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舞台『十二夜』橋本さとしにインタビュー!<1>「隠れた主役はマルヴォーリオだと言われた」

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『アダムス・ファミリー』の家長・ゴメス役で「第22回読売演劇大賞」優秀男優賞を受賞したばかりの橋本さとし劇団☆新感線時代はやんちゃな印象が強かった橋本だが、今では芸の幅を大きく広げ、特にミュージカル界ではなくてはならない俳優の一人となっている。次回出演作『十二夜』は、かつて彼をレ・ミゼラブルのジャン・バルジャン役に大抜擢したジョン・ケアードが演出するシェイクスピア作品。その役作りの狙いや、40代ラストイヤーとなる2015年への意気込みなどをたっぷり伺ってきた。前後編でお楽しみください。

『十二夜』橋本さとし

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──マルヴォーリオは、『十二夜』では敵役というか、遊ばれてるポジションですよね。

ほんま、イジメですよ(笑)。オリヴィアの家の執事で、高慢ちきで人に対する優しさが欠落している男で。そんな奴が周りに遊ばれることで、観てる人は痛快になって笑いが起こる…という役柄です。でも(演出の)ジョン・ケアードからは、『十二夜』は4人の恋人たちの関係が主軸だけど、隠れた主役はマルヴォーリオだと言われました。

──さらにケアードさんはこの役を「難しい役だ」とおっしゃってましたが。

ハードル上げるなあ(笑)。ジョンはこういうシニカルで手強いキャラクターが大好きで、マルヴォーリオにも思い入れがあるみたいで。そういう役に僕をあてがってくれたのは、光栄な話です。

──宣伝写真の撮影の時に、すでにリクエストがいろいろ出たそうで。

「愛されるべき存在じゃないけど、でも最終的には愛されてくれ」ということと、あと「サトシは関西人だから」とも言われました。ジョンは外国人なのに、関西は笑いの文化が根付いていて、すごく笑いをリスペクトしてるってことを知ってるんですよ。なんでそんな情報知ってはるんやろう?(笑)だからやっぱり「コミカルな部分をすごく背負ってほしい」みたいな感じのことを言ってました。でも僕はそれを逆手に取って、今回は笑いを一切取らない目標で行こうかなあと思ってるんです。

『十二夜』橋本さとし

──というのは?

すでに脚本を何回も読んでるんですけど、笑いどころがわからないんですよ。それって結局、マルヴォーリオ視点で見ると笑えない話なんです。結構すごい辱(はずかし)めを受けるから、彼は喜劇の世界の中で一人悲劇を背負っていると、僕は解釈しています。本人は大真面目にオリヴィアに愛されてると思っているのを、周りが「ボケ!」と突っ込んでるという絵(笑)。要はマルヴォーリオは大真面目に、知らず知らずのうちにボケてるわけなんですね。もしそこでわざとらしく「ボケますよ~」みたいにやると、ツッコミが生きてこない。だから僕がすべての状況を信じこんで、妄想に走れば、どんなにひどいシーンでも笑えるんじゃないかと思います。

──ツッコミがいのあるキャラになるという。

ですね。そこから出発した方が、いい所に着地するんじゃないかなあ。さっきお笑い芸人の兵動(大樹)さんとも「笑いと恐怖、悲劇と喜劇は背中合わせだねえ」という話をしてたんですよ。怖い体験をした時に、怖すぎて逆に笑ってしまうとかって、あるじゃないですか? それが何か、シェイクスピアの究極の場所じゃないかなという気もします。

──お客さんからも「それちゃうやろ!」ってツッコミ入りそうですね。

でもそういう風に、お客さんに反応してもらえるようにできたらなあと思うんです。日本ではシェイクスピアって、どうしても敷居の高いイメージがあるけど、イギリスではみんながリラックスして楽しんで観るものらしいんですよ。それを日本でも体現していきたいし、お客さんにもツッコミ入れられるようなマルヴォーリオになれたらと思います。あと意外とみんな、嫌な人が不幸になっていくのを見るのが好きでしょう?(笑)単純に、マルヴォーリオの不幸を笑っていただけるようにできればいいですね。

──今回はミュージカルではなく、ストレートプレイに近い音楽劇のようですが。

僕は全然歌わないし、歌うのはフェステ(成河)ぐらいじゃないかな。でもジョンは稽古しながら、いろいろアイディアを出してくるので、急に曲を持ってきて「これをここで歌って」なんていうのもありえるんです。また周りに「ちょっと曲書いて」って言ったら、パッと作ってくるブレーンの方もいるから(笑)、いろんなものが飛び出してくるんですよ、マジックのように。遊びからどんどん発想を膨らませていく方だから、僕らも肩肘張らずに作っていけるんじゃないかと思います。

『十二夜』橋本さとし

(後編に続く)


『十二夜』
<あらすじ>
双子の兄妹セバスチャンとヴァイオラが乗った船が見知らぬ街イリリアの沖で遭難する。妹ヴァイオラは見知らぬ岸にたどり着いたものの、兄は溺れたと信じて絶望する。護身のため、兄の服に身を包んだヴァイオラは、シザーリオと名乗ってオーシーノ公爵の小姓として仕える。
そのオーシーノは、伯爵家の若きオリヴィアに恋をしている。身内の喪中を理由に彼を拒み続けるオリヴィア。自分の想いを伝えてもらおうと、オーシーノはシザーリオ(=ヴァイオラ)を使いにやる。オーシーノに恋心を抱きはじめていたヴァイオラは切ない気持ちを抱えつつオリヴィアの元へ向かうが、なんとオリヴィアはシザーリオを本当の男性だと信じて恋に落ちてしまう。

その一方、ヴァイオラの双子の兄セバスチャンも奇跡的に助かっていた。彼は妹と同様にイリリアの街に着き、そこで偶然にもオリヴィアと出会い…。
加えてオリヴィアに密かに恋する執事マルヴォーリオに仕掛けられたささいな悪戯をきっかけに、物語はさらに混乱していく。

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<出演> 音月桂、小西遼生中嶋朋子、橋本さとし ほか

<スケジュール>
【東京公演】2015年3月8日(日)~3月30日(月)日生劇場
【大分公演】2015年4月7日(火)iichiko総合文化センター iichikoグランシアタ
【大阪公演】2015年4月10日(金)~12日(日)梅田芸術劇場メインホール

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(文/吉永美和子)

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