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インタビュー

鼓童『打男 DADAN 2015』船橋裕一郎×坂本雅幸インタビュー「今までの太鼓とは違う伝統と芸術の融合を楽しんでほしい」

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太鼓を中心とした伝統的な音楽芸能に無限の可能性を見いだし、現代への再創造を試みる集団、「鼓童」。30周年を経た2012年からは芸術監督として坂東玉三郎を迎え、さらなる芸の高みを目指し国内外各地で公演を重ねている。『打男 DADAN 2015』の東京公演に向けて、メンバーの船橋裕一郎と坂本雅幸に話を聞いた。

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関連記事:これまでの『鼓童』の公演情報、こちらでご確認ください!国内外で人気なんです。

――太鼓の場合、公演前の稽古は、どんな流れで進むのでしょうか?

坂本:入ったばかりの時はやはり体力をつけることがとても大事で、稽古に入る前には走ったりもします。曲をしっかりやるっていうよりは2時間ひたすら叩く!とか…。そういう体の鍛錬を経てちゃんと音が出るようになってきたら、舞台用に進めていくといった感じですね。

船橋:そうですね、まず基本的な音やリズムの基礎練習をやり続けて、その上で舞台でどういう音を出したいかっていう事をみんなで話し合うんです。演出家の要望を聞けるところまでまず全員でもっていくという感じかな。揃ってやる時はそんな風に進めて、それ以外の時間で各々の課題に取り組んでいます。

――お二人とも本当に素晴らしいお体ですもんね! 相当鍛えていらっしゃるのでは?

坂本:初めは筋トレもすごく大切ですが、年月を重ねていくと、体力の持続は日々の鍛練だと感じるようになりました。体も稽古あるのみなんです。

船橋:そう、打つこと叩くことが一番の体力づくりなんですよ。それでつける筋力が一番理にかなってるというか。目に見える筋肉だけをつけていくと、逆に動きにくくなったりするので、動きのための筋力が僕たちにとっては理想。そのために叩きつづけた結果、気づいたら普通の服が入らなくなっているっていう…。(坂本さんの筋肉を指さしながら)この胸筋だともう今時の服では入るのはないでしょ!(笑) 

――たしかに!(笑)  動きのための筋力は結構時間がかかるものなんですね。

船橋:そうなんです。色んな態勢や動きがある中でも、やっぱり体の軸一つがしっかりしてくるのには時間がかかるんです。でも、それがすごく音にも出て、長く続けた分だけ仲間とも自然と音の深みが合ってくる。それは、年齢の異なるメンバーが一緒にやっている喜びでもありますね。

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――体力作りからステップを踏んで、みなさんの足並みを揃えていくんですね?

船橋:そうですね、鼓童は20歳から40代までの幅広いキャリア層のメンバーでやっているので、その中で同じ音を届けていかなきゃいけない。なので、そういう部分の稽古は丹念にしっかりやっていきます。ツアー中でも、頼れる坂本が中心となって進めてくれてます!

――課題はみなさんでお互いに出し合ったりするんですか?

坂本:それもあります。手先だけで出来ることじゃないので、細かいところで言ったら、腰の低さや体の角度、どうやったら効率よく体を動かしていけるのかっていうところからですね。力を入れ過ぎてもいい音が出るわけではないので、そういう意味での体の使い方からしっかり整えていきます。

船橋:自分たちで確認し合うのと演出家が見るのと両面ありますので、そこをすり合わせて完成に持っていくんですね。あとはやっぱり、お客さんの反応を見て少しずつ変えて行ったり。僕たちの場合は、ツアーを経て練り込んでいくのでお客さんの感じ方はとても大事なんです。日々変わっていきますよ。

――演出と言えば、坂東玉三郎さんの演出を受けられていますが、ご一緒されていてどうですか?

船橋:玉三郎さんが鼓童に携わって下さるようになったのが2000年からなので、もう15年になるんですね。演出もして下さっているんですが、昨日までやっていたのは共演で、玉三郎さんも出演されていたんです。人間国宝にもなっていらっしゃる方なので、そういった方と共演するというのは非常に緊張感もありますね。

――15年! もうだいぶ長いお付き合いなんですね。やはり演出と共演は違いますか?

船橋:玉三郎さんは、ひとつの音に対するこだわりや細かい流れをものすごく見て下さっている方で、アドバイスや提案を日々下さいます。良い舞台を創りだすためだけに生きていらっしゃるんじゃないかと思うほどです(笑)。共演となるとまた違った感覚にはなりますね。楽しみでもあり緊張でもあり、何よりそういった時間と空間を共有できるということがすごく貴重なことだと思っています。

坂本:歌舞伎の世界でやってこられた方なので、太鼓だけをやってきた僕たちにとっては信じられないようなアイデアや感性で色を付けて下さるんですね。みんな太鼓の世界しか知らないので、毎公演、初めは驚きと「自分たちにできるかな」っていう不安があるんですけど、実際やってみたらお客さんもすごく感激して下さって…。僕たちには知りえない感覚ですね。

――なるほど! より芸術的といった感じなんでしょうか?

坂本:そうですね。僕らは芸術的な演出というよりかは、どちらかというと伝統芸能であるっていうことに重きをおいてきたんですけど、玉三郎さんの演出や提案は斬新でありながら、やってみるとすごく伝統の本質的な部分をついてくるものだったりするんですね。動きの一つ一つで改めて芸能の奥深さに気付かされるというか。そこが一番の驚きでした。

船橋:自分たちの気持ちだけではなく、お客さんの感じ方をすごく大切にされます。ひとりよがりにならない、自分たちだけにならない、一緒に盛り上がることが大切だってことを毎回の公演で教わりますね。太鼓叩いてるとつい気持ちよくなってね、突っ走っちゃいがちなんですけど(笑)

坂本:そうなんですよ!(笑)。僕も“音”っていうものが自分に向かって出すものではなく、お客さんに委ねられるものっていうことを初めて教わりましたね。

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――伝統と芸術の融合なんですね。鼓童さんは海外公演もやられていますが、やっぱり反応は違いますか?

船橋:海外の方は、しっかり観て聴くといった感じですね。終わった瞬間にその喜びを一気に発されているように感じます。日本は曲の間に盛り上がってくると拍手があがってきたりします。そういった違いがありますね。僕たち日本人にとっては太鼓の音ってやっていなくても馴染みがあるじゃないですか? 海外の人は「これから一体何をやるんだろう」「この動きって何だろう」っていう未知への関心が大きいみたいで。

――なるほど! 今回の公演は『打男』ということですが、ズバリ、見どころ・聴きどころ・感じどころを教えて下さい!

船橋:読んで字のごとく、打つ男! とにかく打つことにこだわっています。メロディーや和音に合わせるのではなく、打楽器だけでメロディアスな部分や響き合いをどこまで表現できるのかというところに挑戦している舞台です。再演ではありますが、初演から回を重ねる毎に、色がどんどん変わってきているので、初めての方も観たことある方も楽しんでいただけると思います!

坂本:“打つ”という事に特化した公演ではありますが、玉三郎さんが演出して下さっているので、芸術性も兼ねているというか、今までの太鼓とは一味違う世界を感じてもらえると思います! ただ打っているだけではない何かが見えてきます。伝統と芸術の世界を90分たっぷり楽しんで下さい。


鼓童『打男 DADAN 2015』
演出:鼓童芸術監督 坂東玉三郎

<公演日程>
6月10日(水)~6月15日(月) 東京・浅草公会堂

<プロフィール>
鼓童(こどう)

太鼓を中心とした伝統的な音楽芸能に無限の可能性を見いだし、現代への再創造を試みる集団。1981年、ベルリン芸術祭でデビュー。以来、公演は国内外で5500回以上を数える。特に中心的な『ワン・アース・ツアー』は様々な文化や生き方が響き合う「ひとつの地球」をテーマに、これまで47カ国で上演。ほかにも、小中高校生対象の交流学校公演や多ジャンルのアーティストとの共演、世界の主要芸術・音楽祭への参加など幅広く活動している。

船橋裕一郎(ふなばし ゆういちろう)
1974年5月9日生まれ。神奈川県出身。 考古学を専攻していた学生時代に太鼓に出会う。1998年に研修所入所。 2001年よりメンバーとして舞台に参加。太鼓、鳴り物、唄などを担当、数多 くの演目を表情豊かに表現。2012年4月 より鼓童の副代表として代表を補佐 し、舞台を支えている。

坂本雅幸(さかもと まさゆき)
1984年8月1日生まれ。岡山県久米町出身。2003年研修所に入所、2006年よりメンバー。主に太鼓を担当、ソロやセンターを務める。国内外での公演はもとより、様々なジャンルのアーティストとの共演・外部演出作品などに数多く出演。力強さと繊細さを兼ね備え、アンサンブルの要として舞台をリードする。

☆こちらの公演もお見逃しなく!
坂東玉三郎芸術監督第3回演出作品
『鼓童ワン・アース・ツアー2015~永遠』
6~7月、9~10月全国ツアー開催
http://www.kodo.or.jp/news/20150606oet_ja.html

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(文/杉田美粋)

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