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小林一茶 (2015年)

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小林一茶

“容疑者、その男の名は小林一茶―”迷句珍句の言葉遊びに、江戸の名俳人の半生が浮かび上がる秀逸評伝劇

江戸の三大俳諧師の一人と称される夏目成美こと、蔵前札差井筒屋八郎右衛門の寮から四百八十両の大金が盗まれた。容疑者は食い詰め者の俳諧師・小林一茶。蔵前札差会所見廻同心見習いの五十嵐俊介は、お吟味芝居を仕立て、自身が一茶を演じながら彼をよく知る元鳥越町の住人たちの証言をつなぎ合わせていく。そこに浮かび上がってきたのは、俳諧を究めようともがき、一人の女性を命懸けで奪い合った一茶と宿敵・竹里の壮絶な生き様と事件の真相だった―。

「この戯曲に登場する人物はすべて実在し、この戯曲の扱う事件はなにによらず史実である。(中略)この事件を経てこそはじめて一茶は一茶になったのだと作者は確信する」と、この戯曲の作者である井上ひさしは言葉を残している。江戸を代表する俳人・小林一茶とは、一体どんな人物だったのか。本作は観客をも巻き込む推理劇の要素を持ち合わせながら、その半生を辿る秀逸評伝劇である。

物語は、“お吟味芝居”という劇中劇の様相を呈す。劇中劇の中で小林一茶を演じるのは、映画・ドラマ・舞台と幅広く活躍し、2014年に第69回文化庁芸術祭賞 新人賞を受賞した和田正人。一茶と同心見習五十嵐を演じ分ける姿は、とてもエネルギーに満ち溢れていた。竹里を演じる石井一孝はミュージカルでの活躍が印象深いが、ストレートプレイでも評価が高い。一茶の生涯に渡る好敵手として人間味溢れる男の生き様を熱演していた。男たちの奇妙な友情、一筋縄ではいかない男女の機微、抑圧される人々の中に渦巻く悲しみ、憤り…。井上戯曲ならではの日本語の波に乗って、江戸の時代を生きた人々の姿が浮かび上がる。果たして、一茶は犯人なのか。飛び交う五七五のリズムが、昂揚感を呼び起こす。迷句珍句の言葉遊びに続くドンデン返しに、目も耳も大いに楽しませてもらった。

小林一茶 詳細情報

主催
  • こまつ座
公演
劇場
  • 紀伊國屋ホール
キャスト
スタッフ

『小林一茶』公式ホームページ

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