良知真次ら若手俳優が赤裸々な姿で迫る、舞台『Take me out』公開ゲネプロレポート!


舞台『Take me out』が、2016年12月9日(金)、東京・DDD AOYAMA CROSS THEATER(DDD青山クロスシアター)にて開幕した。アメリカの劇作家リチャード・グリーンバーグにより生み出された本作は、架空のメジャーリーグ野球チームのロッカールームを舞台に展開するコメディ作品。アメリカの演劇界で最も名誉ある賞“トニー賞”で、2003年の演劇作品賞、演劇助演男優賞、演劇演出賞を受賞した大人気作であり、今回の公演が日本初演となる。この本公演に先がけ、12月8日(木)に同劇場にて行われた公開ゲネプロの模様をレポートする。

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まさに超メジャー級といえる本作の翻訳を手がけたのは、新国立劇場の次期芸術監督に大抜擢された小川絵梨子。演出は、蜷川幸雄氏のもとで長年にわたり演出助手として経験を積み、2015年、演出作品『ザ・ビューティフル・ゲーム』で第22回読売演劇大賞杉村春子賞、同優秀演出家賞を受賞した気鋭の演出家・藤田俊太郎。

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出演には、数多くのミュージカルに出演する良知真次をはじめ、栗原類、多和田秀弥、味方良介、小柳心、渋谷謙人、Spi、章平、吉田健悟、竪山隼太、田中茂弘。スタッフ・俳優ともに注目を集める若手が集結した本作は、まさに、才能とエネルギーが掛け算で放出されたような、ほとばしる熱気を帯びていた。

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舞台はアクティングスペースを中央に配し、舞台を囲むように客席が配置され、可動式の柵を俳優自身が動かし様々な場面を組み立てていく。映像のカットを割るように様々な角度からロッカールームを覗ける仕組みだ。

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物語は、人気・実力ともに兼ね備えたメジャーリーグのスター選手、ダレン・レミング(章平)の衝撃的な“告白”からはじまり、キッピー・サンダーストーム(味方)のストーリーテリングで物語の背景が明らかにされていく。華やかなメジャーリーガーたちの舞台裏に潜む閉鎖的な実情が浮かび上がり、シニカルさとコミカルさの混ざり合ったスピーディーな展開で、アメリカ特有のブラックユーモアが冴えまくる。

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本作の見どころは、若手俳優陣の赤裸々な姿ではないだろうか。ロッカールームを舞台としているため、ユニフォームを着脱する場面が繰り返されるのだが、鍛え抜かれたそれぞれの肉体には惚れ惚れとするような美しさが宿っている。メジャーリーガーという役のリアリティーも、眼前の裸体からはっきりと伝わってくる。

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また、それぞれの登場人物は、実力の優劣から現れる嫉妬や、セクシャルマイノリティーの問題、人種差別など、表舞台では見られない赤裸々な内情を晒す。プロフェッショナルな肉体と、閉鎖的でミニマムな実情がアンバランスな関係を保ち、観客を“等身大”でもあり“劇的”でもある“丸裸”の世界へと誘う。

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ビビッドな照明と可動式の美術で空間をリズミカルに転換させる演出・藤田の手腕も光り、俳優たちのコミカルかつ迫真の演技と合わさって物語はあっという間に進んで行く。しかし、ふと気がつくとそこはロッカールームではなく、現代社会が抱える深い闇に変容している。

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予測不可能なラストも含め、終始、野球のようにスリリングでエキサイティングな舞台であった。舞台を両面から挟む超・密着空間で肉薄する俳優の熱を、ぜひ劇場で体感してほしい。

舞台『Take me out』は、12月9日(金)から12月21日(水)まで東京・DDD AOYAMA CROSS THEATER(DDD青山クロスシアター)にて、12月23日(金・祝)・12月24日(土)に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて上演。

(取材・文・撮影/大宮ガスト)

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