『銀河英雄伝説 星々の軌跡』公演レポート!シリーズ集大成!よりドラマティックに魅せる!


シリーズ全10回、累計15万人を動員して最終章を迎えた『銀河英雄伝説』(原作・田中芳樹)。ヤン・ウェンリー役の河村隆一の呼びかけに応えて、シリーズのキャストが再集結し、今回限りの特別公演『銀河英雄伝説 星々の軌跡』がZeppブルーシアター六本木にて上演された。まさに『銀英伝』の集大成ともいうべき公演で、観客たちの熱い視線を集めた。

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未来の地球ではラインハルト・フォン・ローエングラム(間宮祥太朗)率いる「銀河帝国」とヤン・ウェンリー(河村隆一)率いる「自由惑星同盟」が戦争を繰り広げていた。常勝のラインハルトと不敗のヤン……二人は互いを好敵手と認め合い、奇妙な友情さえも感じ始めていた。しかし、第3の勢力フェザーンが暗躍し始めることによって、二強の運命は大きく変わり始める。ついに、「銀河帝国」と「自由惑星同盟」の全面対決の火ぶたが切って落とされた……。

『銀河英雄伝説』シリーズのうち『第四章 前篇 激突前夜』『第四章 後篇 激突』のストーリーをメインに展開しながらも、シリーズ全10作を俯瞰し凝縮する公演となっている。このシリーズは脚本・演出を固定しないことで作品ごとに異なる個性を見せることを特徴としているが、今回の特別公演では長くシリーズに関わったヨリコジュンが演出を担当(脚本はヨリコジュン・川光俊哉)。『銀河英雄伝説』の舞台を知り尽くしたヨリコならでは、数々の名セリフを網羅しながら、決してダイジェスト的でないドラマチックな舞台を作り上げた。映像と生身の人間の演技が見事に融合して、宇宙での戦闘シーンも非常にリアル。客席の通路を使い、さらには舞台天井からもキャストが登場するという観客の意表を突く演出で、まるでZeppブルーシアター六本木の客席空間がすべて宇宙になったかのようだった。

そして、キャストも集大成と呼ぶにふさわしい演技で観客の期待に応えた。
まさに『銀河英雄伝説』シリーズと共に成長してきたと言っても過言ではない間宮祥太朗。ラインハルトとしての初登場は2012年の『輝く星 闇を裂いて』だったが、公演ごとにメキメキと実力を上げ、シリーズ6回目となった今回は「間宮閣下」と呼ぶにふさわしい姿を見せた。盟友のキルヒアイスを失い、心に葛藤を抱えながらも、盟友への思いを胸に宇宙を手に入れようと決意するラインハルトの心情を余すところなく表現した。

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『銀河英雄伝説 星々の軌跡』

そして、原作の大ファンでもある河村隆一はヤンの生き様を体現する。河村のヤンが大きな懐で間宮ラインハルトを受け止めていたからこそ、舞台『銀河英雄伝説』は成立していたことも実感させられた。「人は平和を求めながらも、なぜ戦うのか?」ラスト近くのヤンの言葉は、現代に生きる私たちに対する深いメッセージとなった。

また、バウル・フォン・オーベルシュタイン役の貴水博之、オリビエ・ポプラン役の中川晃教はシリーズを続けて支えてきただけに、今回もキャラクターが際立った。二人の歌声が『銀河英雄伝説』の世界観を大きく押し広げる。貴水の歌声は非常にドラマチックで空間を切り裂くほどの力があった。親友コーネフ(中村誠次郎)を失った慟哭の思いを歌う中川の歌は、まさに魂の叫びだ。渡辺裕之、天宮良、石坂勇、増沢ノゾムらが確かな演技で支える。三上俊は7作品6役で出演とシリーズ最多出場し、今回はミュラー役でラストを飾った。

『銀河英雄伝説 星々の軌跡』

『銀河英雄伝説 星々の軌跡』

『銀河英雄伝説 星々の軌跡』

フィナーレではキャスト全員が「Searching for the light」を歌う。彼らの輝く笑顔に敵も味方もなく、お互いに理解し歩み寄れる未来への予感があった。

撮影:引地信彦
文:大原薫

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