玉城裕規、馬場良馬らによる幕末アクションエンターテインメント!『紅き谷のサクラ』ゲネプロレポート


2017年1月12日(木)より東京・天王洲 銀河劇場にて『紅き谷のサクラ~幕末幻想伝 新選組零番隊~』が開幕した。映画や舞台、アーティストとして活躍する俳優・根本正勝が初演出・脚本を手掛ける本作に、主演の玉城裕規をはじめ、馬場良馬、小澤亮太、平田裕一郎ら豪華キャストが集結し、幕末アクションエンターテインメントを繰り広げる。初日前日に行われた公開ゲネプロの模様をお届けする。

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時は幕末―新選組には影に隠された暗殺部隊があった。その名も「新選組零番隊」。隊長・天音屋サクラ(玉城)と、柊一茶(馬場)、桐山甚兵衛(小澤)、染井蘭(平田)の4人は、人を斬ることに戸惑い、疲れ果て、ある戦いを機に零番隊を解散し、人を斬ることを辞める決意をする。そんな時、彼らは雛森アキ(瀬戸早妃)と出会い、紅き谷と呼ばれる地にて薄紅色の桜を見ようと約束し、旅に出るのだった・・・。

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公開舞台稽古を終えた作・演出の根本は、本作について「初めはたった1本の桜の木を想像し、そこから生まれた物語。そこには時代の流れ、男の強さと弱さ、浪漫、儚さ、残酷さ、狂気、女の可憐さ、芯の強さが存在しています。自分の頭の中にあるものを形にするべく動き、たくさんの方達に支えられ、光と影を持った魅力ある役者陣が舞台上で生き、腕とハートのあるスタッフ陣がそれを支え、輝かせています。それほどにこのカンパニーの熱は凄いです。僕たちの仕事は自分のためであり、そして誰かのためであると思います。この作品を観た皆さんの心を揺さぶり、何かしら刺さる言葉がありますように」と言葉を寄せている。

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根本の言葉が示すように、幕末という激動の時代の中、人斬りとしての宿命と対峙した男たちと、そこに絡み合う女の物語が舞台上に熱く展開する。根本は本作が初演出であるが、スタッフと出演者の思いを昇華させ、高い完成度を感じさせた。

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特に圧巻だったのは、舞台『曇天に笑う』で主演を務めるなど、その確かな実力と存在感で注目を集める玉城。人斬りの悪夢に心を蝕まれる中、アキとの出会いにより浮かぶほんの一瞬の笑顔。狂気と繊細さという、玉城の相反する表現に心を揺さぶられる。

その玉城は、初日を迎えて「『紅き谷のサクラ』の幕が開きました。初演出・脚本の根本さんのもと、素晴らしいキャストさんスタッフさんが、稽古初日から今日に至るまでとことん悩み、考え、ディスカッションを重ね熱量を持って創りあげてきたモノ。そのカンパニー力がお客様に伝わるよう、精一杯、この作品ならではの幕末を生きたいと思います」と、熱くその思いを言葉にしてくれた。

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そしてサクラの仲間たち・・・俳句好きな参謀格の一茶が飄々とした中に忍ばせる温かさ、力自慢で槍使い甚兵衛の豪快さとひょうきんさが同居する振る舞い、ムードメーカーである蘭の天真爛漫さ、どれもが実に魅力的だ。彼ら3人がサクラを囲んで見せるひとときの明るさが、終盤の展開を思うと、また儚くも切ない。

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さらに出色だったのは、陳内将演じる敵役の鏡止水だ。その甘い顔立ちからは想像できないほど、冷酷にして残酷。ふてぶてしく、清々しいまでのゲスっぷりに、別の意味で惚れ惚れした。

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また、スタイリッシュでスピード感溢れる殺陣も、大胆で迫力満点。サクラの素早く力強い剣捌き、華麗な一茶、槍を豪快に操る甚兵衛、軽やかに舞う蘭と、それぞれに特徴ある動きで観る者を圧倒。中でも、もう1人の「新選組零番隊」生き残りである藍座宗之進(山口馬木也)による殺陣は、剣でのみしか生きられない男同士の戦いとして、その醸しだす闘志で目を釘付けにする。

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激動の時代を駆け抜けるサクラたち4人を待ち受ける運命は何なのか?最後まで見届けた観客の心には、劇中で一茶が読み上げる俳句「散る桜 残る桜も 散る桜」が、きっと響き染みわたるだろう。

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キティエンターテインメントプレゼンツ『紅き谷のサクラ~幕末幻想伝 新選組零番隊~』は、1月12日(木)から1月15日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場にて上演。

(取材・文・撮影/櫻井宏充)

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