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『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』SPECIAL SHOW イツァーク役の中村 中にインタビュー!「人間は2度生まれ変わると思っています」

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あの伝説のロックミュージカルが“生みの親”によって日本で甦る!10月にヘドウィグ役のオリジナルキャスト、ジョン・キャメロン・ミッチェルを迎えて上演される本作で、ヘドウィグの”片割れ“イツァークを演じる中村 中(なかむら・あたる)に話を聞いた。

『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』SPECIAL SHOW_中村中インタビュー

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ジョンとは“テレパシー”で会話しました。

――もう10年になるんですね、中村さんが新宿FACEでイツァークを演じられてから。

あっという間ですね。ヘドウィグは自分の分身なんじゃないかと思うくらい好きですし、なにより、オリジナルキャストのジョン(・キャメロン・ミッチェル)と一緒に舞台に立つということに大きな喜びを感じています。またあのグラムロックの世界にひたれるというのも嬉しいですね。

――では、今回のお話を聞いた時は。

小躍りしました。こんなサプライズがあるんだな、って。

――もう、ジョン・キャメロン・ミッチェルさんとはお話になりましたか?

直接はまだなんですが・・・、テレパシーで会話しています。

――おお。ちなみにどんな交信を?

「I Love You」って。今回の上演に関しては、演出のヨリコジュンさんとジョンとディスカッションしながら、イツァークという役を演じられたらと思っています。だから早く3人で会いたいですね。

――前回演じられた時とは、いろいろ変わることもありそうですね。

今回、ふたたびイツァークをやらせていただくにあたって、イツァークの人物像を改めてとらえ直しています。そもそもイツァークは男性なのか、女性なのかも明確にされていないキャラクターですし。

――映画版では女性として描かれていました。

どうなのでしょうか?イツァークはドラァグクイーンだったわけですが、男性としての変身願望なのか、それとも本当は女性だったのか・・・・・・いろいろな解釈があると思います。劇中でイツァークはヘドウィグからウィッグを取り上げられますが、イツァークが男性なら、ヘドウィグの意図は「自分より目立つな」だったのかもしれませんし、女性なら「女がドラァグクイーンの真似をするな」という意味なのかもしれません。いずれにしてもいろいろな解釈ができる分、思いは膨らむばかりです。

私、この作品に関わって、人間は2度生まれ変わる、って感じるようになったんですね。1度目は着飾ることで自信を持つ。2度目は着飾ったことでついたフェイクの自信を捨てて、本当の自信を持つ・・・というような感覚。誰しもそういうところあるんじゃないのかな、って。あと、この作品では“片割れ”という単語が印象的に使われていますが、イツァークはつねにヘドウィグと同じ熱量を持っていなくてはならなくて。でないと、本当の意味での“片割れ”にはなれないと思うので、そうなれるように演じます。

演出のヨリコさんは愛に溢れた人

『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』SPECIAL SHOW_中村中インタビュー_2

――演出を担当なさるヨリコジュンさんはどんな方でしょう。

さきほど、少しヨリコさんとお話できる時間があったんですけど、愛情深い印象でした。この作品に関してはそれが何より大切なことですよね。お名前の由来を伺ったんですが、ヨリコ”さんがお母様のお名前で、“ジュン”さんがお父様のお名前なんですって。そういうところで、愛情深い方だなって。あと、良い匂いがする方でした。

――良い匂い・・・・・・大事です!すべてだと思いつつうかがいたいのですが、劇中で特にお好きな場面やナンバーはありますか?

映画で言うと、「シュガーダディ」「アングリーインチ」「ウィッグ・イン・ア・ボックス」辺りの一連の流れが特に響きますね。観ている方もあそこでヘドウィグの虜になるんじゃないでしょうか。あとは劇中で「何かを手に入れるのなら何かを捨てなければいけない」ってセリフがあるんですけど、ヘドウィグは“捨てた”にもかかわらず、壁を超えたあと(恋人に)”捨てられる“んですよね・・・・・・あのシーンが哀しくて・・・・・・好きですね。

――哀しくて好き・・・・・・。ある意味、本作を現すワードのひとつかもしれないですね。

大きな代償を失うヘドウィグですが、そんなヘドウィグを救うのは仲間たちっていう、あのシーンがあるお陰で、まだ人を信じようって思えますよね。好きなナンバーです、「ウィッグ・イン・ア・ボックス」。

――「ウィッグ・イン・ア・ボックス」の場面は何度観ても、聞いても胸に刺さります。みんなで声を合わせることで、“ヘドウィグの物語”が”自分の人生”にリンクする気がして。

映画版ではトレーラーハウスがパカン!って開いて。電球を蹴って割る演技が大好きです。

――でももし、ヘドウィグのような人が近くにいたら、それはそれで大変ですよね。愛すべき人物ではあると理解しつつ。

確かに。でも、私はすべてが愛おしいです。たとえ本当にヘドウィグが近くにいて、迷惑がられていたとしても、何一つ変わって欲しくないです。もし、そのままのヘドウィグから何かひとつでも欠けたら、イツァークが側にいる意味がなくなるとも思いますし。もし、ヘドウィグが完璧な人間だったら、観る側の人たちはその生き方に全然心を打たれないと思います。

今、ハマっているのは意外なアレ!?

『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』SPECIAL SHOW_中村中インタビュー_3

――前回出演された新宿FACEはぎゅっとしたライブハウスでした。今回は劇場の雰囲気も大きく変わります。

『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』って初演の時からずっと、もちろん今も成長し続けている作品だと思うんです。作品が持つテーマはそのままに、上演する言語や時代や、劇場の規模などによって変化して、関わる人たち全員がその瞬間の新しい『ヘドウィグ~』を作り上げている。今回、東京も大阪も劇場は大きくなりますが、このカンパニーでしか成立しない舞台をお見せできればと思っています。

――10年経って、違うキャスト、異なる演出、新しい劇場で同じ役を演じるって凄いご縁だと思いました。

10年前に初めてイツァークを演じさせていただいた時は、舞台に立ちながらも完全に吹っ切れていないというか・・・・・・どこか迷いのようなものもあったんです。あの頃、自分の活動の中でセクシュアリティを公表し始めた頃だったということもありましたし。もちろん、トランスジェンダーとドラァグクイーンは全然違うものですけど、生き方や生きづらさには共通点も多い気がして。だから余計にこの作品に関わることが当時は少し怖かったんです。そういういろいろな・・・・・・迷いも含めた感情が、イツァークという役にハマったのかもしれないですね。

――今はどうですか?

当時の迷いのような感情はもうありません。その迷いがなくなった分、今はイツァークを心から愛したいし、イツァークとして精一杯生きたいと思っています。

――ありがとうございます。最後にプライベートについても少しうかがわせてください。中村さんが今、ハマっているものはなんでしょう?

盆踊り。

――おお、物凄く意外なお答えでした!

東京音頭や大東京音頭、九州の炭坑節なんかは小さなころから踊っていましたし、地元で大阪の河内音頭を踊るイベントがあったりして。岐阜県の郡上踊りや白鳥踊りにも。盆踊りって、踊りの輪の全員がひとつになれるところがいいんですよね。シャイだと言われる日本人が踊っちゃう感じも。輪の中にいる人たち全員、仲が良いわけじゃなくて、中には嫌いな人もいたりする。だけど、音と踊りで無意識にひとつになっちゃうのが素晴らしいなって思います。自然と平和を体現出来ているのが素敵じゃないですか?


『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』SPECIAL SHOW

彼女のイツァークを観てからもう10年が経ったのか・・・・・・と思いながら話を聞く。こちらの問いに真摯に向き合いながら、言葉のひとつひとつを胸の中から取り出して紡ぐ様子に胸打たれた。

世界中で圧倒的な支持を得る『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』が、ジョン・キャメロン・ミッチェルを迎えてSPECIAL SHOWとして上演される。これはもう事件である。東京・大阪の大劇場が場末のライブハウスに変貌し、そこに立つヘドウィグとイツァークの物語を早く体感したいと思う。

<公演情報>
『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』SPECIAL SHOW

【東京公演】10月14日(金)~10月15日(日) 東急シアターオーブ
☆東京追加公演決定!
10月13日(木) 東急シアターオーブ
追加公演チケット先行受付中(受付期間:9月6日(水)10:00~9月12日(火)11:00)
【大阪公演】10月17日(火) NHK大阪ホール

(撮影/エンタステージ編集部)

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(文/上村由紀子)

ミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』

作品情報ミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』

己の存在理由を問い続け、「愛」を叫び求める姿を描いた傑作ロック・ミュージカル!

  • 公演:
  • キャスト:ジョン・キャメロン・ミッチェル、中村中

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