トニー賞ノミネート作品を先取りチェック!その4 パリの恋を美しいダンスでつづる『巴里のアメリカ人』


『巴里のアメリカ人』

本年度、『FUN HOME』と並び最多12部門にノミネートされた『巴里のアメリカ人』。ミュージカル映画の大スター、ジーン・ケリーの代表作に挙げられる傑作だ。バレエの魅力を広く伝えた作品としても有名で、アメリカの伝統的なミュージカルと言われている。そして、ジーンのダンスを彩るのがガーシュインの名曲だ。この映画を観たことない人でも、一度は聞いたことがあるだろう。

ミュージカル映画の金字塔と言える名作を、ブロードウェイによみがえらせたのが本作。とにかく、ダンス、ダンス、ダンス!
最新のプロジェクションマッピングで再現されたパリの街並みをバックに、ダンスに酔いしれる優雅なひとときが味わえる。

演出と振付けは、世界的なバレエ振付師クリストファー・ウィールドン。『不思議の国のアリス』やシェイクスピアの晩年の戯曲を基にした『冬物語』など物語バレエの振付けで有名なクリストファーが、満を持してブロードウェイ・デビュー!オリジナル映画の伝統を引き継ぎ、バレエの魅力をしっかり伝える。

主人公のアメリカ人青年ジェリーを演じるのは、ニューヨーク・シティ・バレエのプリンシパルであるロバート・フェアチャイルド。そしてヒロインのリズ役には英国ロイヤル・バレエ出身のリアン・コープと、いずれもバレエ・ダンサーで、本作がブロードウェイ・デビュー。もちろん、歌もうたえる。バレエも踊れて、歌もうたえるなんて、やはりブロードウェイは才能の宝庫だ。

第二次世界大戦後、画家を目指すアメリカ人の青年が、パリの娘に恋をしたが、彼女には婚約者がたり、一方自分にもパトロンの女性がいたり……と、恋愛模様を描いた作品だが、その恋の喜びや不安は、歌やセリフよりも、むしろダンスをメインに表現していく。それは夢のような世界。「これでもか!」と言わんばかりに、美しいダンスが展開する。特に主人公役のロバートは、ステップを踏むたびに、うっとりビームというか、ロマンティック・フェロモンみたいなものを発しているんじゃないかと思うほど。ジーン・ケリーをリアルタイムで観ていた世代でも、きっと納得するだろう。

マダム・ボウレル役(主人公の友人で歌手アンリの母)のベアン・コックスにサインをもらう時、「パリの夢の中にいるみたい。まさにワンダーランドでした」と声をかけると、「そうなの!まさにワンダーランド!私は毎日、感動してステージで泣きそうになるわ」と、満面の笑顔を見せてくれた。

『巴里のアメリカ人』ベアン・コックス

「ロマンチックを形にしたら、こうなります」と目の前に差し出されたような世界。今回、観てきた作品の中とは、また違う楽しみ方ができる作品だった。
これはもう、美しいダンスとガーシュインの音楽世界にどっぷりひたるしかない。

『巴里のアメリカ人』


トニー賞ノミネーション
□主演男優賞 ロバート・フェアチャイルド
□主演女優賞 リアン・コープ
□助演男優賞 ブランドン・ユラノウィッツ/マックス・フォン・エッセン
□ミュージカル演出賞&振付け賞 クリストファー・ウィールドン
その他、12部門でノミネート

◆生中継! 第69回トニー賞授賞式
 6月8日(月)8:00より、WOWOWプライムで生中継!

『巴里のアメリカ人』ベアン・コックス

サインは、ベアン・コックスと、アンリ役のマックス・フォン・エッセン、そしてアンサンブル・キャストたち。

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