『ベター・ハーフ』松井玲奈インタビュー!「濃度の高い4人芝居、こういう作品に挑戦してみたかった」


2015年に上演された鴻上尚史作・演出の『ベター・ハーフ』が、2017年6月25日(日)より再演される。出演者には、初演からとなる風間俊介、中村中、片桐仁に加え、新たに松井玲奈が加わった。グループ卒業後初舞台となった『新・幕末純情伝』では、細く美しい姿から放たれる圧倒的な存在感とエネルギーで、観るものの心を奪った松井。本作では、デリバリーヘルスで働きながら芸能界を夢見る女性を演じる。役へのアプローチや意気込み、演劇に対する強い思いを聞いた。

『ベター・ハーフ』松井玲奈インタビュー

――ご出演が決まった時の心境は?

単純にびっくりしました。共演させていただく方々も「いつかご一緒したい」と思っていた方ばかりだったので、こんなことが起こるんだなあと驚きつつ、喜びました。前回出演させていただいた舞台『新・幕末純情伝』は、結構な人数でステージに立っていましたが、今回は4人芝居。かなり濃度の高いお芝居になるんじゃないかなと思っていますし、そういう挑戦をしてみたかったので、とてもありがたい機会です。

――共演する皆さんとは、もうお会いになられましたか?

実は、全員でお会いするのは今日(メインビジュアル撮影日)が初めてなんです!風間さん、片桐さんはお仕事でご一緒したりすることはあったんですが、中村中さんは本当の初めましてでした。とても温かく包んでくださる方です。

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――4人という人数もですが、物語もこれまでにはない恋愛ものですよね。役柄的にも新たな一面を見せていただけそうで楽しみです。

そうですね。恋愛ものでここまで濃い役柄は初めてです(笑)。特に、今回私が演じる平澤という女の子の恋愛に対する考え方やスタンスが、自分自身とも、今まで演じてきた女の子ともまったく違うように感じていて・・・。そこも新しいです。アプローチとしては、彼女が抱える夢に対する想いなど、まっすぐな部分をしっかり演じていけたらと思っています。

――性にまつわる描写や台詞もある役柄ですが、そういった意味でもより人間の“剥き出しの部分”が引き出される気がします。

私自身も、舞台って他人の生活を覗き見しているような感覚があるなって思っていて。公衆の面前で自分の恋愛観やパーソナルなことって多くは話さないけど、家の中や近しい人との間では話す機会はありますね。そういう一部分を切り取ってるんだと思えば、今回の役柄も抵抗はないというか・・・。彼女が置かれている状況や、彼女なりに覚悟や意思を持って身を置いている場所があると思えば、どんな流れも自然なことだなって思います。

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――松井さんは、これまでの作品でも深く役柄にアプローチされている印象があるのですが、稽古に入って動く前から、役作りはしっかりされるのでしょうか?

本は何回も読むんですけど、ガチガチに固めないようにはしていますね。でも、今回は再演、しかもキャストも他の方は皆さん同じで、私だけが変わるので、強く意識している部分はありますね。

――そうですよね。再演で、たった一人で新たに座組みに入っていくのは、プレッシャーや緊張と同時に大きな決意がいりますよね。

そうですね。作品として一度出来上がっているもの、完成しているものがまた新しくなるわけなので・・・。人が変わることで、作品そのものの見方が変わってくることもあると思いますし、再演するからには、作品の新しい一面を何か引き出すことができればと思っています。

――ストーリーに対するお話も少しお聞きしたいのですが、台本を読んだ時の印象はいかがでしたか?

最初読んだ時は、ものすごく“絡まっている”お話だなと思ったんです。毛糸が絡まって、解けなくなっているような。それがこの4人の置かれている人間関係なのかなって。でも『ベター・ハーフ』という言葉の意味を理解してから読むと、その絡まりは決して解けないものじゃないんだって感じました。

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――「ベター・ハーフ=自分が必要とする、もう一人の自分」。人との出会いや繋がりを、今一度立ち止まって振り返りたくなるような印象的なタイトルですよね。

そうなんです。ぐちゃぐちゃに見えるかもしれないけど、それぞれがしっかり人間関係を結んでいく中で、絡まってしまったもので。だから、本を読んだ後に、タイトルの意味が自分にズシンッとのしかかってくるんだろうなって思います。物語の中に『ベター・ハーフ』っていう言葉自体がたくさん出てくるわけじゃないけれど、だからこそ、皆さんにとってこのタイトルがどんな意味を持つのか。観てくださる方の心に、色濃く残る作品になればいいなと思っています。

――ちなみに、松井さんご自身は、「もう一人の自分」とかは信じる方でしょうか?

前世の関係とかがあったら、おもしろいなあとは思うんですけど、どこまでが有りうるんだろうっていう気持ちもありますね。自分がプライベートで仲良くしていたり、お仕事をよくご一緒したりする方たちって、きっと何かの繋がりやご縁があるんだとは思っています。特に人と出会った時で、短い時間の中でもぐっと距離が近づくような、すごく分かり合えた気持ちになった時に、そういう見えない引力みたいなものは感じますね。

――グループ卒業後に初舞台となった前作で、松井さんの底知れぬ強さやパワフルさを目の当たりにして、印象が大きく変わりました。松井さんが、舞台に挑戦する意義や魅力とはなんでしょうか?

演劇というものを経験していなかった頃は、すべてが板の上だけで作られているように感じていたんです。でも、実際に自分がその場所に立ってみたら「これはお客さんと作っていくものなんだ」っていう想いが強くなっていきました。今日そこにいるお客さんは、明日はいなくて、人が違うから反応も違う。反応が違えば、板の上の濃度、温度も日によって違って・・・。回を重ねれば重ねるほど、お芝居や一体感がブラッシュアップされていく感覚も、舞台ならではだなと。毎公演、お話の空気感や熱が変わっていくのを体感して、その楽しさや素晴らしさをより強く感じるようになりました。

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――今回も、松井さんのお芝居を楽しみにしています!最後に、今回の舞台を楽しみにしている方へメッセージをお願いいたします。

本多劇場で、しかも4人芝居と、初めてなことばかりですが、とても濃厚なものになりそうで私自身も楽しみにしています。劇場という空間でしか感じられない魅力が詰まった作品になると思いますので、ぜひ、観に来てください!

◆公演情報
『ベター・ハーフ』
【脚本・演出】鴻上尚史
【出演】風間俊介、松井玲奈、中村中、片桐仁

【東京公演】6月25日(日)〜7月17日(月・祝) 本多劇場
【愛知公演】7月21日(金)~7月22日(土) ウインクあいち 大ホール
【福岡公演】7月28日(金)~7月30日(日) 久留米シティプラザ 久留米座
【大阪公演】8月5日(土)・8月6日(日) サンケイホールブリーゼ

【チケット発売日】5月13日(土)10:00~

【公式サイト】http://betterhalf.thirdstage.com/

『ベター・ハーフ』松井玲奈インタビュー_2

◆プロフィール
松井玲奈(まついれな)
1991年7月27日生まれ、愛知県出身。2008年、SKE48一期生としてデビュー。2015年8月に同グループを卒業。
最近の主な出演作は、TVドラマ『フラジャイル』『神奈川県厚木市 ランドリー茅ヶ崎』など。映画『はらはらなのか。』『笑う招き猫』『めがみさま』が順次公開。舞台『新・幕末純情伝』での沖田総司役が話題に。

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