石丸幹二とピンパーネル団がパリの闇を斬る!『スカーレット・ピンパーネル』観劇レポート!


10月19日(水)、東京・赤坂ACTシアターにて開幕した舞台『スカーレット・ピンパーネル』。宝塚歌劇団の公演として大ヒットを飛ばしたミュージカル作品が、男女混成のキャスト及びブロードウェイ版をベースにした新演出で上演中だ。

舞台はフランス革命後のパリ。ロベスピエール率いるジャコバン党は権力を振りかざし、元貴族たちを次々と処刑していた。そんなパリにやってきた英国貴族のパーシー・ブレイクニーは、フランス人女優のマルグリットと恋に落ち、ふたりは結婚する。

結婚式の当日、パーシーのもとに、友人であるサン・シール侯爵とその家族が処刑されたとの報せが入る。侯爵の隠れ家が書かれたメモから、処刑を行ったショーヴランに情報を流したのがマルグリットではないかと疑念を持つパーシー。その疑念は次第に膨らんでいく。

マルグリットへの疑いを晴らし切れないパーシーは、仲間のイギリス人貴族とともに「ピンパーネル団」を結成し、罪のない元貴族たちを救うことを決意。6人の若き貴族とパーシー、マルグリットの弟・アルマンらは、イギリスとフランスとを行き来しながら「ピンパーネル団」の活動を続けるのだが、ある時、パリでアルマンが捕えられ、マルグリットもショーヴランの手に落ちる。果たしてパーシーと「ピンパーネル団」はふたりを助けることができるのか―。

『スカーレット・ピンパーネル』観劇レポート_2

英国貴族のパーシーを演じる石丸幹二は、ノーブルな雰囲気と強さと柔らかさとを併せ持った歌声とで堂々と舞台の芯に立つ。マルグリットを愛するがゆえに、彼女に対しての疑念と愛情との間で揺れ動く心情を繊細に表現しつつ、時にコミカルな演技で笑いを誘う引き出しの多さは流石。インタビュー時に語った“複数の顔”がどれも鮮やかに浮き上がっていた。

宝塚歌劇団星組トップ時代にパーシーを演じたマルグリット役の安蘭けいは、パーシーへの愛情から、元恋人であるショーヴランの要求を断れない弱さや、弟を助けようと行動する強さ、愛に悩む葛藤などさまざまな感情を多面的に魅せる。

『スカーレット・ピンパーネル』観劇レポート_3

ロベスピエールの片腕としてパリの街で暗躍するショーヴラン役の石井一孝。常に黒い衣裳で登場し「ピンパーネル団」に翻弄されながらも、自らの正義を貫こうと信念を持って行動する姿が胸を打つ。その思いを歌い上げる「ハヤブサのように」では凄まじい気迫が立ち昇っていた。

Wキャストの一人として、ロベスピエールとプリンス・オブ・ウェールズという真逆の二役を演じる佐藤隆紀(LE VELVETS)。闇に生きるロベスピエールと、どこかほんわりしたプリンス・オブ・ウェールズを演じ分ける演技力に加え、新バージョンのために作曲家のフランク・ワイルドホーン氏が書き下ろした「新たな時代は今」では圧巻の歌声を聴かせる。そこからすぐに役替えをして再登場する場面では、客席から大きな拍手が起きていた。

『スカーレット・ピンパーネル』観劇レポート

そして本作の大きな見どころのひとつが、若手実力派キャストが集結した「ピンパーネル団」の華やかさである。マルグリットの弟・アルマンをユーモアを交えて誠実に演じる矢崎広、パーシーと他の貴族とを結ぶ副リーダーとして君臨するデュハースト役の上口耕平をはじめ、ベン役の相葉裕樹、ファーレイ役の植原卓也、エルトン役の太田基裕、オジー役の駒木根隆介、ハル役の廣瀬智紀らが一堂に会する場面はとにかく壮観。彼らがパーシーの計画のもと、意外な衣裳で登場する「男のつとめ」のシーンは特に楽しい。

『スカーレット・ピンパーネル』観劇レポート_4

冒険活劇でありながら、すれ違う男女の想いや社会的メッセージもプラスされ、ワイルドホーン氏の楽曲がドラマティックな世界を構築するミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』。極上のエンターテインメント作品として、劇場で胸躍る瞬間を体感して欲しい。

(取材・文/上村由紀子)

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