中島らも幻の傑作『ベイビーさん~あるいは笑う曲馬団について~』公開ゲネプロの模様をお届け!


没後11年、今なお人気が続く不世出のストーリーテラー・中島らも。その作品の中でも隠れた傑作としてファンの注目を集めている舞台『ベイビーさん~あるいは笑う曲馬団について~』が、11月7日(土)、東京・Zeppブルーシアター六本木にてついに開幕した。今回は、その上演を目前に行われた公開ゲネプロから、舞台の模様をお届けする。

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時は昭和16年。とあるサーカス団が軍隊へ慰問するなか、その慰問が適正かどうかを視察する一行がやってくる。時代はいよいよ日本が第二次世界大戦に突入しようとしている時、場所は満州の新京。間違っても敵性語を使用してはならない。「サーカスではない、曲馬団だ」「士気を鼓舞するための慰問だ」見世物が終わって、視察団のもとに集まってくる曲馬団に「そういえばここには動物はいるのか?」と問う視察団。日本国中が食べ物を制限している中、餌をやることに不服をぶつけられ、曲馬団の連中は思わず「餌を食わない動物もいるんですよ」餌を食わない動物なんているはずがない!と息巻く視察団のもとに連れてこられた一頭の動物。それが、ベイビーさんだった・・・。

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冒頭は松尾貴史が演じるピエロさんの独白と回想から始まる。松尾自身が「らもさんがご自分で演じることを想定して書いた役なので、どういう人格設定をしていたのか、想像する作業が楽しかった」と語るピエロさんというキャラクターは、らもテイスト溢れる、いかにもなキャラクターと台詞に思わずニンマリさせられてしまう。

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続いて、時代は昭和16年の満州へと移り物語は進行。本公演で初めてらも作品に出演する池田純矢、鈴木勝吾、井澤勇貴の若手三人のファンの方には、らも作品も時代背景にも馴染みが無いかもしれないが、これを機会に知ってもらうのも一興かもしれない。

そして、タイトルにもある“ベイビーさん”については、残念ながら公演中であるため詳しくは語れない。ぜひ、先日公開のインタビューでも語って頂いた「ベイビーさんとは何か?を各々で劇場で感じて欲しい」という言葉通り、劇場で体感して欲しい。

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中島らも作品の中でも幻の傑作と謳われ、今までの彼の作品のテイストとは一味違い、G2も“理屈抜きに楽しめる作品になった”と語る通りに、エンターテインメント溢れる本作。らも作品を観たことが無い人にも、ぜひ劇場で観てもらいたい。

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最後に、演出のG2と、出演キャストの松尾貴史、池田純矢の三人から開幕直前に寄せられたコメントを紹介しよう。

G2(演出)
「中島らもさんが亡くなられて早や11年。文字で残されたらもさんの想念が、舞台上に再び具体的な形を伴って現れる。なんとも不思議な気持ちです。手を抜かず、余計なことをせず、テキストから感じたままを頼りに稽古場で芝居を作ってきました。あとはお客様にどう感じていただけるか・・・とても楽しみです。疲れた心の栄養補給にお勧めの一品。理屈抜きに楽しめる作品になったかと思います」

松尾貴史
「初演を青山円形劇場で観て、出演したかったなあと思ったときから20年が経ち、ひたすら感慨深いです。色々な部分で、役者各々が薄氷を踏む場面が多いので、そこを楽しみに皆様お誘いの上賑やかにお越しください。二度三度と観ていただくと楽しさも倍増です」

池田純矢
「憧れの中島らも戯曲、いつかはと思い描いていたG2さんの演出、しかも光栄にも、そこに主演という立場で立たせていただける喜びに高揚しています。そして、この夢のような作品が日々確実に現実なっていくなか、最高潮に気持ちが高ぶっています。この作品は純粋に“面白い!”と言ってもらえる作品だと思います。コメディ、シリアス、エンタテインメント色んなものが詰まっています。舞台観劇が初めての方にも優しい作品です。是非、ワクワクした気持ちでいらしていただければと思います」

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舞台『ベイビーさん~あるいは笑う曲馬団について~』は、2015年11月7日(土)から11月14日(土)まで東京・Zeppブルーシアター六本木にて上演中。

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