秋のこまつ座2連発!18年ぶり、戦後70年の秋に贈る舞台『マンザナ、わが町』公開稽古


2015年10月1日(木)より開幕する『十一ぴきのネコ』に引き続き、こまつ座第113回公演『マンザナ、わが町』が、2015年10月3日(土)より東京・紀伊國屋ホールで上演される。本作で描かれているのは、真珠湾攻撃で大きく運命を変えられてしまったアメリカ在住の日系アメリカ人たちの姿。戦後70年を迎え、“平和”があまりに危うく社会情勢の今だからこそ観てほしいと、緊急上演が決まった。
土居裕子、熊谷真実、伊勢佳世、笹本玲奈、吉沢梨絵という実力派女優5人が揃った本作の、熱のこもった稽古の様子が披露されたのでご紹介しよう。

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舞台は、1942年のカリフォルニア州マンザナ強制収容所。4ヶ月前に起こった真珠湾攻撃以来、日系アメリカ人に対する「排日」の気運は一気に高まりを見せた。西海岸に住んでいた約11万人は、奥地に急造された10カ所の収容所に強制収容される。そのうちの1カ所、スペイン語で“リンゴ園”という意味の地に作られたのが「マンザナ収容所」であった。

『マンザナ、わが町』

バラックの一室に集められた5人の女性たち。ジャーナリストのソフィア岡崎(土居)、ホテル歌手のリリアン竹内(笹本)、浪曲師のオトメ天津(熊谷)、映画女優のジョイス立花(吉沢)、そして物語の鍵を握るサチコ斉藤(伊勢)は、「マンザナは決して強制収容所ではなく、集まった日系人たちの自治によって運営されるひとつの町である」という内容の朗読劇『マンザナ、わが町』の上演を命じられる――。

『マンザナ、わが町』

演出を務めるのは、戯曲を描いた井上ひさしが絶対的な信頼を置いていた演出家・鵜山仁。鵜山はこの作品について「この作品はある種、井上ひさしが描いた一番いいアートの可能性、舞台の可能性を謳った芝居だと思います。描かれていることは、当然今の時代にも関わりがあることで、これから100年先、1000年先にまで繋がっていくようなメッセージ、エネルギーを持っている。是非それを、ご覧になって感じて頂きたいと思います」と語った。

『マンザナ、わが町』

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公開された一幕終盤の第三場では、自分たちの中の日本人らしさとアメリカ人らしさが明らかになる中で、アメリカ建国の理念とは反している収容所を美化した台本の内容を巡って激しく対立する5人の姿が浮き彫りになっていく。浪曲師を演じる熊谷は、この作品のために実際の浪曲師の方に習ったり、動画を観て研究を重ねたりしてきたそうだ。日本の心をうなる、その見事な節回しにも注目したい。

昨日まで正しかったことが、今日はすべて誤りになってしまう・・・そんな戦時下の矛盾に絶望しながらも、国籍や人種が人間を分け隔てることの矛盾をあぶり出していく姿は、人間の持つ等しい価値を改めて私たちに気づかせてくれる。
『マンザナ、わが町』は、10月3日(土)~10月25日(日)、東京・紀伊國屋ホールにて上演される。

『マンザナ、わが町』

◇『マンザナ、わが町』アフタートークショー◇
『マンザナ、わが町』スペシャルキャストトークショー
10月12日(月・祝)13:30公演後
土居裕子、熊谷真実、伊勢佳世、笹本玲奈、吉沢梨絵

井上ひさし戦後70年特別アフタートークショー
10月4日(日)13:30公演後
落合恵子(作家・クレヨンハウス代表)
「声の小さきものの側から」

井上ひさし戦後70年特別アフタートークショー
10月19日(月)13:30公演後
浜矩子(エコノミスト・同志社大学大学院教授)
「正義と平和が抱き合う先に」

◇こまつ座 10月同時上演セット観劇特典◇
紀伊國屋サザンシアターで同時期に上演されている『十一匹のネコ』と両公演を観て半券を持参すると、劇場にて、井上ひさし直筆色紙をプリントした、こまつ座特製のクリアファイルがプレゼントされる。

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