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舞台『十二夜』橋本さとしにインタビュー!<2>『「役者が歌う歌だね」と言われるのが僕にとっての褒め言葉」

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(前編はこちらから)

──本日(取材当日)ちょうど「読売演劇大賞」優秀男優賞受賞が発表されましたよね。

ほんま、光栄ですねえ。僕は生まれてこの方、賞というものをもらったことがないんですよ。だから初めてトロフィーとかの形になって「おめでとう」と言ってもらえるのが楽しみです。(所属)事務所の棚に、劇団(☆新感線)の先輩だった古田新太さんとかのトロフィーが並んでるんですけど、そこに僕のトロフィーも置かれるんだなあと(笑)。

──でも橋本さんにせよ古田さんにせよ、あるいは主宰のいのうえひでのりさんにせよ、新感線の劇団員が賞レースに絡むって、ほんの10数年前には思いもしなかったです。

ですよねえ。僕ら賞とは一番無縁な劇団でしたから(笑)。まっとうな演劇という概念から、一番遠いとされているところもあったのに、長いことやってると面白いもんだなあと思います。

『十二夜』橋本さとし

──でも新感線からキャリアを始められて、よかったと思うことはありますか?

ありますね。新感線はミュージカルをいち早く小劇場に取り入れたけど、意外とパロディでしかやったことがなかったんです。王道じゃなくて、僕らなりのミュージカル愛を、僕らなりに表現するという。そういう所で、今まで日本のミュージカルが超えられなかった部分で超えられた所があるんかな? と思いますし、そうあるべきやなと思います。たとえば、高い音の音符を見ても歌えないんですけど、歌じゃなくて叫びだと思ったら音が出たりするわけです。ロック魂ですよ、それは(笑)。そこからミュージカルに切り込んでいく役者が一人でもいたら、面白いんじゃないかって。

──ケアードさんもその辺りを面白がって、橋本さんをよくキャスティングするんですかね?

あ、かもしれないです。『レ・ミゼラブル』に「彼を帰して」ってバラードがあって、他の人はキレイな声で子守唄のように歌うんですけど、ジョンは僕に「これはロックだ」って言ってきたんですよ。「これは神にお願いする歌ではない。神と対峙して、神に命令する歌なんだ」って。

──ヘヴィメタルの世界じゃないですか!

「そこか!」って思いましたよ。だからジョンは、僕をジャン・バルジャンに選んだのかなあって。新しい、今までとはまた違うものをそこで産ませていただいた。そういうジョンとまた一緒にできるということで、新しいマルヴォーリオが誕生すればいいですね。

『十二夜』橋本さとし

──他にも日本のミュージカルを面白くするために、意識してることはありますか?

演技っていうものを、もっともっと前面に押し出した歌い方をしたいですね。昔ロンドンで『ジーザス・クライスト・スーパースター』を観た時に、すっごい肉食系の歌いっぷりに圧倒されて「日本人はやっぱりミュージカルやったらあかん」と、その時は思ったんです。でも自分がミュージカルやらせてもらうようになってから、逆に「いやいや。あれとは違う、日本の文化の中でのミュージカルの表現の仕方、もっとあるぞ」と思わせてもらえた所もあって。それで思ったのが「歌います!」って感じで歌うんじゃなくて、できるだけ台詞と歌の間をなくす…ちゃんと感情に乗せることで、極力“歌”っていう所を壊していきたいということです。

──確かに橋本さんは「歌を聴かせるために演技する」って感じがないですよね。

以前「歌手が歌う歌じゃなくて、役者が歌う歌だね」という風に言われたことがあるんです。「歌が上手いね」って褒められたことはないんですけど(笑)、でもそれは僕が一番目指している所でもあるし、そう言われるのが僕にとっての褒め言葉。日本って歌舞伎の伝統の流れがあるから、やっぱり役者がバーン! と決める、歌は歌で決めるという、決めの美意識がすごく高いんですよね。それをもうちょっとリアリズムの中で、日常的な動きの中で、歌が乗っかっていくようなものに近づけているつもり。これは僕がずっとテーマとして追いかけていく所だと思いますし、その意識だけは誰にも負けないつもりでいます。

『十二夜』橋本さとし

──今年はついに、40代最後の歳ですね。

あ、ホンマですね。50代、見えましたね。気持ちはまだ17歳のままなんですけど(笑)、さすがに体の方が先に悲鳴を上げて「何だこのギャップは?」と感じるお年頃になりました。でも役者に定年はないし、その歳その歳が旬ですから、50代に入ったら50代でしかできない役にめぐり合えると思います。実際若い頃は、あまりファミリー的じゃない役柄が多かったのに、こうして(『アダムス・ファミリー』の)家族を愛する家長の役で、演劇賞で評価されるような所に来たんだなあと思うと、感慨深いですね。

──とはいえ、40代最後というのはあまり意識せずに行きたいですか?

そうですね。意識はしたくないんですけど…でもするとしたら、ちょうど(次の舞台の)『シャーロック ホームズ2』の初日が誕生日なんですよ。40代ラストスパートの年の始めを、舞台上で迎えられるというね。まずは『十二夜』と『シャーロック…』を大事に演じて、そして来年50代になった時に「40代でこれだけの物を残したな」と、自分の中で思えるような年にしたいです。


『十二夜』
<あらすじ>
双子の兄妹セバスチャンとヴァイオラが乗った船が見知らぬ街イリリアの沖で遭難する。妹ヴァイオラは見知らぬ岸にたどり着いたものの、兄は溺れたと信じて絶望する。護身のため、兄の服に身を包んだヴァイオラは、シザーリオと名乗ってオーシーノ公爵の小姓として仕える。
そのオーシーノは、伯爵家の若きオリヴィアに恋をしている。身内の喪中を理由に彼を拒み続けるオリヴィア。自分の想いを伝えてもらおうと、オーシーノはシザーリオ(=ヴァイオラ)を使いにやる。オーシーノに恋心を抱きはじめていたヴァイオラは切ない気持ちを抱えつつオリヴィアの元へ向かうが、なんとオリヴィアはシザーリオを本当の男性だと信じて恋に落ちてしまう。

その一方、ヴァイオラの双子の兄セバスチャンも奇跡的に助かっていた。彼は妹と同様にイリリアの街に着き、そこで偶然にもオリヴィアと出会い…。
加えてオリヴィアに密かに恋する執事マルヴォーリオに仕掛けられたささいな悪戯をきっかけに、物語はさらに混乱していく。

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<出演> 音月桂、小西遼生中嶋朋子、橋本さとし ほか

<スケジュール>
【東京公演】2015年3月8日(日)~3月30日(月)日生劇場
【大分公演】2015年4月7日(火)iichiko総合文化センター iichikoグランシアタ
【大阪公演】2015年4月10日(金)~12日(日)梅田芸術劇場メインホール

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(文/吉永美和子)

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