太鼓・林英哲×作曲・新垣隆が挑む!革命的バレエ・ジャポンNBAバレエ団2016年新作公演「死と乙女」制作発表


NBAバレエ団2016年新作公演「死と乙女」の制作発表が、2016年2月29日(月)、都内にて行われた。国際的な太鼓奏者の林英哲、作曲家の新垣隆をゲストに招き、バレエ・リュスのように、世界に通用する独自のバレエを日本から発信したいという願いが込められた話題の新作だ。登壇者は、芸術監督・久保綋一、太鼓・林英哲、作曲・新垣隆、振付・舩木城の4人。

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芸術監督・演出を手がける久保は、「一昨年20周年を迎えたNBAバレエ団の新たな幕開けにふさわしい作品を創りたいと思っていました。今まで海外で20年間踊ってきた経験を生かし、『ドラキュラ』やウィールドン振付の『真夏の夜の夢』などを上演してきましたが、どこか物足りなさを感じていました。いまだにバレエの中心は欧米で、そろそろオールジャパンメイドで世界に通用する作品を作りたいという切望があったのです。今回、出会いに恵まれ、林さん、新垣さんに共演をお願いしたところ、快諾してもらえました。振付の舩木さんは、昔から知り合いで全幅の信頼を置く盟友です」と新作に賭ける熱い思いを語った。

太鼓の林は、「45年間太鼓をやってきて、自分自身も舞踊作品は演出してきたし、舞踊、舞踏、日本舞踊との共演はありますが、バレエ作品に取り組むのは初めてです。しかし、若い頃にバレエは習っていましたし、日本舞踊の名取も持っていて、このような太鼓奏者は世界で一人だと思っています。別の世界の人達と共演するという感覚ではありません」と会場を笑わせながら、新たな挑戦への意気込みを見せた。

NBAバレエ団『死と乙女』_2

作曲とピアノ演奏を務める新垣は「バレエには子供のころから興味があり、音楽的にはストラヴィンスキーの影響を受けています。今回は願ってもない重要な機会です」とバレエ作品への意欲を語った。また、「林さんは日本の太鼓の演奏を通じて、さまざまなジャンルとのコラボレーションを重ね、日本の現代音楽の歴史を作っておられる方です。私にとっても目標となる方で、ご一緒できるのは嬉しい。プレッシャーも感じていますが、大きな可能性を前にして興奮しています。太鼓とピアノでどのような可能性があるのかを探ってみたいと思います。林さんは山下洋輔さんとコラボレーションされてきたので、その形を一つのモデルとしてみたい」と林との共演に期待を見せる。

会場では、林の太鼓と新垣のピアノによる息の合ったリハーサル風景の映像が流された。今回、作曲に新垣を推薦した林は、「10年ほど前に新垣さんが“別の名義”で書かれた作品に参加しました」とさりげなく会場の笑いを誘いつつ、「私も新垣さんも、辛い境遇を乗り越えて新しい表現を生んだ経験があるので、今回もいい作品を創ることができると思います」とエールを送った。

振付の舩木城は「音楽を観たい、というのが私の創作の根源です。音源を繰り返し聴いて形にするので、まだ振付は起こしていません」と断りながら、「(音楽が)ちょっとずつ形になっているのがとても楽しく、わくわくしています。凄い緊張感のある作品になると思います。静かなものになるか、激しいものになるのか、まだわかりませんが、心に深く刺さる作品を創りたいです」「どこかに救済がある作品になると思います。必ずいい作品になります。今回は芸術監督の久保さんがダンサーとして出演する予定なので楽しみです」と新作への意欲を語った。

新作「死と乙女」は、振付の舩木城のアイデアにより、19世紀末にウィーンで活躍したエゴン・シーレの絵画「死と乙女」のイメージが基になっていると言う。同じくエゴン・シーレが好きで、ウィーンに作品を見に行ったという林は、「『死と乙女』には世紀末の心象、性も含めた生と死にまつわる感情が投影されています。新垣さんの音楽性がはまるのではないかと思いました。シーレは華やかな色彩の作品は描いていません。(オーケストラよりも)太鼓とピアノだけの演奏の方が、コントラストがあって面白いのではないかと思いました」と語った。

NBAバレエ団『死と乙女』_3

エゴン・シーレの絵画をモチーフにした、日本の太鼓×ピアノによる現代音楽、そしてバレエ。どんな舞台が展開されるのか、オールジャパンメイドによる新しいバレエの誕生に乞うご期待!『死と乙女』は2016年5月27日(金)と5月29日(日)の2日間、東京・北とぴあさくらホールにて上演される。

撮影:吉川幸次郎

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