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演出家・谷賢一の創作現場を垣間見る…『トーキョー・スラム・エンジェルス』ビューイング・サロン

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ビューイング・サロン01

2012年に作家・演出家・翻訳家の谷賢一が立ち上げたユニット「テアトル・ド・アナール」。その最新公演『トーキョー・スラム・エンジェルス』が11月14日より青山円形劇場で幕を開ける。実は今作、テーマが「資本主義経済」であるということもあり、通常の演劇公演ではなかなか見られないさまざまな試みを行なっている。例えば非売品や非公開イベントなどのリターンが用意された「クラウドファンディング」(インターネットを通じて製作資金を支援する手段)。そして、観客に稽古場を公開する「ビューイング・サロン」の実施だ。さる11月2日(日)に行われた「ビューイング・サロン」に潜入。その模様をお届けしよう。

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この日は、2回にわたってビューイング・サロンを実施。各1時間、10人ほどの希望者が稽古場の見学を行なった。
都内某所にある稽古場では、床にぐるっと円形のテーピングが。今回の舞台が青山円形劇場であることを実感させられる。稽古場の片隅に置かれた椅子に観客が座り、まずは演出の谷から軽く説明が。お客が入っていることで逆にサービスするようになっては良くないと思う、いつも通りの稽古風景を見て欲しい……「なので、愛を持って無視していると思ってください」とのこと。
ビューイング・サロンが行われたのはこの日の稽古でも終盤。「じゃあ稽古再開」の言葉で、一気に空気が引き締まる。

本作の舞台は今より少し先の日本、2020年以降の東京。経済格差の差から生まれた「トーキョー・スラム」という地域、そこをめぐる人々を描く。公開された稽古風景は、スラムに住む3人の人々(加治将樹、古河耕史、井上裕朗)と成功した証券ウーマンの息子・タクミ(一色洋平)のやりとりと、そこにタクミの父親である元ラーメン屋店主・ヤマネ(山本亨)が現れて……という一連の場面。
ある程度通してから、谷が一人ひとり演出をつけていく。特にタクミ役の一色に対する演出は、体の角度から向き、目線、感情に伴う動きなど非常に細かい。「威圧される、圧倒されると身体を後ろに引くくせがあるよね。こっちだと(前のめりになって)思うよ」と谷。谷からの演出が次々と来る一色は、それを手のひらにメモ。それに気づいた谷は「どこに書いてるの!?」とツッコみ、稽古場内が笑いに包まれる一幕も。

『トーキョー・スラム・エンジェルス』

今回は円形劇場ということもあり、通常の舞台よりも観客がさらに近く、かつあらゆる角度から視線にさらされることとなる。それもあり、通常よりも細かく演出をつけているようだ。演出家席にいたかと思えば、稽古場の床に座って別の角度、目線から俳優の動きをチェックする。そして、演出をつける際は実際に自分が動いてみせる。
ふだん公開されることがほとんどない稽古場、そして演出家の手法だけに、一挙手一投足が興味深い。
ヤマネが持っているポリタンクを落とす場面で、どうやら前の稽古でフタが開いてしまい、中にはいった水が出てしまったらしい。それを心配する山本に「大丈夫ですよ」と谷が言うものの、ふたたび落とすとまた水が少しこぼれた模様。おそらく、このあと小道具含め試行錯誤が続くのだろう。一つの舞台ができるまでの膨大なプロセス、その片鱗だけでも垣間見れるのはとても貴重で、エキサイティングな体験だ。

1時間ほどの稽古場公開を経て、全員で一丁締めを行い終了。終了後、参加者は別室に移動し、テアトル・ド・アナールのメンバーであるドラマトゥルクの野村政之、プロデューサーの伊藤達哉も加えて簡単に感想を述べる時間が設けられた。参加者の半数ほどは演劇の稽古場を観るのは初めてで、まずその体験自体に興奮したようだ。また、参加した動機も谷作品のファンだったり、“資本主義経済”というテーマに興味を持っていたり、参加俳優の他の作品を見て興味を持ったというものだったりと非常にバラエティに富んでいて、製作サイドもまた彼らの声に真剣に聞き入っていたのが印象的だった。

『トーキョー・スラム・エンジェルス』

作品作りのプロセスを知ることで、実際に完成した舞台作品に対する感想や想いもまた変化してくるに違いない。本番の作品を楽しみに待つのはもちろん、テアトル・ド・アナールのこういった試みを今後とも注目していきたい。クラウドファンディングも11月10日(月)24:00まで実施されているので、気になった人はクラウドファンディング受付ページをチェックしてほしい。

(文/エンタステージ編集部)

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