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『鎌塚氏、腹におさめる』倉持裕×三宅弘城インタビュー!「“腹におさめている”ことはたくさんある」

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倉持裕が作・演出を手掛ける「鎌塚氏」シリーズは、三宅弘城が演じる生真面目で融通のきかない“完璧なる執事”が、問題解決に奮闘する人気コメディだ。その4作目となる『鎌塚氏、腹におさめる』が、2017年8月5日(土)より、東京・本多劇場を皮切りに上演される。人気シリーズを生んだ二人に、キャラクターの誕生秘話からそれぞれの魅力、今回の見どころまで聞いた。

『鎌塚氏、腹におさめる』倉持裕×三宅弘城対談インタビュー

――これまでのシリーズタイトルが『放り投げる』、『すくい上げる』、『振り下ろす』と言ったアクティブな印象の言葉であるのに対して、今回の『腹におさめる』と少しイメージが変わりましたね。内容にも何か変化はあるのでしょうか?

倉持:今回のタイトルは「内容を探偵物にしよう」という構想ができた時に、探偵を連想させやすい言葉にしたいと思ってつけたんですよね。“秘密にしておく”って・・・っぽいじゃないですか。そして、身体的だけじゃなく精神的な意味にもとれる言葉がいいな、というのは毎回思っています。1作目の『放り投げる』も、アクティブに聞こえるんですが「放棄する」という意味もありますよね。『腹におさめる』もそう。具体的に何かをおさめてもいいですし・・・食べ物とか(笑)。

『鎌塚氏、腹におさめる』倉持裕×三宅弘城インタビュー_7

――探偵物ということで、今回は殺人事件が起こるんですよね・・・。

倉持:もともと、レイモンド・チャンドラーとかハードボイルドな探偵物が好きなんですよ。元々、「鎌塚氏」シリーズを作ろうと思ったのも、シリアスなものをパロディにして、コメディとして成立させたいと思ったのがきっかけでした。コメディで殺人が起きるっていうのは、ちょっとリスクが高いかなとは思ったんですけど・・・まあ、死んでも幽霊として蘇らせたりもできるので、いいかなと思いました。生前よりも出番がある、みたいな・・・(笑)。

三宅:あははは!確かに、幽霊ならね(笑)。僕は、倉持さんのように推理小説をたくさん読んできたわけではないんですけど、これまでとまたテイストが違うものができるというのが、とても楽しみですね。純粋に4作目、鎌塚をまたやれるという喜びも大きかったですし。中身に関してはね、倉持さんを圧倒的に信頼しているので!

――鎌塚アカシ探偵は、どんな探偵になりそうでしょうか?

倉持:鎌塚は使用人だから、(基本姿勢が)どちらかというと受け身なんですね。今回は、二階堂ふみちゃんが演じるお嬢様が探偵で、鎌塚が助手として動く、という形になるかなと思います。鎌塚には、探偵としての素質は多分ないんだけど、「何でもできる」って本人は思い込んでいるんですよ(笑)。

三宅:動き回らなくてもいいところでも、動き回っちゃうような人だからね!

『鎌塚氏、腹におさめる』倉持裕×三宅弘城インタビュー_5

――倉持さんの現場ならではのおもしろさって、どんなところにありますか?

三宅:倉持さんの作品の現場は、すごく楽しい稽古場なんですよ。多くの演出家さんがやってくださるとことではあるんですが「こういう風にできませんかね?」って、たまに倉持さん自身が芝居を見せてくださるんですね。これがね、ポーカーフェイスでやってくれるの!それが、たまらなくおもしろいんですよね~。

倉持:(苦笑)。

三宅:しかも、それを見せていただくと「分かった、そういう方向か!」って、すぐに分かるので、とてもやりやすいです。あと、盆の使い方がおもしろいんですよね。僕は、転換にこそセンスが出るという持論を持っているんですけど、倉持さんは特にそれに長けた方だなって思っています。稽古の中でも、盆だけの稽古をやったりもするんだけど、それを考えている倉持さんがね、またかっこいい!そういうところも含めて、演出家・倉持裕の姿を見るのが楽しみの一つなんですよ。

倉持:この作品は、ロードムービーのようにいろんな場所が出てくるので、盆が大活躍するんですよ。ただ、今回はもう少し人間関係をしっかり見せたいなとも思っているので、これまでの作品ほど小刻みには回らないかもしれません。それから、これは単純に自分の中の問題なんですが、最近やった妄想歌謡劇『上を下へのジレッタ』とか『お勢登場』もすごく転換が多かったので、今回はちょっと違うことやりたいなとも思って・・・(笑)。

『鎌塚氏、腹におさめる』倉持裕×三宅弘城対談インタビュー_2

――シリーズ作品だからこそ、続けていくことの難しさを感じることもありますか?

倉持:2作目、3作目の頃はどうやっていこうかと悩ましい部分があったかもしれないです。でも、4作目にもなると、そういうところからは離れた感じがあります。3作目ぐらいまでは、まだ「鎌塚アカシを手放すまい!」という感じでやっていたんですけど、今は「ああ、まだしばらくいそうだな」って思ってます(笑)。

三宅:毎回、キャストの方も少しずつ違うので、新鮮な気持ちでやれるんですよね。同じ役を演じているんですが、アカシに対する新発見はたくさんありますよ。「これはイケるけど、こっちは全然ダメなんだ」とか、毎回気づく部分があるので、毎回おもしろい。決定的に抜けているところがあったりもしますからね!

倉持:そうですね(笑)。

三宅:真面目であればあるほど間抜けさが滲み出てくるというか、もう“間抜け美”ですよね。殺人事件の推理でも、きっとまた、トンチンカンな方向へ迷走していくんだろうなって思います(笑)。続けてきたからこそ見える、アカシの“できること”と“ダメなこと”が見えてくると思うので、それも楽しみ。

『鎌塚氏、腹におさめる』倉持裕×三宅弘城インタビュー_6

――よい形で続けられていることが伝わってきました。ちなみに“鎌塚氏”はどのようにして倉持さんの中で誕生したんでしょうか。

倉持:カズオ・イシグロのバトラー(執事)をテーマにした「日の名残り」という小説には影響を受けています。登場するバトラーが真面目すぎておもしろくて、ユーモアを感じたんです。「これをユーモアの方100%振り切った作品をできないかな」というところから書き始めました。融通が利かない人のおもしろさをやりたいなと。1作目をやって、終演後の楽屋で2作目の話が出るくらい手応えを感じました。

三宅:シリーズ物ではあるんですけど、初めての人も、観たことある人も楽しめるようにできていますからね。前に観たことがある方は「あっ、でてきた!」という感じで、シリーズならではの“ネタ”に入り込めますし、初めての人は「なんじゃこれ?!」というような小ネタを新鮮に笑えると思います。

倉持:そうですね。続き物でも全部観ているという方ばかりではないですし、毎回、初めて観てくださる方にとってもおもしろいものになるように、と思って作っています。

――演出と主演、それぞれの立場でここまで来るのに苦労されたことってありますか?

倉持:三宅さんが、シリーズ1作目で「尊敬語」「丁寧語」「謙譲語」の使い分けで苦労されている感はあったんですが、2作目からは、かなり流暢に使いこなされていましたね。それも役を掴まれている証だと思いました。「~存じます」とか、普段使わない言い回しも三宅さんが言うと不自然に聞こえなくなりました。

『鎌塚氏、腹におさめる』倉持裕×三宅弘城インタビュー_4

三宅:初めは苦戦しましたね~。でも、今振り返ってみると1作目は倉持さん自身がそういう言い回しを多用したかったのかな?って思う部分もあります(笑)!1作目、ダントツ多かったですもん。

倉持:そうかもしれないですね(笑)。確かに多かったと思います。シリーズを重ねていくうちに、ここまでの言い回しは「芝居の邪魔になるんじゃないか」とか、三宅さんの演じ方で脚本を修正しながら進めてきた感じもします。作品を重ねるごとに、だんだん僕自身が「この作品で、どういうことをやってどういうことをしないのか」というのが分かってきたというのもあるかもしれないです。

――今回のヒロインは二階堂ふみさんですが、二階堂さんの役は出演が決まってから台本を書かれたのでしょうか?

倉持:そうですね。ただ、僕自身がご本人のことをそこまで深くは知らない状態で、僕が持っている彼女のイメージや鎌塚との関係性を考えつつ、当て書きをしていく感じで書きました。推理マニアで推理したくて仕方がないんですけどいつも的外れ、という役ですね。自信を持って「アイツよ!」とか言うけど、全然違うみたいな(笑)。融通が利かない同士というか、我を張る二人という組み合わせがおもしろいんじゃないかなと思って作りました。

三宅:二階堂さんとは初共演なので、楽しみですね。小柄だけど、そこから溢れ出るものがすごい、力強い女優さんなので。魂の喧嘩ができるかなと思っています。あとはもう、とにかくかわいい!本当にお人形さんみたいだなと思います(笑)。

『鎌塚氏、腹におさめる』倉持裕×三宅弘城対談インタビュー_3

――では、最後に一つエピソードトークを・・・ズバリ、お二人の間で“腹におさめている”ことはありますか?

倉持:演出なんかやってたら“腹におさめる”なんて日常茶飯事ですよ。小競り合いの連続ですからね。「あの人はこう言うけど、できない」「この人はこうだと思う」あちこちの意見が演出家に集まって、それを取捨選択して、腹におさめておく。・・・たくさんありますよ(笑)。

三宅:稽古で、誰かがシーンを丸々飛ばしちゃったけど、演出家は見てなかったから皆で黙ってよう・・・っていうのも“腹におさめる”?

倉持:そういうこともありそうだけど、言葉的には「自分だけが知ってる」ことじゃないですかね。例えば、飛ばしちゃった人が大御所で、その失敗を見ていたのは自分だけだった・・・というような(笑)。

三宅:なるほど!・・・でも言えないから“腹におさめる”んですよね(笑)。

『鎌塚氏、腹におさめる』倉持裕×三宅弘城対談インタビュー_ビジュアル

◆公演情報
M&Oplaysプロデュース『鎌塚氏、腹におさめる』
【東京公演】8月5日(土)~8月27日(日) 本多劇場
【名古屋公演】8月29日(火)・8月30日(水) 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
【大阪公演】9月2日(土)・9月3日(日) サンケイホールブリーゼ
【島根公演】9月5日(火) 島根県民会館 大ホール
【広島公演】9月7日(木) JMSアステールプラザ 大ホール
【宮城公演】9月13日(水) 電力ホール
【富山公演】9月15日(金) 富山県民会館ホール
【静岡公演】9月18日(月・祝) 静岡市清水文化会館マリナート 大ホール

【作・演出】倉持裕
【出演】三宅弘城、二階堂ふみ、眞島秀和、谷田部俊、玉置孝匡、猫背椿、大堀こういち

【公式HP】http://mo-plays.com/kama4/

(撮影/エンタステージ編集部)

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(文/杉田美粋)

鎌塚氏、腹におさめる

作品情報鎌塚氏、腹におさめる

三宅弘城扮する完璧なる執事が、殺人事件を解決するために奮闘する新作コメディー

  • 公演:
  • キャスト:三宅弘城、 二階堂ふみ、 大堀こういち、猫背椿、 玉置孝匡、 眞島秀和、 谷田部俊

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