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ミュージカル『パッション』 フォスカ役のシルビア・グラブにインタビュー!「ソンドハイムの手ごわさ、実は嫌いじゃありません!」

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ミュージカルとストレートプレイの一番の違いは「自由度」

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――シルビアさんはストレートプレイの作品にも多く参加していらっしゃいますが、両者の一番の違いって何でしょう?

ストレートプレイの方がある意味「自由」なのだと思います。ミュージカルには必ず“音楽”があって、決まった約束の中で役の感情を表したり演技をしなくてはいけない。でもストレートプレイにはその縛りがない分、何でも「自由」に出来る…勿論、戯曲の内容や演出家が示すアウトラインはありますが。

ミュージカルで、“音楽”という縛りにもなり、助けにもなるものがある中ずっと演じていると、「さあ、何でもやっていいよ」のストレートプレイの世界に行った時に、何をどうして良いのか分からなくなっちゃうんです。

――ああ、だからミュージカルの舞台に多く立つ俳優さんがストレートプレイの現場を「怖い」と仰るんですね。

最近一番、そのことを強く意識したのは三谷幸喜さんの舞台『国民の映画』でした。小日向文世さんを始めとするベテランの方たちが本当に自由に現場で“遊んで”いらして、それが羨ましくて仕方なかったです。自分もその中に入って一緒に遊びたいのに、なかなかそこまで自由になれなくて。それ以来、音楽という“縛り”がない中でも自由でいられるようになりたいと、より強く思うようになりました。

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――『国民の映画』は震災直後の初演と、2014年の再演の両方を拝見しましたが、シルビアさん演じるツァラが大きく変わったように思いました。特にフリッツ(小林隆)への思いの残し方が。

ナチスがドイツを支配していた時代の物語と言うことを考えると、初演と再演でどちらの解釈が正しいという事はないと思うんです。ツァラはドイツ人ではなくスウェーデン人という設定ですし。ただ再演の時に三谷さんとお話をして、初演よりフリッツに対して最後まで彼のことを気に掛けるという方向にしていただいた事で、自分の中ではより自然にツァラとしてあの場に立っていられた気がします。

――本当に多くの作品に出演なさっていますが、転機となった舞台や役がありましたら教えて下さい。

それは…『アイ・ガット・マーマン』ですね。最初にやらせていただいたのが2000年だったと思うのですが、エンターテインメント・ショーでありながら、あそこまで“芝居”を追求したのは初めての経験で…。実はそれまで“芝居をする”ということが怖くて仕方がなくて、『アイ・ガット・マーマン』の稽古に入った時に「あれ?このポジション、もしかしてすごく大変かも…」ってあせりました(笑)。

演出の宮本亜門さんにも「ちょっと待って、無理かも」なんて伝えていたんですが、亜門さんは「いや、絶対に出来るから」と言って下さって。この時に亜門さんの演出を受けたことで芝居をする事が楽しくなって、ストレートプレイにも積極的に挑戦しようと思えるようになったんです…稽古中はこてんぱんにやられましたけど(笑)。

――今回のフォスカ役は、かなりご本人と違うチャンネルを使う役柄だと思うのですが、普段はお稽古中の役に私生活が影響される方ですか?それともすぱっと分けられる?

自分ではすぱっと切り替えられるタイプだと思っているんですが、『レベッカ』の初演の時、シングルキャストで3か月公演だったんですね。

――ダンヴァ―ス夫人ですね。

稽古を含めて4か月…だったかな…役柄的に、表情がない人を演じていたので、いつの間にか普段も顔の筋肉が全然動かなくなっちゃって(笑)。家族からは当時良く「ねえ、何か怒ってる?」って聞かれてました(笑)。あの時は声のトーンもすごく低くなっていたり。普段の生活で役を引きずっているつもりはなかったのですが、どうやら違ったみたいです(笑)。そう考えると、今回のフォスカもちょっと危険ですね。本を片手に家の中で人を追い掛けないよう気を付けないと(笑)。

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『エリザベート』ではしたたかな娼館経営者、マダム・ヴォルフを演じ、『レ・ミゼラブル』ではファンテーヌ、『レベッカ』では亡くなった女主人に忠誠を尽くすダンヴァ―ス夫人、『ミス・サイゴン』では夫を支える妻・エレン、更に三谷幸喜作品では『国民の映画』『ショーガール』と、さまざまな作品で全く違う姿を見せるシルビア・グラブ。

華やかな容姿もさることながら、常に前向きに&開いた状態で語る様子に接し、彼女が舞台で光る理由の一つが見えた気がした。

『パッション』のフォスカは決して美しくも明るくもなく、自らの恋をひたすら追い求める病弱な女性。ある意味本人とは対極にあるこの役柄をどう魅せてくれるのか・・・客席でその姿を目撃したいと思う。

ミュージカル『パッション』は、2015年10月16日(金)~11月8日(日)、新国立劇場 中劇場にて上演。

撮影:高橋将志

          
パッション

トニー賞4部門に輝いた“ミスター・ミュージカル”ソンドハイムの傑作、日本初演!

  • 公演:
  • キャスト:井上芳雄、和音美桜、シルビア・グラブ、福井貴一、ほか
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