『繻子の靴』製作発表!渡邊守章、高谷史郎、剣幸、茂山逸平が意気込みを語る


12月10日(土)・12月11日(日)に、京都・京都芸術劇場 春秋座(京都造形芸術大学内)にて『繻子の靴』が上演される。本作は、フランスの前衛劇詩人であり、世界各地で活躍した外交官でもあったポール・クローデルの作品で、全曲上演すればゆうに半日はかかる超大作。この度、フランス演劇研究者でもある渡邊守章が翻訳・構成・演出を手掛け、「全曲版」の上演に挑戦する。

12月の上演に先駆け、先日行われた製作発表では渡邊の他、元宝塚歌劇団月組男役トップスターの剣幸をはじめ、狂言・茂山家より茂山逸平、映像・美術を担当するマルチメディアアーティストの高谷史郎が登壇。以下、4名のコメントを紹介する。

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◆渡邊守章(翻訳・構成・演出)
この作品は、恋人のすれ違いを描いたメロドラマです。私が留学生時代にパリで見た芝居の中で、いつかやってみたいと思っていたのが、『ロレンザッチョ』とこの『繻子の靴』でした。この作品は、近代戯曲の通例とは違い、クローデル風ヴェルセという長短入り混じった自由詩で書かれています。(翻訳する際)これをいきなり歌舞伎の台詞風にしたり、謡曲みたいしたりすればいいというのではないので、翻訳者としてはそこが苦労したところであり、役者の方も身体と魂の両方に強度を持っていないといけないと思っています。8時間の超大作になりますが、お客様にとって単に過酷なのではなく、知的ならびに感覚的に芝居のおもしろさが分かっていただければ嬉しいです。

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◆剣幸(プルエーズ役)
渡邊守章さんの演出作品に出演するのは、これで3度目になるのですが、渡邊さんが翻訳する日本語の美しさが大好きです。台詞を発していても言葉が感情を持っていってくれると、常々思っていました。このドニャ・プルエーズという役は、私が今まで演じた女性像を集めても間に合わないぐらいの役で、繊細で大胆で情熱的で道徳心があって、賢くて、ずるくて・・・と、私の中のあらゆる面を出して演じていかないと追いつけないぐらい、やりがいのある役です。8時間、退屈しない、おもしろかったと言っていただけるような芝居にしたいと思っています。

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◆茂山逸平(聖ヤコブ、日本人画家大仏、他)
2008年にオラトリオ版をやった時にも出させてもらったのですが、狂言師として呼ばれたからには、何か意味があるんだろうなと思っています。しかし、まだ掴めずにおりまして、今回こそはしっかり掴みたいと思っています。狂言はゆっくり話すものですが、渡邊さんの演出作品は、きっちりとした日本語をある程度のスピードを持って話さないといけないので、そこが私ども狂言師の課題だと思っています。先生の言葉を次の世代へ繋ぐ役目としても、この芝居を楽しんで参加したいと思っています。

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◆高谷史郎(映像・美術)
『繻子の靴』のため、2年ほどかけて渡邊さんと打ち合わせを重ねてきました。渡邊さんの翻訳は、作品の奥深さを理解するための膨大な注釈のようなバックグラウンドがあり、それを踏まえた上での台詞であり演出だと思っています。ですから、言葉で伝える以外の注釈部分を少しでも映像や装置を使って表現できればと。この映像とこの言葉を掛け合わせると、こういう風になるんだ!というところをお見せできたら、おもしろいなと思っています。

『繻子の靴』は、12月10日(土)・12月11日(日)に京都・京都芸術劇場 春秋座 (京都造形芸術大学内)にて上演される。

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