坂東玉三郎×DAZZLE 変幻自在なダンスパフォーマンスから目が離せない『バラーレ』


坂東玉三郎演出、DAZZLE(ダズル)出演の舞台『バラーレ』初日を前日に控えた、3月6日(金)、会場である東京・赤坂ACTシアターにて公開ゲネプロが行われた。本作は歌舞伎界の立女方であり、世界的なアーティスト・演出家でもある玉三郎がダンスカンパニーDAZZLEのパフォーマンスに衝撃を受け、ダンス作品の初演出を手がけることになった作品である。

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2013年に自身が芸術監督を務める太鼓芸能集団・鼓童の野外音楽イベント『アース・セレブレーション』の打ち合わせで、DAZZLE主宰の長谷川達也と出会った玉三郎。これまで独自の音楽や、特別な舞台装置を使って作品を上演してきたDAZZLEが、クラシック音楽に合わせ、身体ひとつで踊ったらどんな作品になるだろうと玉三郎が思ったことがきっかけで今回の舞台が誕生した。

『バラーレ』

『バラーレ』は、イーゴリ・ストラヴィンスキー作曲「春の祭典」と、グスタフ・マーラー作曲「交響曲 第4番」第3楽章、ブロードウェイミュージカル『タンゴ・アルゼンチーノ』の楽曲からなっている。いずれも、玉三郎がDAZZLEのパフォーマンスを観て浮かんだアイディアから選曲・構成したという。

1曲目「春の祭典」は、1913年にストラヴィンスキーが作曲したバレエ音楽。複雑なリズムが次々と移り変わる楽曲で、黄色の衣装を身に着けたDAZZLEのダンサーたちは約30分踊り続ける。玉三郎はこの楽曲での演出について「“春がやって来る”ということと、“生贄を捧げる”というテーマがあるのですが、これは“踊る”という意味での生贄なんです。ですから、立ち上がれないほどの踊りになります」と明かしている。ストリートダンスとコンテンポラリーダンスを融合にしたDAZZLEのパフォーマンスを基本にしながらも、楽曲にマッチした不思議な世界観に仕上がっている。

『バラーレ』

続く「交響曲 第4番」第3楽章は、静かさと重さが混ざり合った主題が特徴的な美しい楽曲。ダンサーたちが白い衣装で、素足で踏むステップの音が静かな音楽を際立たせる、美しいパフォーマンスを観ることができる。長谷川は「今までのDAZZLEとはまた違ったやわらかいところを表現できたらと思っています」とコメントしている。DAZZLEのメンバーに加え、アンサンブルも登場するフィナーレは必見。

『バラーレ』

曲に対する知識がなくても楽しめるようにと選ばれた3曲目『タンゴ・アルゼンチーノ』の楽曲では、古典的でありながら現代的な要素のあるプログラムを楽しむことができる。DAZZLEとアンサンブルが加わった総勢33名の男性が、黒い衣装で華やかな舞台を作り上げている。この楽曲では長谷川に加え玉三郎も振付を手掛けているが、タンゴらしいダンスだけでなく、激しい会話を交わしているような振付や、椅子を使った演出など、暗い舞台の中で時々赤い照明が照らし出す怪しい魅力に満ちた、目を離せなくさせるパフォーマンスといえるだろう。

『バラーレ』

クラシック音楽と幻想的なダンスが美しく融合した舞台『バラーレ』は、東京・赤坂ACTシアターにて2015年3月7日(土)から15日(日)まで上演中。

撮影:岡本隆史

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