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朝海ひかる主演で10年ぶり再演!こまつ座『私はだれでしょう』ゲネプロレポート

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こまつ座『私はだれでしょう』ゲネプロレポート

2017年3月5日(日)、東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて、朝海ひかる主演のこまつ座音楽劇『私はだれでしょう』が開幕した。栗山民也演出、故・井上ひさし作の今作は、10年ぶりの再演となる。2007年初演時は井上の遅筆により開幕が1週間以上遅れ、観劇できなかった幻の作品とも言われている。キャストには吉田栄作、平埜生成などを迎え、10年経った「今だからこそやる意味がある舞台」となった。

劇場が暗くなると、ピアノの生演奏が鳴り、歌声が響く。
時は昭和21年、夏。太平洋戦争終結の2年後。日本放送協会・脚本班分室長の川北京子(朝海ひかる)らが制作するラジオ番組“尋ね人”は、視聴率90%以上をたたき出していた。「戦争で消息不明になった家族を探してください」・・・・・・そんな手紙の“声”をラジオの電波に乗せて全国に届けていた彼ら。ある日、そこに青年がやってきて「私を探してください」と訴える。彼、山田太郎(平埜生成)は、玉砕したはずのサイパン島で生き残り、記憶をなくしていた。

こまつ座『私はだれでしょう』ゲネプロレポート_3

京子は、凛としたリーダーとしてメンバーを支える。番組“尋ね人”への強い信念を持ち、すべての責任を背負って仕事に取り組む強い女性だ。しかし格好よすぎるのではなく、美味しいものに目がなかったり、小さなことでも一喜一憂する可愛さがある。人としての強さも弱さも併せ持つ。

そんな京子の周囲には、個性的な面々が集まっている。同僚の二人には、コミカルさで場をなごませる山本三枝子(枝元萌)、無邪気さと生真面目さが好感の持てる脇村圭子(八幡みゆき)。マイペースな佐久間岩雄(大鷹明)は落ち着いた存在感で空間を引き締め、労働組合活動に情熱を燃やす高梨勝介(尾上寛之)はいつも勢いよくやってきては部屋の外の情景を想像させる。それぞれのキャラクターが際立ち、とりまとめる朝海は存在を主張しないからこその演技で、チームの芯となっている。

また、CIE(民間情報教育局)のラジオ担当官・日系2世のフランク馬場(吉田栄作)と京子が、仕事を通じて互いの信念を通わせる様子は“どう生きるか”という生き様を考えさせられる。

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「私は誰でしょう」と飛び込んでくる山田太郎役の平埜が好演。歌、タップ、変装、武術など、なんでもできる万能青年だが、どこか抜けていたりと人間らしく親しみが持てる。稽古中は、演出の栗山に「お前は俳優の仕事をしていない」と言われ、絶望のどん底の稽古場だったそうだ。舞台上では出演者にも客席にも誠実に、一つひとつのシーンを演じていた。

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ステージ左手にはピアノ。劇中には、明るく軽快な歌と踊りがあふれる。登場人物はもんぺを穿いて軍服を着ており、戦後の混沌とした雰囲気は感じられるものの、舞台上には陽気な雰囲気が流れている。脚本班分室の面々は、仕事中に内職をしたり趣味に没頭したり、ステーキやお寿司につられたりと、そこには人々の明るい日常がある。

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会見で、吉田は「井上(ひさし)さんはなにかに怒っている」と感じたと言う。観劇してみれば、明るい雰囲気の舞台だからこそ、その怒りが伝わってくるようだ。敗戦後の日本に生きる人々の生活、生き様を描くために「魂のぶつかり合いがおこる稽古を重ねてきた」と尾上。朝海は「『それで、今は幸せ?』という台詞。“幸せ”という四文字の美しさが印象的」と語り、井上ひさしの伝えたかったメッセージに思いを馳せた。

上演時間は、休憩15分を含む約3時間。こまつ座『私はだれでしょう』は、3月26日(日)まで東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAで、3月30日(木)に山形・川西町フレンドリープラザ、4月8日(土)に千葉・市川市文化会館大ホールにて上演される。

(取材・文・撮影/河野桃子)

(文/エンタステージ編集部)

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