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劇団鹿殺し『名なしの侍』レポート!玉城裕規、鳥越裕貴、堂島孝平を迎え、名もなき人間の生き様を描く

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2016年7月16日(土)、結成15周年 を迎えた劇団鹿殺しによる時代劇『名なしの侍』が幕を開けた。生バンドと吹奏楽と時代劇を掛け合わせ、歌って踊る 「怒パンク時代劇」と銘打つ。メインキャストには、劇団員のほか、『曇天に笑う』で主演を務めた玉城裕規、舞台『弱虫ペダル』シリーズの鳴子章吉役で知られ、9月にミュージカル『刀剣乱舞』新作公演への出演を控えている鳥越裕貴、シンガーソングライターの堂島孝平を据え、戦乱の世に翻弄されながらも必死に生きていく、名もなき侍たちの生き様を描く。

(以下、作品の内容に一部触れています)

劇団鹿殺し『名なしの侍』ゲネプロ_2

数々の屍が横たわり、ただ風と雷の音だけが響く桶狭間の合戦場に、一人の男(堂島)の歌が響く。ロックナンバー「名なしの侍」だ。そこに現れたのは、傷だらけの茂吉(丸尾丸一郎)。歌う男は「生き別れた弟を探しているんです」と言い、茂吉は「家族を殺した仇敵(あだがたき)を探している」と目を光らせる。

劇団鹿殺し『名なしの侍』ゲネプロ_3

時は少しだけさかのぼり、1547年。駿河の国の小さな道場に、戦で親を亡くした合戦孤児たちが身を寄せ合って生きている。元気いっぱいだが剣の腕はからきしの少年、伝助(玉城)。心優しい次郎(堂島)と頭の良い三郎(鳥越)の兄弟。楽しかったり、ケンカしたり、恋をしたりと、貧しいながらも無邪気な日々を送る幼なじみたちの姿が眩しい。

劇団鹿殺し『名なしの侍』ゲネプロ_4

そこに、生まれつき金髪の少年、虎蔵(オレノグラフィティ)が転がり込んできた頃から、彼らの運命は大きく変わっていく。身寄りもなく、継ぐべき名もない貧しい子どもたちは、武士に利用されるだけの存在から抜け出すため、刀を取り人生を切り開こうとする。「立派な侍になって天下を取ろう!天下を取って太平の世にしよう!」。そしていつか、この小さな道場に帰ってくることを誓って、彼らは旅立っていく・・・。

劇団鹿殺し『名なしの侍』ゲネプロ_5

劇団鹿殺し『名なしの侍』ゲネプロ_6

舞台に面して右側には生バンド。また兵たちがトランペットやトロンボーンを手に音楽を吹き鳴らす。マイク片手に熱唱し、踊る舞台はロックミュージカルのようだ。大音量で鳴り響く音楽が、彼らの怒濤の運命を思わせる。戦に利用され殺される名もなき者にならないため、彼らは武将の息子・竹千代(橘輝)をさらい、“名”を上げようとするのだが・・・。

劇団鹿殺し『名なしの侍』ゲネプロ_7

玉城のキレのある殺陣が、多くを語る豊かな表情と相まって、舞台上の姿を大きく見せる。着物の裾からのぞく太ももが逞しい。その足で一歩一歩踏みしめる歌舞伎のような歩き方が、生きる意味を追い求める伝助の生き様そのもののようだ。「俺はいったい誰だ!」。家族も故郷も持たない合戦孤児が、何者かになろうともがく必死さに、胸が痛くなる。

劇団鹿殺し『名なしの侍』ゲネプロ_8

鳥越は、時が経つごとに変化していく人間を繊細に演じた。生き別れた兄を大切に思う少年のあどけなさを残しつつ、人間の弱さと優しさ、業の深さを同時に表現している。今作ではラップも披露した。

劇団鹿殺し『名なしの侍』ゲネプロ_9

劇団鹿殺し『名なしの侍』ゲネプロ_10

電話もネットもない戦国時代だ。誰が生きているのか、再び出会えるのかもわからない。それぞれが、選び取った自分の道を進むしかない。それがたとえ、まったく別の道だったとしても。

劇団鹿殺し『名なしの侍』ゲネプロ_11

この芝居において、竹千代を演じる橘の存在が大きい。竹千代・・・つまり徳川家康の幼名である。竹千代と出会うことで、肩書きも血筋も持たない孤児たちの人生が、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康らの人生と混じり合う。

重厚な戦国物語ではない。鹿殺しらしく、大量のギャグやファンタジー要素も散りばめられている。時には閻魔様や鬼たちまで現れ大騒ぎ。戦と死が身近な物語でありながら、勢いにのまれてついつい笑ってしまう。

劇団鹿殺し『名なしの侍』ゲネプロ_12

音楽が鳴り響き、ギャグが飛び交い、歌って踊る激しい“怒パンク時代劇”。その合間に時折、包み込むように何度も、堂島の優しい歌声が響く。その声は、誰に向かって歌われているものなのか・・・生き別れた弟のためか。それとも、時代と戦に翻弄された多くの人々のためなのか。もしくは、戦国時代のその先を生きる、現代の私たちに向けてなのか。

劇団鹿殺し『名なしの侍』ゲネプロ_13

劇団鹿殺し『名なしの侍』ゲネプロ_15

歴史の教科書には、いったい何人の“名”が載っているのだろう。数えきれないほどの人が生き、死んでいったけれど、その“名”を知られている者は少ししかいない。“名”を上げられた者、歴史の狭間に消えていった者。
観終わった後の私たちに、オープニングで堂島が歌っていた「名なしの侍」の歌詞が重く響く。“名”を得るため、幸せになるために命をかけた“名なしの侍”たちの生き様を通して、鹿殺しが最後に観客に残した余韻には、「君はなにを大事にして生きるの?」という問いが隠されているように思えた。

劇団鹿殺し『名なしの侍』ゲネプロ_14

また、2012年に上演されたロックオペラ『田舎の侍』には、金髪の田舎侍・虎蔵(オレノグラフィティ)が主人公として登場している。過去作を観ているとまた違った視点の生き様が見えてくる。同作の動画は15周年記念として12月31日(土)まで無料配信されている ( http://i86200.wix.com/shika564movies)。

劇団鹿殺し 15周年記念・怒パンク時代劇『名なしの侍』は、7月16日(土)から7月24日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて上演。その後、7月28日(木)から7月31日(日)まで大阪・ナレッジシアターにて公演が行われる。

(取材・撮影/河野桃子)

(文/エンタステージ編集部)

15周年記念・怒パンク時代劇『名なしの侍』

作品情報15周年記念・怒パンク時代劇『名なしの侍』

最強キャスト×全編オリジナル楽曲×生バンド×吹奏楽による、劇団鹿殺し活動15周年最大の挑戦作!

  • 公演:
  • キャスト:菜月チョビ、丸尾丸一郎、オレノグラフィティ、橘輝、鷺沼恵美子、浅野康之、近藤茶、峰ゆとり、有田杏子、椙山聡美、メガマスミ、木村さそり、玉城裕規、鳥越裕貴、谷山知宏、堂島孝平、ほか

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