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むかしむかしゾウがきた (2014年)

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むかしむかしゾウがきた

ゾウの九郎衛門に大人も刺さる!

物語の舞台は戦国。唐の国(中国)から友愛の印にと一頭のゾウが贈られる。「よく食らう衛門=九郎衛門(くろうえもん)」と名付けられたそのゾウは、ほら貝吹きの太郎衛門と妻であるおゆき、息子の太郎坊の家で大切に育てられ、町の人々の人気者になるのだが、戦が起こり土地を治める殿様から「ゾウを殺せ」と命令が下ってしまう。可愛がっている九郎衛門を殺せる筈もない太郎衛門は、自らが戦に出る間、九郎衛門を連れ、北の村で隠れて暮らすようおゆきと太郎坊を説得。何とか目的地に向かおうとする二人と一頭だったが、吹雪の中で力尽き倒れてしまい…。

本作の大きな見どころの一つがゾウの“九郎衛門”のリアルな佇まい。鼻や耳が自在に動き、時に涙さえ流す姿は非常に愛らしく、俳優が人力で動かしているとは思えないほど自然な様子は無条件に観客を惹きつける。更にファミリーミュージカル=子ども向け作品というイメージを覆すステージングも秀逸だ。おゆきと太郎坊、九郎衛門が旅をする場面では文楽の手法が使われ、九郎衛門が見る夢のシーンではインド舞踊や京劇風の振付が取り入れられるなど見応えは十分。

政治家(殿様)の独善的な態度、もめ事を起こさないよう周囲に同調する村人たちと、自らの正義に忠実であろうとする別の人々…この辺りの描写は現代にも通ずるものがあり、大人たちは子供たちの前でその現実を突きつけられてドキっとするのである。

物語の語り手でもあるひろめ屋(飯村和也)は華のあるルックスと深く響く声で場をけん引し、新作ミュージカル『アラジン』でアラジン役の出演候補者にもなっている島村幸大は純真な太郎坊を自然に演じている。菊池正、中野今日子、鈴木周、青山祐二らストレートプレイ、ミュージカルの両方で活躍するベテラン勢がしっかりと作品の土台を支えている姿も頼もしい。※キャストは筆者観劇時のもの。

音楽や物語の構成は勿論、舞台装置、照明、衣装の一つ一つに至るまで、一切手を抜かず、“小さな観客たち”に一流の作品を提供している点に劇団四季の底力と、未来を託す人材への思いを感じた。そしてその姿勢と、明るく楽しいだけではない、少しビターな物語の展開と九郎衛門のピュアな瞳にむしろ大人たちが心打たれ、涙するのである。。

むかしむかしゾウがきた 詳細情報

主催
  • 劇団四季
公演
劇場
  • 自由劇場
  • ほか

『むかしむかしゾウがきた』公式ホームページ

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