『若様組まいる』ゲネプロレポート!入江甚儀「今を生きる僕たちにも通じるものがたくさんある」


2016年8月7日(日)に東京・天王洲 銀河劇場にて『若様組まいる』が開幕した。本作は、第一回吉川英治文庫賞を受賞した「しゃばけ」シリーズなどで知られる畠中恵の同名小説(講談社文庫刊)を原作に、明治時代の若者たちの奮闘を描いた群像劇。初日前日に公開ゲネプロと囲み会見が行われ、主演の入江甚儀をはじめ、宮崎香蓮、久保田秀敏、染谷俊之、木戸邑弥、鎌苅健太、中村誠治郎、根本正勝が登壇した。

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主人公、長瀬健吾役を務める入江は、「時代は違いますが、今の時代を生きる僕たちにも通じるところがたくさんあるお話だと思います。同年代の方たちに観ていただいて、感じたものをこれからの活力に変えていってもらえたらと思います」と、本作にかける熱い思いを語った。

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ヒロインの小泉沙羅役を演じる宮崎は、登場人物たちについて「お客様が感情移入できる部分や、共感できる部分が、それぞれにあるんじゃないかなと思います。このキャラが好きとか、(自分に)似てるなとか、いろんなことを感じていただけたら」とその魅力を語った上で、「女子は二人ですが、男子に負けずがんばりたいと思っています!」と、男性の多い座組みの中で奮闘する様子を見せた。

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物語の舞台は、明治20年。徳川の世なら、特権階級の武士として暮らしていたであろう“若様”たち。平等な時代になったものの、昔の身分のこと、家のこと、仲間のこと・・・若様はいろんなものを背負っている。「好きなように生きろって言ったって、何していいか分からねえよ・・・」そんな悩みを抱える長瀬(入江甚儀)に、幼なじみでパティシエを目指す「ミナ」こと皆川真次郎(木戸邑弥)は、自由な時代だからこそ見ることのできる夢を語る。そんな二人の間に絡む、もう一人の幼なじみで大商家のお嬢様、小泉沙羅(宮崎香蓮)の存在。

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もう迷っている暇はない!と、長瀬は一念発起する。「俺は、巡査になる!」そんな長瀬の決意に触発され、喧嘩っ早い若様・園山薫(久保田秀敏)、みんなのまとめ役で恋に悩む若様・福田春之助(染谷俊之)、怖がりな若様・平田文太郎(秋元龍太朗)、弟分的な存在の若様・小山孝(安川純平)、食いしん坊な若様・大熊金太(佐伯大地)も、ともに巡査を目指すことにする。

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巡査教習所には、「薩摩組」のリーダー格・玉井和馬(鎌苅健太)と近藤正之助(板倉武志)、「静岡組」の佐久間一義(尾関陸)と牧忠行(和合真一)、「平民組」の商人子息・姫田新七(杉江大志)と土谷元吉(岩井拳士朗)なども、同時期に入所。「若様組」と呼ばれる彼らは、他の組との軋轢や、幹事長の有馬将勝(中村誠治郎)からの不当な扱いに憤ったり、教官の中村友男(根本正勝)に武道の腕を見込まれ喜んだりしながら、賢明に巡査を目指していく。そこにある事件が・・・。

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会見で鎌苅が入江について「熱い男で、みんながついていくいい主役ぶり」と語っていたが、その熱さが、長瀬というキャラクターが持つ明るさや懐の深さを一層強く感じさせる。宮崎の見せる快活なお転婆ぶりも気持ちがいい。染谷演じる福田とその想い人・北尾百合(青木珠菜)が見せる明治の恋模様にも注目だ。

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歴史はあまり詳しくない・・・という人でも、分かりやすく時代の移り変わりを教えてくれるので安心だ。一風変わった演出や舞台美術、群舞、アクションも満載で、目を楽しませてくれる。アクション指導は中村が担当したそうで、「アクションになるとエンジンがかかっちゃうので・・・、たまに、僕を怖い(という)目で観ている子たちもいました(笑)」と役さながらの“鬼”教官ぶりが明かされた。

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木戸が好きな台詞として挙げていた「時代についていけていないだけじゃないか!」という長瀬の台詞が表すように、世間に振り回されながらも時代のせいにせず、喰らいつこうと必死に生きる若様たち。その姿は、現代を生きる若者たちの姿にも重なる。明るくポップな内容ながら、明日への活力となるような、さわやかなメッセージ性を感じる作品だ。

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『若様組まいる』は、8月7日(日)から8月14日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場にて上演。

宮崎香蓮の「崎」のつくりは、正しくは「大」の部分が「立」。

(C)畠中恵/講談社

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