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舞台『チック』公演直前対談!篠山輝信×特別ゲスト・成河「むちゃくちゃ面白い本に出会えた!観に行くのが楽しみです」

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観客の一人を見つめて語るモノローグ

成河:あと、役っていうより“お話をしてる役者さん”っていう地続きから進めていくのが、こういう世界観にはすごく合うのかなって思う。そのために、観客に目線を合わせていくようなモノローグなのかと。

篠山:稽古していて、一人語りのところには苦戦してました。これは共演の大鷹明良さんにも言われたんですけど、情景描写を伝えようとしすぎて頑張りすぎちゃうと逆に損するよって。情報量も多いし、サービス精神が逆に邪魔になることもあるから、敢えて淡々とやるとこもあってもいいんじゃない?とか、いろんなアドバイスをいただいています。たしかに文量も多いから、全部全力でやり過ぎてもお客さんも疲れちゃうだろうなとか。こういう語りの時に、成河さんが気を付けている事とかってあるんですか?

成河:もちろんあるよ、絶対!小山さんにはなんて言われてる?

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篠山:あんまり大人数に話しかけるっていう意識じゃなくて、もっと個人的に、一人ひとりに話しかけてるみたいな風にはしてほしいって言われてて。

成河:ズバリそう!だと、僕も思います。小山さんがそうなら、僕も賛成なのでどんどん言える!(笑)絶対そうですよね。ジョン・ケアードも言いますよ、「シェイクスピアのモノローグは、虚空を絶対に見つめるな。人を、お客さんを見て」って。モノローグと演説は違うっていうのは、徹底的な基本だと思うよ。

篠山:今なんか、すごく安心しました。

成河:こんなのは言い古された言葉ですけど、役者なんて不安じゃないと嘘じゃないですか。虚空を見ると安心するんですよ。自分に入ってくる情報を遮断すればするほど安心できる。でもそこに異物が入ってきた時に気をとられる=不安になる=芝居が崩れる、でもそれが面白いじゃないですか、本当は。そういうお芝居でしょ?

篠山:お客さんもがっつり目が合うと、あれ?って思ったり、ちょっと不安になったりするじゃないですか、目線をパッと逸らしたり。そういうことですもんね。

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成河:そうそう、こっちだって目が合ってると、心がざわっとする。でもそれがOKサインだってこと。今もこうやって話しててもさ、たまに目がふっと合ったときに少しずつ温度があがっていく感じがあるじゃない。それが一定の低温で続いていくとお芝居はやっぱりつまらない。それじゃVRと4DXには勝てない。

篠山:そうですよね。それが最たるところですもんね、コミュニケーションの。

成河:100人200人相手でも、一人の目を見て(篠山と視線を合わせながら)「え、分かります?そう、さっき北の丸公園あたりで事故渋滞にはまったんですよ」っていうことをちゃんとやるってことに尽きるよ。

篠山:すごいですね。この演出の攻略法と今日の移動のトラブルを上手くまぜて・・・こんな上手なトークの仕方あんのかな(笑)。

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成河:人生は演劇だからね!いや、でも絶対小山さんの言ったことを信じてやったら良いと思う。それだけがコツだよ。止まっていいんだよ。お客さんがちょっと分かんないような顔したら、絶対止まった方がいい。止まらずツルツル言えちゃったりお客さんの顔が見えなくなった時は、自分の中で黄色信号を点滅させたほうがいい。

篠山:さっき成河さんが言ったように、「すみません、俺の話わかりにくいですよね?ちゃんとまた後で話しますから」ってセリフがちゃんとあったりもするんですよね。

成河:そうだよ、もう、そんなのスラスラ繋げたら怒るよ!(笑)きちんと相手のいるモノローグだから。お客さんに台詞がないだけで、お客さんにも台詞が分担されてるって思って喋らなきゃだめじゃない?

篠山:「コミュニケーションをその場でとる」ということを第一にやるってことですよね?

成河:そう。そういう意味では、これはモノローグというよりは、もうお客さんとの会話だと思うべきかもね。

4DXには出せない、生の演劇だからできること

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篠山:そうですね。すごいなぁ、本当にためになることばかりです。それが全編しっかり続けられるかってことですよね。一人ひとりにって意識していくと、稽古場でも目が合うものだもんなあ。

成河:絶対それでいい。稽古場だとつい、演出席とかも近いところにあるし、劇場サイズを想定してやっちゃうから遠くを見たりさ。ひとつの正論ではあるよ。でもね、僕は・・・大嫌いだよ!
<一同爆笑>

成河:語りから地続きでお客さんを連れていくって、演劇だからできること。映画でこんなモノローグがナレーションで流れたら、他人事で終わっちゃう。主人公たちの年齢もそう。大人の役者が14歳を出来るのってやっぱり演劇だけなんですよ、結局。映像だとその差違に目を瞑らざるをえなくなりますから。でも演劇では、その差が面白くみえるはずだもの。

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篠山:柄本(時生)さんと僕で、14歳が成立するんですもんね。

成河:僕が特別自分で考えて言ってることじゃないですけど、演劇って、どこで行われているかってことなんですよね。舞台上で行われているものを観客が見るものだけど、でも本当はそうじゃない。

篠山:想像力の中ってことですか?

成河:そう、要するに頭の中。脳みその中で行われているから無限だし、絶対に勝てないんです。だから、目に見えるものだけに囚われるとつまらなくなる。だから、大人が14歳をやる。緩やかなカーブを描きながら、会話とモノローグを行き来して、それであの結末を描けたら、もう絶対泣いちゃうよ・・・。

篠山:あぁ、本当にいい対談を企画してもらったなぁ。

成河:そういうところまで“語り”で連れてってもらうっていうのが、劇場体験としては4DXにもVRにも勝るんですよ。というか、それだけが勝るんです。『チック』って作品には、そういうエッセンスが詰まりに詰まってると思う。篠山くんは、会話のところとモノローグどっちが好き?

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篠山:僕はこのモノローグ結構好きなんですよね。お客さんとここまでコミュニケーションを取るっていうのはやったことがないですし、これだけ全編にわたるモノローグっていうのも初めてのことで。小山さんも言うんですけど、これって、旅を終えたマイクくんが「いい夏だったよ」って自慢してるんですよね、ずっと。語りの部分は、お客さんに自慢せずにはいられないっていうマイクくんがずっといて、それを述懐して、具体的にお芝居のシーンになっていくっていうような構造なんです。

成河:えー、それすごい素敵ですね。

篠山:だから、お客さんに語ることでしっかりコミュニケーションが取れればいいなって思います。

成河:そこは、バラエティで培ったものがあるからきっと大丈夫!(笑)。今日話してても、篠山くんすごく視野が広いなって思うし、それが今回きっと生きると思う。

篠山:嬉しいなあ。演説にならないようにだけは、気を付けないと!

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成河:演説になった瞬間にお客さん寝ちゃうもんね。技術的にはゴールのない役だとは思うけど、でも今の話すごく良かった。(バシッと篠山の肩を叩きながら)絶対面白くなるじゃん!

篠山:あ、ありがとうございます!

成河:そういう枠をしっかり作れるって役者としてすごいことだし、尊敬できる。役の設定に入っていくことも大事ですけど、大きな枠できちっと捉えられるっていうのがね。今のまんまの篠山くんがきっと出来ることなんだろうから、是非そのままやってるのを僕は見てみたい。「新しい自分を見せよう」とか力まなくていいって思うよ。

篠山:いやー、いい、本当にいい話を聞かせてもらってます。今、僕が志してる方向性はやっぱりこうなんだなって思えたし、本当に心強いです。

成河:勿論理想論だし、言うのは簡単ですよ。こんな僕が!

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篠山:いやいや、話をさせてもらうタイミングも今で良かった。稽古も残ってて(※7/31対談時点)、色んなことを稽古場でやってる中で、素直に成河さんに聞きたいことを聞けたので。

成河:・・・演助(演出助手)とか空いてないの?

篠山:ごめんなさい、残念ながら!

成河:ああ、うらやましいよ。こんな、まだあんまり知られていない面白さに触れられるって。戯曲だけじゃない演劇の様式の面白さをゼロから創っていく喜びって、そうそう体験できないですよ。

篠山:小山さんにもお聞きいただきたかったですね、今日の対談!

成河:観客として観に行った時にお会いしますから!

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◆『チック』公演情報
8月13日(日)~8月27日(日)
東京・シアタートラム
9月5日(火)・9月6日(水)
兵庫・兵庫県立芸術文化センター

(撮影/エンタステージ編集部)

(文/杉田美粋)

チック

作品情報チック

一生に一度、絶対に忘れられない夏の旅

  • 公演:
  • キャスト:柄本時生、篠山輝信、土井ケイト、あめくみちこ、大鷹明良

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