張った!蜷川幸雄」という力強いメッセージと、演技に対する蜷川からのダメ出しを書き留め、当時の新聞記事の切り抜きが大切に貼りつけられた台本を片手に、2017年の追悼公演を迎える。

6月23日(金)の香港公演で幕を開ける舞台『NINAGAWA・マクベス』は、7月13日(木)から7月29日(土)まで埼玉・彩の国さいたま芸術劇場 大ホールにて、8月4日(金)から8月6日(日)まで佐賀・鳥栖市民文化会館 大ホールにて日本凱旋公演を実施。その後イギリスとシンガポールでも公演を予定している。

(取材・文・撮影/堀江有希)

(文/エンタステージ編集部)

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