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ジュリエット通り (2014年)

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Sorry, no image.

何一つ確かなものがない…現代人の抱える『存在の不確かさ』を観る者の心に投げかける、歪んだ日常の群像劇

住宅街の一角にひっそりと佇む高級娼館“枯淡館”。娼館と向かいの住宅街の間には、“ジュリエット通り”と呼ばれる通りがある。かつてその通りを挟んで恋する男のもとに通い続けた若い娼婦がいたことから、そう呼ばれ始めたという。娼館の向かいには、この一帯の地主で資産家・田崎昭一郎の邸宅がある。田崎家には昭一郎と枯淡館の娼婦だった後妻のスズと、前妻との息子太一が暮らしている。太一は享楽的に生きる父に嫌悪感を抱き、自らの道を切りひらこうとするがうまくいかない。ある日、枯淡館の存続が危ぶまれる事態が起こり、娼館の人々の間には動揺が走る。一方、田崎家には娼婦のひとりスイレンの姿が。店の金を盗んだという彼女はその金を補填した田崎に囲われているが、スイレンは、金を盗んではいない、仕向けたのは昭一郎だと語り、太一の心はざわめく―。

“日本のチェーホフ”と呼ばれる岩松了の作品は、人間の内部で無意識に動く感情を綿密に追いかけ切り込んでいく。『ジュリエット通り』というタイトルからは、W・シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を連想するが、決して甘くせつない恋の話ではなく、発露のない閉塞感の中で、登場人物たちが常識や秩序といった平衡感覚を失っていく姿が描かれている。

娼館と家庭、親と子、女と男、生と戦争…。いくつもの対比の中から出てくる答えは、観た人それぞれの視点によっていかようにも変化する。言葉に意味を見いだすのは、受け手の内部での出来事である。安田章大演じる太一の環境や反発の中で掴もうとする真実、大政絢演じるスイレンの定まらない存在の中で欲した愛、風間杜夫演じる昭一郎の築き守ろうとしていた虚構の裏側、描かれている人々の内包する感情を読み取ろうとすればするほど、観る者の心はかき乱されていく。言葉の表面だけを追いかけていくと、非常に不親切な芝居である。しかしその中で受け取る感覚こそが、この作品の答えなのだと思う。自分の存在の不確かさを感じる現代人の物語だ。

ジュリエット通り 詳細情報

主催
  • Bunkamura
公演
劇場
  • Bunkamuraシアターコクーン
  • ほか
キャスト
スタッフ

『ジュリエット通り』公式ホームページ

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