舞台『ジョーカー・ゲーム』西田大輔&鈴木勝吾インタビュー!「作ることは出会うこと」


2017年5月に東京・Zeppブルーシアター六本木にて上演される舞台『ジョーカー・ゲーム』。原案は、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞をW受賞した柳広司の同名小説で、2016年4月にはTVアニメ化も果たした。スパイたちの心理戦をどう描くのか、舞台化発表時から注目が集まっている中、脚本・演出の西田大輔と、主演を務める鈴木勝吾に話を聞いた。

舞台『ジョーカー・ゲーム』西田大輔&鈴木勝吾インタビュー

――舞台化決定の発表がされた際、西田さんはTwitterで「こんなに舞台化に向いている作品はないと思う」とおっしゃっていましたよね。どういう部分にそう感じていらっしゃるのですか?

西田:この作品は、過度なファンタジーであるわけでもなければ、過度なドラマ性があるわけでもないですよね。時代背景も現実に沿ったものであり、描かれているのもいわゆる心理戦です。舞台は制約のあるものですが、この作品の原作の世界観をそのままストレートに、要素を何も消さずに、そのままを舞台に乗せられる。そういう点で、非常に舞台向きだと思っています。

――鈴木さんは、この作品のことはご存じでしたか?

鈴木:いえ、僕はお話をいただいてから、原作の小説とアニメを知ったんです。でも、人づてに西田さんが(この作品が)「舞台化に向いている」と言っているという話を、聞いてたんですよ。西田さんがそう言ってるから「大丈夫、ついていこう!」と思いました。
その後、小説原作を読んだりアニメを観たりする前に、情報として作品のことをいろいろと調べてみたんです。さっき西田さんがおっしゃったように、時代背景がしっかりしていて、過度なファンタジーでもない、という部分は、確かに舞台向きでおもしろくなりそうだと感じました。そして、何より、どの役をやるのか気になりました(笑)。

舞台『ジョーカー・ゲーム』西田大輔&鈴木勝吾インタビュー_5

――配役も発表になりましたね。

鈴木:はい、三好役をやらせていただきます。配役を知ってから、アニメを観たんですよ。最初の数話は「わりとツンツンしたキャラクターなんだな」「この先どうなっていくんだろう?」と思って観て、次に出てきたら・・・。西田さんが舞台に向いているという意味も分かったんですが、実際にどうやってやるのかは全然想像がつかなくて。登場人物それぞれに、皆エピソードがあって、それが誰のエピソードなのかも分からない感じで進んでいくじゃないですか。どういう風に話を展開していくのか、すごく疑問と期待が膨らみました。
西田さんの中で、今、どういう構想になってるんですか?

西田:原作は、各話短編が並んでいるよね。それぞれ、結城とD機関のスパイの誰かという構成になっている。もちろん、本丸はアニメの『ジョーカー・ゲーム』になるんですが、それぞれの話をダイジェストでやるということはせずに、多少のオリジナル要素が入ってくると思います。

――今回、配役推理なども行われていましたね。

西田:役名も、偽名だったりするので、本当のことではないんですが(笑)。

鈴木:そういうところも、西田さんは上手く見せるんだろうなって、勝手に思っています。小説だと、絵がないからより真実が隠されていたり、カモフラージュされていたりしますよね。アニメになると、絵があるので変装で見せたり、また別の方法でうまく隠しながら表現している。舞台は、実際に人がそこで演じているし、顔が出ちゃうけど、舞台ならではの技法でおもしろく見せることができるんじゃないかと。観ている人に「今のはどういうことなんだろう?」と思わせられれば、きっとすごくおもしろくなるんじゃないかなと思います。

西田:なるほど、そうだね~。

鈴木:・・・って言いましたけど、僕も分からないですよ!今は、西田さんの頭の中だけにあるんですから(笑)。

西田:・・・考えています(笑)!

鈴木:(笑)!!

西田:今回はアニメ版をモチーフに舞台化するんですけど、そのアニメで描いているのが、1937年から1941年の間なんですね。難しいのは、各話の年代がバラバラに出てくるんですよ。登場人物たちが一堂に会すると思いきや、この時すでに彼はいないとか、そういうことが出てくるんです。だから、緻密に本も構成していかなきゃなと思っています。

舞台『ジョーカー・ゲーム』西田大輔&鈴木勝吾インタビュー_4

――西田さんから見て、鈴木さんのどういう部分が三好と似ていると考えますか?

西田:三好は、結城が作ったD機関の持つ信念のど真ん中にいるような男なんです。そういう意味で、僕の中では三好がこう動いて、こんな印象を残す。勝吾自身と照らし合わせても、すでに見えている感じがしています。勝吾と三好、すごく似てると思うんですよ。

鈴木:そうなんですか、唐突ですね(笑)。

西田:でも、そうだよ。そんな感じあるある。

西田:全然違うように見えるんですけど、勝吾は物事をまっすぐ捉えつつ、同時に別の側面から見ているようなところがあるんですよ。
だから、一見とっても熱いヤツに見えるんだけど、よくよく考えるとすごく冷静な部分も合わせ持っている俳優だと思うんです。三好は、そんなに熱くなる人物ではないですけど、目的のために最短距離を行きたいみたいなところに同じものを感じるんですよね。・・・飲んでる時以外は(笑)。

鈴木:ちょっと、お互いさまじゃないですか(笑)。

西田:飲んでいる時は生産性がないんですよ。

鈴木:飲んでる時に生産性ある人っていますか(笑)?!

西田:そんな風に思ってます(笑)。

――西田さんの印象を聞いて、鈴木さんはどうお感じになられますか?

鈴木:そういう物事の見方ができるようになったタイミングで、西田さんと出会えたなという感覚があります。僕はこの仕事をはじめて9年ぐらいですけど、その中でも紆余曲折あって「お芝居ってなんだろう」と日々考えてきました。演じるって、僕の元々の感覚やキャラクターと人物が見合っていれば、それだけである程度成立してしまうところもあるんですが、年齢を重ねていくにつれて、それだけでは作品のギミックや構成が埋まらない部分を感じていて。
去年、西田さんとご一緒した作品は、個としての役作りと全体の作品づくりの両方を同時にやるにはどうしたらいいのか、すごく考えていた時期でもありました。だから、さっきの西田さんの印象は確かにそうなのかもしれないと思います。・・・飲む時に生産性がないことも含め(笑)。

西田:はははは(笑)。

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――鈴木さんは西田さんの作品にご出演されてみて、演出家として西田さんにどんな印象を持たれましたか?

鈴木:難しいですが・・・、一言で言うと、好きですよ(笑)。西田さんの年代の方って、新しいものを作りたい、前の時代には負けない、みたいな感覚を持っていらっしゃるように、ひしひしと感じていて。西田さんは、その感覚を俳優に伝えて、信頼して一緒に作っていってくれる方だと思います。自分のこと、いつも天才とか言ってるけど(笑)。

西田:そんなに自分のこと天才って言ってたかな(笑)?

鈴木:俺は才能がある!って言ってましたよ、飲んでる時に(笑)。

西田:生産性なく飲んでる時に(笑)。

鈴木:そんなこと言っていますけど、ついていきたくなるというか・・・。乗っかってみたくなる、というのが一番しっくりくるのかな。
いろんな演出家の方がいて、役者もいろんな考えを持っていて、一つの作品を作る上でもいろんな捉え方がある。そういう時に、皆に「西田さんの捉え方に乗っかってみようか」と自然と思わせてくれる方ですね。

西田:僕は“作ることは出会うこと”だと思います。勝吾しかり、俳優との新たな出会いは、刺激になるんですよね。新しい花を見つける、みたいな。これは、作り手としての醍醐味だなって、最近特に思います。去年、「またとんでもないヤツと出会ったな」と思った勝吾と、1年経たずにまたこうやって舞台ができるというのは“何か”あるんじゃないかなって思ってます。

――作り手の皆さんも、観客も、演劇は一期一会だなと思います。この舞台『ジョーカー・ゲーム』も、新たな出会いのある作品になりそうですね。

西田:そうですね。今回、半分くらい初めて一緒にやる俳優さんなんですよ。

鈴木:僕は、オラさん(オラキオ)以外全員初めてです。

西田:あっ、そうなんだ意外・・・。

鈴木:そうなんです。オラさんだけ知ってるっていうのがまた不思議な感じなんですけど(笑)。

西田:オラキオさん、アメリカ人の役やるんだよ。(顔は)ザ・アジアみたいな方だけど(笑)。

鈴木:恰幅だけでハマる気がします(笑)。谷口さんは、知り合いでご一緒した人がいっぱいいて、「勝吾と谷口さんは会った方がいいよ」と言われることが多くて。超、緊張してます(笑)。久々にこういう現場に入るので、楽しみ半分怖さも半分です。

舞台『ジョーカー・ゲーム』西田大輔&鈴木勝吾インタビュー_3

――座組みとしても、2.5次元作品としても新しさ目白押しですね。

西田:そうですね~。確かに、アニメをベースとするのでこれは2.5次元作品になりますが、2.5次元作品としての概念を変える作品になるんじゃないかなと。原作に、そういう力があると思うので。
この『ジョーカー・ゲーム』は、究極を言ってしまえば、テーブル突き合わせて騙し合って、盗み合う、みたいなお話だと思います。それってある意味、舞台と一緒で。考え方としては飛んでいるかもしれませんが、僕の中ではつながっています。

鈴木:僕も舞台『ジョーカー・ゲーム』を2.5次元作品として作ることは、挑戦だと思います。何故かというと、2.5次元だと思って観に来てくれる方に、いわゆる2.5次元として出来上がった“イメージ”でないものを観ていただくことができるんじゃないかと。まだどうやるのかは分からないですけど(笑)。僕自身、いろんな作品に出演させていただいていますが、普通の舞台をやることと、原作のある2.5次元をやること、心意気としての差はないんです。だから、観てくださる方にも「それを作るのも、これを作るのも同じことなんだ」というのを、伝えていけるんじゃないかなと思います。

――どんな作品になるのか、とても楽しみです。最後に、公演を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

鈴木:今、2.5次元作品がいっぱい作られている中、過渡期を迎えているように思います。そういうタイミングで、小説が原案原作で、アニメにもなって、西田さんが「舞台に向いている」というこの作品をやれることは、すごく意義があることだと思います。もちろん、期待して観に来てくれたらいいですし、そこからまた、演劇を好きになってくれたら嬉しいなと思います。

西田:間口と言った意味で、小説やアニメがあることを知らなくても、楽しんでいただける作品になれると思います。もちろん、それを大前提として作ろうと思っています。その上で、この原作の世界観をそのまま舞台に持っていけるんじゃないか、という自信もあります。
チラシに“極上のスパイ・エンターテインメントに御期待ください”って書いてあるんですよ。スパイ・エンターテインメントって、この言葉の組み合わせ自体も新しいと思います。どういった騙し合いをするのかというのは、それは作り手と観客の皆さんの間にも掛かってくるような気がするので。そういった意味でも、見逃したくない作品にしようと思っているので、ぜひ、楽しみに待っていてください。

舞台『ジョーカー・ゲーム』西田大輔&鈴木勝吾インタビュー_2

◆公演情報
舞台『ジョーカー・ゲーム』
5月4日(木・祝)~5月7日(日) 東京・Zeppブルーシアター六本木
【原作】TVアニメ『ジョーカー・ゲーム』
【演出・脚本】西田大輔
【出演】
鈴木勝吾
山本一慶 木戸邑弥 奥谷知弘 松本岳 才川コージ 阿部快征 前田剛史 大海将一郎
山崎雅志 光宣 オラキオ
谷口賢志

◆チケット情報
【一般発売】4月8日(土)10:00~

舞台『ジョーカー・ゲーム』西田大輔&鈴木勝吾インタビュー_ビジュアル

(C)柳広司・KADOKAWA/JOKER GAME ANIMATION PROJECT (C)JOKER GAME THE STAGE PROJECT

※山崎雅志の「崎」は「大」の部分が「立」が正式表記

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