『デスノート the Musical』『サンセット大通り』…濱田めぐみの多忙な日々


劇団四季時代に数々の名演伝説を残し、退団後もミュージカルの舞台を中心に活躍する濱田めぐみ。今年だけでも『デスノート the Musical』に続いて『サンセット大通り』『スコット&ゼルダ』、そして来年は当たり役のルーシーを演じた『ジキル&ハイド』が控えている。その合間をぬって、濱田に話を聞くことができた。

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先日終演したばかりの『デスノート the Musical』では、死神レムというユニークなキャラを演じたからこそ、見えてこなかったものがいろいろ見えて来たという。

「レムは人間なんて哀れで、まして愛におぼれるなんて本当に愚かだと思ってたのに、最終的には一人の少女を守るために死ぬ。私自身、最後の歌ではそれまで抑えていた感情があふれ出て“この子のために死んでもいい”と、毎回本気で思ってやってました。犠牲の気持ちってこんなに強くて、崇高なものなんだと。人のために死ぬことはすがすがしくて、しかも嬉しいだなんて気持ちには、なかなか普通はなれないですよね。やっぱり人間じゃないものを演じたからこそ、そこまでたどり着けたのかなと思います」

次回作の『サンセット大通り』は、20年間も邸宅に引きこもり、映画作りの妄想にとりつかれた老女優・ノーマを安蘭けいとWキャストで演じる。しかし「昨日もそのことを考えて、怖くて泣きました(笑)」というほど、これまでにないプレッシャーを感じているそうだ。

「今までで一番キツかったのは『ウィキッド』のエルファバだったけど、それとは一線を画した難しさです。まず、彼女の世界観があまりにもラビリンスすぎる。なんでこれほど“あきらめる”の5文字を使うことを拒否し、意固地に自分の生き方を貫けるのか? と。でもその原因を自分の方に下ろすのではなく、自分からはい上がって近づけるようにしないと、ノーマに失礼。その中身がしっかりできれば、見た目と声が若くても、ノーマ・デズモンドという魂が舞台上に存在し、作品として成立できると思ってます。でも本当に人間離れした女性なので、そういう意味では(人間じゃない)レムをやっていたことが、いい影響を与えられるかもしれません」

現実離れした役柄でも真正面から整理・分析して、多くの人が共感できるキャラへと具現化できるのが、濱田の大きな強み。それゆえに難役を振られることが多いが「“人外女優”って、自分でも言ってますよ」と笑う。

「やっぱり人間の枠からはみ出た部分を表現できないと、そういう役は(オファーが)来ないと思うんです。枠のケタを外さない限りはそこにはつながらないし、毎回非常に勉強させてもらってます。ただ今年から来年にかけては、自分の精神的なメンテをしておかないと、今後、精神的に厳しい役が続くので、大丈夫か私? と(笑)。でも女優冥利につきることですし、とことん行ってやろうと思っています」

まだ舞台上での彼女を観たことがない人は、まずは近作『サンセット大通り』で確認してみてはいかがだろう。「チャンスがあれば今後もやっていきたい」(濱田)という、その貴重な、貴重な最初の舞台を目撃する観客になれるかもしれない。

ミュージカル『サンセット大通り』は、以下の日程・会場にて上演される。
【東京公演】2015年7月4日(土)~7月20日(月・祝) 赤坂ACTシアター
【名古屋公演】2015年7月25、26日(土・日) 愛知県芸術劇場大ホール
【大阪公演】2015年7月31日(金)~8月2日(日) シアターBRAVA!

<作曲>
アンドリュー・ロイド=ウェバー
<作詞・脚本>
ドン・ブラック、クリストファー・ハンプトン(1950年公開映画『サンセット大通り』より)
<演出>
鈴木裕美
<出演>
安蘭けい・濱田めぐみ(Wキャスト)
平方元基・柿澤勇人(Wキャスト)
鈴木綜馬/水田航生、戸井勝海、浜畑賢吉ほか

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