手塚治虫原作の衝撃作が蘇る!舞台『アドルフに告ぐ』ついに開幕


アドルフ・ヒットラーの出生の秘密に翻弄される、3人の“アドルフ”を描いた手塚治虫原作の舞台『アドルフに告ぐ』。その公開稽古が6月2日(火)行われた。本番直前ということもあってか、出演者の一挙手一投足から舞台にかけるなみなみならぬ意気込みと情熱を感じることができた。観るものの心をつかんで離さない、公開稽古の模様をご紹介しよう。

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それぞれの正義を信じて不条理な世界へと身を委ねていく登場人物すべてがステージ上に姿を現す場面からスタート。そこで一気に観客の心を奪うと、突如静かに、この物語の生き証人でもある峠草平(鶴見辰吾)の語りによって物語が展開されていく。

舞台『アドルフに告ぐ』

その後、「神戸」「ベルリン」「大阪」「ドイツ郊外」とスピーディーに舞台は変化していくものの、シンプルだが見事な舞台演出で時代の風景を表現していく。原作ファンをうならせるだけでなく、原作を知らない観客も物語に入り込めるような巧みな構成は、過去に手塚作品を2作手がけた栗山民也ならではといったところ。

舞台『アドルフに告ぐ』

舞台『アドルフに告ぐ』

一方、時代が激化していくにつれ、外交官の子でドイツ人と日本人のハーフ、アドルフ・カウフマンと神戸に住むユダヤ人アドルフ・カミルの人となり、そして二人の関係も劇的に変化していく。もとは親友であった二人は、時代に翻弄され、悲しくも憎み合う敵となってしまう。この繊細かつダイナミックな演技を求められる難役を成河と松下洸平が堂々と表現していた。

舞台『アドルフに告ぐ』

誰しもが愛に生き、それぞれの正義を信じるがゆえに憎しみ合う。戦争によって生み出されてしまう不条理と悲しみを凝縮したような衝撃のステージ。原作ファンならずとも多くの方に是非、ご覧いただきたい。

舞台『アドルフに告ぐ』

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舞台『アドルフに告ぐ』は2015年6月3日(水)から6月14日までKAAT神奈川芸術劇場<ホール>にて上演。また6月24日(水)メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場)演劇ホール、6月27日(土)から28日(日)まで京都芸術劇場 春秋座、7月3日(金)から4日(土)まで刈谷市総合文化センター大ホールにて上演される。

Photo:撮影:引地信彦(1枚目)

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