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濱田めぐみ 終わりなき“挑戦”の先に見えるもの

[上村由紀子]

7月…ミュージカル『サンセット大通り』開幕…それまで濱田が演じてきたキャラクターとは全く違う姿を“まとった”「ノーマ・デズモンド」がそこにはいた。安蘭けいが大女優としての一種の楽天性や明るさ、自分は他者に愛されて当然だという大スターならではの感覚を持ったノーマ像を作ったのに対し、濱田めぐみのノーマは他人に心を開かず常に孤独と影とを抱えて生きている人物造形。まさに「太陽」と「月」…舞台上に存在する個性の違う二人のノーマ…Wキャストの最高の醍醐味がそこにはあった。

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実は関係者・プレス向けに行われた公開ゲネプロで濱田版のノーマを観た際、ノーマの年齢設定が少し若い様にも感じたのだが、本番の舞台で彼女を見た瞬間、そんな気持ちはすぐに吹き飛んだ。まずゲネの時とは“声”が違う。普段の張りと深みがある情感に満ちた声ではなく、孤独で年齢を重ねた女性の声。他者に心を許さない人物だからこその、ジョーに対する強い執着や絡みつくような嫉妬…舞台の上には旬をとっくに過ぎた「忘れられた大女優」が確かに呼吸していたのだ。そのことを終演後に伝えると彼女は「本番ではお客様が助けてくれたんだと思う」と素顔で笑った。

『サンセット大通り』濱田めぐみ


飽くなき挑戦 更にその先の世界へ

『サンセット大通り』ノーマ・デズモンド役…日本でも幾人かの女優の名前がこれまでノーマ役の候補として囁かれてきた。そんな中、この役を演じる濱田の胸にはある一人の女優の存在があったはずだ。その女優とは、劇団四季で活躍し、当初ノーマ役を演じる予定でありながら、1998年に39歳の若さで旅立ってしまった故・志村幸美である。志村は濱田の四季デビュー作『美女と野獣』でミセス・ポットを演じ、『サンセット大通り』の執事・マックス役、『美女と野獣』ではビースト役として舞台に立った鈴木綜馬と共にデビューしたばかりの濱田を見守る近しい先輩だった。『美女と野獣』日本初演の地・赤坂で、濱田めぐみはさまざまな思いを胸にノーマ・デズモンドとして生き抜いたのである。

『ジキル&ハイド』

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本作で新しい扉を開いた彼女の挑戦は終わらない。今秋には新作『スコット&ゼルダ』、来春には再び石丸幹二とタッグを組む『ジキル&ハイド』そして2016年8月、帝劇でのミュージカル『王家の紋章』アイシス役での出演も発表された。

『王家の紋章』

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「演じている時は“濱田めぐみ”に戻るのが面倒」「オフの過ごし方が良く分からない」「いつも役がどこかにある状態で生きてきた」…彼女のことを語る時、毎回使ってしまう表現だが、やはり今回もこの文言で締めたいと思う。「役を生きる」「命を燃やす」…他の誰かが使ったらどこか気恥ずかしく感じるフレーズだが、濱田めぐみは自らの命を削ってこの言葉を体現する。私はこれからも同時代に生きる観客の一人として、そんな彼女の“飽くなき挑戦”を観続けたいと思うのだ。

サンセット大通り

作品情報サンセット大通り

ハリウッドの光と闇を描いた内幕物の決定版!

  • 公演:
  • キャスト:安蘭けい、濱田めぐみ、平方元基、柿澤勇人、鈴木綜馬、ほか

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