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2年ぶりの再演に挑む!『SONG WRITERS』中川晃教インタビュー「進化・成長しつつ、“変わらない”ことも魅力」

2013年に初演され、好評を博した日本発のオリジナルミュージカル『SONG WRITERS』(脚本・作詞・音楽プロデュース:森雪之丞/演出:岸谷五朗)が、2015年7月20日(月・祝)から8月9日(日)まで日比谷・シアタークリエで再演決定。
初演に引き続き、メインキャラクターの一人である作曲家:ピーターを演じる中川晃教に単独インタビュー。再演を控えた今の心境や、共演者・スタッフに抱いている特別な想いを語ってもらった。

『SONG WRITERS』中川晃教

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――本作で中川さんが演じる役柄について教えてください。

僕が演じるのはピーター・フォックスという気弱な作曲家です。
この作品は、数々の名作ミュージカルを生んだブロードウェイで、若手作曲家のピーターと作詞家のエディがオリジナルの新作ミュージカルを作ろうと奮闘する物語。
二人は幼なじみだけど正反対で、エディは自信過剰だけど太陽のようなキャラで周囲の人を引き寄せるタイプ。気が付いたら人間も動物も寄って来ちゃう(笑)。そんな彼が親友だから、ピーターはより気弱に見えてしまうんです。明るいエディをいつも「いいなぁ」って見ていて、ジメジメ~っとひねくれているのがピーター。
再演ではそういう二人の対比を大切に演じられたらと。


――再演で新たにチャレンジしたいことはありますか?

前回、お客様に評価していただいたからこその再演。初演を観てくれた方に「良かった」と思ってもらえた部分は、再演でも変えずに見せるべきだと思います。そういう意味で言えば「変わらないこと」も魅力なのかな。
僕は《今日の我に明日は勝つ》という美空ひばりさんの言葉を座右の銘にしています。以前は「再演では初演よりも進化させたい」と思って挑んできましたが、僕自身、何作かで再演を経験するうちに考え方が変わってきた。
役を深める作業以外にも、「初演でお客様に何をどう喜んでもらえたのか」「どこをもう一度見たいと思ってもらえたのか」を考えたいなと。きっとカンパニー全員で生み出したものの中に答えがあるはずなので、稽古では自分ひとりの世界に入り込むだけじゃなく、全体を俯瞰で見る時間を作れればと思います。

『SONG WRITERS』中川晃教

――岸谷五朗さんはどんな演出家ですか?

舞台を知り尽くしていますね。ジャンルや国を問わず、自分以外のいろんな演出家を常に意識しつつも、オリジナリティやプライドを持って貪欲に舞台を作っている。
舞台ってお客さんに媚びたらダメなんですよね。
でも、喜ばせられないと評価されない。必ず勝たなきゃいけないから、そのための策も具体的じゃないといけない。
一方で(岸谷)五朗さんは、「観客を裏切らず、自分に傲慢にならず、稽古場で奮闘し続ければ絶対に成功する」っていう希望みたいなものを役者に抱かせてくれる。各自が作品のピースのひとつになるってだけじゃなく、もっと本質的なこと――どうすればエンターテインメントとしてもっと面白くなって、観客に喜んでもらえる作品を作れるか――を、役者自身にも問いかけてくれるというか。
そうして最後は「信じていいんだ」と思わせてくれる。演出家としても人間としても大好きです。


――初演の稽古で一番印象に残っているのは?

僕からすると、五朗さん作・演出の芝居(地球ゴージャスプロデュース公演Vol.11『X day』)に呼んでもらったのが先だったので、五朗さんが演出だけをするっていうのが最初はちょっと不思議な感じだったんです。
稽古場では、演出の五朗さんが(脚本の森)雪之丞さんに「僕はこうした方がいいと思う」とヴィジョンをはっきり伝えて、二人がその場でセッションし始めるんですよ。それが刺激的でした。

五朗さんは演出家で・脚本家で・役者でもある。舞台やエンターテインメントが大好きっていう情熱が見えるから、何をやっても説得力があるっていうか。
演じる側としてはそんな人をどうすれば納得させられるのか、稽古場でコミュニケーションしながら、「新作をつくる」っていう熱い思いで各自やるべきことをやっていきました。
そうしたらいつの間にか、最適の味付けでバランスのいい盛り付けの「料理」がステージに乗っかってたっていう(笑)。初演はそんな感じでしたね。

――稽古場には「お弁当」をいつも持参するそうですが、どんなお弁当なんですか?

定番メニューはサラダとごはんとお肉とか。
あと、生姜が好きなんですよ。免疫力アップや殺菌作用があってノドにもいいし。だから、生姜でお肉を炒めたのとかが多いです。
稽古場ってたくさんの人が出入りしていますよね。風邪とかひかないためにも、そういうものを食べて体のケアをしつつ乗り切っています。

★お忙しい最中、作品や共演者について楽しく深く語っていただきました。次のページでは中川さんの屋良さんに対する思いに話がおよびます。

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『SONG WRITERS』中川晃教

――ロジャース&ハマースタインに代表されるように、ミュージカルの作詞家と作曲家の関係は非常に密接なもの。ピーターにとってエディはどんな存在でしょうか?

二人は「幼なじみ」っていう前提があって、まるで兄弟みたいな関係。でも、ひとたび音楽や脚本(歌詞)のこととなるとそれぞれの全く違う世界とカラーがスパークするんです。
劇中で、子供の頃ピーターが弾いた曲にエディが即興でテキトーな歌詞をつけたことに感動して「俺たちは絶対ミュージカルを作るんだ!」と心に決めた、っていう想い出を語るシーンがあるんです。他人から見たらどーでもいいようなきっかけかもしれない。だけど子供ならではの純粋さとか勢いとか、二人にはそういうものがあった。

僕と(エディを演じる)屋良っち(屋良朝幸)は幼なじみじゃないけど、最初に会った時からそうなれたんだよね。お互いに深く知る前から感じあえる何かがあって、今は認め合っている。
僕にとって屋良っちとの出会いは宝物だけど、ピーターにとってのエディもそうなんだと思う。「この人がいなかったら今の自分もない」と思える存在で、理屈抜きで「何があってもお前だけは裏切らないよ」っていう相手。その人に対してはウソがつけなくて真面目にぶつかっていくしかない。そんなピーターはエディからすればちょっとウザいんだろうけど(笑)。


――今では、中川さんにとっての屋良さんも「密接な関係のパートナー」?

そーなんだよねぇ、怖いことにねぇ(笑)。
よく、共演者と付き合うとか結婚するとかあるけど、「ああいうのってどーなの?」「否定はしないけど、自分の中ではないな」って冷めて見てた。でも、屋良っちとは・・・「あるかも」って(笑)。
自分だけがそう感じてるならまだよかったんだけど、どうやら彼も・・・?みたいな。そう感じた時、この出会いによりいっそう感謝しましたね。
ある意味、エディって屋良っちそのものなんじゃないかと。
ものすごく頑張ってきて、(本人はそう思ってないかもしれないけど)してきて、その中で頭角を現してきた。周りから求められたことに応える能力がありながら「俺は俺だ」っていう頑固さもある。
ピーターとエディ、僕と屋良っちが一つだけ違うのは「幼なじみではない」ってことだけかも!? 

『SONG WRITERS』中川晃教

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――この作品を一言で表すと?

「楽しい!」、それと「こういうの、日本のエンタメ界にキターーー!」って感じ。
ブロードウェイやウィーン、韓国など、各国のミュージカルにはいろんなカラーがありますが、日本のミュージカルには、日本人の技術力とか精密さとか、日本人ならではのクリエイティブなクオリティがあると思うんです。
『SONG WRITERS』は雪之丞さんがNYでパッと思いついて脚本を書き始めて、長年の信頼関係にあった五朗さんに声をかけて生まれたもの。僕は、何年か前に地球ゴージャスに呼んでもらった五朗さんから「アッキーにぴったりな役があるんだけど・・・。この二人がやれば絶対にいいと思うんだよね」っていわれて。「その“二人”って誰なんだろう?」と思ってたら、それがジャニーズの屋良くんで。
僕にとっては、そういう《出会い》《奇跡》、それに《Miracle of Love》(注:中川さんの曲タイトル)みたいな「縁」を感じる作品です。

・・・・・・全然「一言」じゃないって!!


――最後に、今回の再演を楽しみにされている方、まだ本作を見たことのない方、そして中川さんのファンの皆さんに向けてメッセージをお願いします。

まず、初演を観に来てくれた方には・・・「期待は裏切りません!」
2年前の千穐楽では、エディとピーターをはじめ、キャストみんなが再会を誓って別れました。
再演によって「あの日」に逆戻りする感覚を味わえるのか、2年という時間が僕たちや皆さんにどう影響してくるのかわかりませんが、再会できる喜びを大切にしたいと思います。再演初日の幕が開いた瞬間に揃っているみんなの顔を楽しみにしてほしいです。
初めて観に来て下さる方には・・・
ミュージカルって他の「演劇」「芝居」とはまた違う良さがあると思うんです。『SONG WRITERS』は、歌もダンスも物語の構造も含めてミュージカルの良さを存分に味わっていただける作品。
物語にはちょっとミステリー的な部分もあって、今までのミュージカルとは全然違うものになっているので、初めての方も観やすい作品だと思います。

そして、ファンの方に伝えたいのは・・・
僕がやりつづけている歌や音楽は、ミュージカルと似ていると思われるかもしれないけど、実は僕の中では全然違うことをやっている気持ち。だからこそ舞台を続けられているんだと思うし、自分が舞台で何を求められているのか・どこに向かっているのかが明確になってきたように思います。
本作で演じるピーターは作曲家で、ずっと音楽をやってきた自分と重なる部分が多い。
初主演の舞台(『モーツァルト!』)で演じたのも音楽家でした。ミュージカルの世界へ踏み出せたのは音楽家の役だったからかも。自分とかけ離れた役柄だったら演じられなかったかもしれません。
そういう意味では、今回のピーターもすごく身近に感じられる役です。これまで他の作品も観てくれているファンの方々にはホッとしてもらえる部分もあると同時に、ミュージカルの世界で僕が何を目指そうとしているのかも感じてもらえるんじゃないかな。
『SONG WRITERS』では、カンパニー全員が歌や踊りやパフォーマンスで作品を成功へ導いていこうとしています。進化・成長すると同時に“変わらない”中川晃教も観に来てほしいですね。

『SONG WRITERS』中川晃教

<中川晃教 プロフィール>
1982年11月5日、宮城県生まれ。2001年8月「I Will Get Your Kiss」でCDデビュー。翌年ミュージカル『モーツァルト!』で主役を務め、第57回文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞、第10回読売演劇大賞優秀男優賞、杉村春子賞など、初舞台ながら数々の賞を受賞。以後、シンガーソングライターとしての活動と並行して、『キャンディード』『エレンディラ』『X day』『銀河英雄伝説』など多数の舞台に出演し、俳優としても活躍している。秋には、『CHESS THE MUSICAL』に出演予定。『SONG WRITERS』では、ちょっと気弱な作曲家、ピーター・フォックスを演じる。

<SONG WRITERS あらすじ>
「世界が驚愕するミュージカルを創りたい」と願う、自信過剰な作詞家:エディと気弱な作曲家:ピーター。そんな二人の“ソング・ライターズ”を後押しする音楽ディレクターのニックや、聴く者全てを魅了する歌姫:マリーの登場により、彼らの夢が実現に向けて大きく前進。しかしエディが作品づくりに没頭するうち、なぜか虚構と現実の境が曖昧に。エディの頭の中のフィクションであるはずの物語が次第にコントロールできなくなり、人々はストーリーの中に飲み込まれていく――。

<SONG WRITERS 公演情報>
2015年7月20日(月)~8月9日(日) 日比谷シアタークリエ
2015年8月15日(土)~8月16日(日) 京都劇場

ヘアメイク:井上 京子
スタイリスト:Kazu(WORLD STYLING)

(文/平口雅世)

SONG WRITERS

作品情報SONG WRITERS

この世に100の悲しみがあっても101個目の幸せを書き足せばいい

  • 公演:
  • キャスト:屋良朝幸、中川晃教、島袋寛子、 泉見洋平、 藤林美沙、植原卓也、平野良、 コング桑田、武田真治、ほか

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